第83話

私を助けてくれた精霊は、事もあろうに、ほかの精霊も紹介してくれました。
土精霊のノームだけではなく水精霊・火精霊・風精霊を呼び出し絆を結ぶための祝詞を教えてくれたのです。

（初めまして、我が最愛の主よ。
私は水精霊のウンディーネです）

（貴女の名前はフィーネにします。
どうかな？）

（ありがとう、我が主。
私は今日からフィーネです！）

本当にできるのか、半信半疑でしたが、あまりに簡単に絆を結べてしまいました。
それどころか、名前を受け入れてくれて、姿形が大きく変化して中級精霊に進化までしてしまったのです。
最初は薄絹の衣装を纏っい、透き通るような白い肌に漆黒の艶やかな髪が露だったのに、今ではスケイルメイルを装備し三又の槍トライデントを手にいているのです。
正直うれしさよりも戸惑いのほうが大きかったです。

（初めまして、我が最愛の主よ。
私は火精霊のサラマンダーです）

（貴男の名前はフェルドにします。
どうかな？）

（ありがとう、我が主。
私は今日からフェルドです！）

次に呼び出すように命じられたのは火の精霊でした。
この子は最初人型ではなく小さな炎のトカゲでした。
それが名前を与えたら、いきなり人型に変じたので驚きました。
真っ赤な肌に真っ赤な髪と瞳。
肌よりの髪のほうがより濃い赤で、髪よりさらに濃い赤の瞳をしています。
装備している鎧は炎でできていて、東洋的な雰囲気があります。
しかし手にしている槍は炎でできたハルバートです。

（初めまして、我が最愛の主よ。
私は風精霊のニンフです）

（貴女の名前はレティアにします。
どうかな？）

（ありがとう、我が主。
私は今日からレティアです！）

次に呼び出すように命じられたのは風の精霊でした。
この子は最初から人型で、オーロラのノームのようなとてもかわいい容姿でした。
それが名前を与えたら、いきなり大人に女性に変じたのですが、いい加減心が麻痺していたのか、それほど驚きませんでした。
ああ、やっぱりね、という感じでした
青い肌に青い髪と青い瞳。
肌よりの髪のほうがより濃い青で、髪よりさらに濃い青の瞳をしています。
この辺はフェルドと同じでした。
そして装備も同じように精霊の特性で創り出されていました。
装備しているのは鎧というよりも薄絹でしたが、渦巻く風でできていて、あらゆるものを弾き飛ばす勢いに見えました。
それは手にしている長槍の刃も同じで、あらゆるものを一刀両断する勢いでした。

（さて、これで中級の四大精霊と絆を結べたな。
いよいよ本題だ。
複合精霊術を使ってもらおうか）