初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第229話子育てに専念しよう

(なあセイ、砂漠地帯や寒冷地帯に行くのは、もう少し後でもいいか)

(どうしたんだミノル?)

俺はアグネスやオードリーはもちろん、見習村の子供たちやノーラたちに料理を振る舞いながら、セイに今後の事を相談してみた。

(まあなんだよ、オードリーが子供を授かったら、ある程度子供が成長するまでは、1つの村に腰を据えて暮らしたいいんだよ)

(ほう、リサーチ魔法を使っていないんだよな)

(うん? オードリーに? もちろん使っていないよ。え? マジか?)

(我はリサーチ魔法を使って調べたから確実だ、オードリーは受胎したぞ)

(昨日か?)

(ああ、昨日受胎した)

(俺に子供ができたのか?)

(ああ、無事に出産できればな)

(おいおいお! 不安になる事を言うんじゃないぞ!)

(ふむ、まあ何があっても大丈夫であろうよ)

(セイはそれを知っていて、俺に砂漠地帯に行こうとか寒冷地帯に行こうとか言ったのか!)

(子供が産まれるまでの方が動きやすいと思ったのだが、ミノルはそう思っていないようだな)

(当たり前だろうが! 子供が授かったのなら、できる限り母胎に悪影響が出ないように、戦闘はもちろん移動も制限すべきだろうが!)

(ふむ、本気で怒っているようだな)

(当たり前だろうが!)

(ではどうする、新しく設立してた冒険者村に戻らないのか?)

(う! それは)

(ミノルの性格なら、孤児だった子供たちや、元奴隷の子供たちを見捨てるのも嫌だろう?)

はてさてどうしたものだろう?

受胎しているのを俺に知らせず、オードリーがハードな訓練をするのを傍観(ぼうかん)していたセイには、本気で腹が立つ!

だがセイは人間ではないのだ!

俺と同じ感覚だと思ってはいけない存在なのだ。

俺の影響を受けて、人間と同じように振る舞う事もあるが、それはあくまで学習して俺に合わせてくれているだけかもしれない。

セイの言う事やする事には、ある程度鈍感に対応すべきだろう。

問題はオードリーとお腹の子を、どこで産み育てるかと言う事だが、鉄壁の防御力を誇るのは、分身体が管理しているここだろう。

冒険者村には、強力なドワーフ族の冒険者がいて、領界線にはリュウが築いた城壁があるとは言っても、分身体が自分の身体で築いている、鉄壁の城壁には敵わない。

今日の件があるから、セイと分身体に頼りきるのは腹立たしいが、ここはお願いするしかないだろう。

(セイ、オードリーとお腹の子は、セイと分身体に護ってもらう)

(ここを拠点にするのだな)

(ああ、冒険者村には、ノーラたちを俺とセイが連れて行けばいい)

(白虎とアグネスは、オードリーの護衛としてここに残すのか?)

(ああ、白虎には主人として、俺の妻と子供を護るように命令する)

(アグネスには?)

(義母と義弟妹を護るように伝えるよ)

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