初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第214話子供たちの生末

冒険者村建設予定地

俺はようやく苦手な対人交渉を終えて、家族でゆっくりと寛いでいた。

オードリーがいる事には少々緊張するが、アグネスや白虎に囲まれたオードリーに比べれば、文句を言えるような事ではない。

俺がオードリーに緊張するのは、俺の対人スキルのなさであって、オードリーには何の問題もないんだ。

そうそう、解放奴隷の大人たちは男女関係なく、ドワーフ族に訓練をつけてもらっているが、子供たちに関してはディルクに任せた。

まあ貧民街の子供たちのまとめ役だったとはいえ、ディルクもまだ子供なのだから、あまり負担はかけられない。

そこでオードリーの同僚だった、ビラン街冒険者ギルドの女性職員に、子供たちのお世話をお願いすることにした。

「ミノル様、差し出がましいことだとは重々承知しておりますが、提案させていただいて宜しいでしょうか?」

「なんだい? 何でも言ってくれていいいよ」

「子供たちの事でございますが、本当にあれでよかったのでしょうか?」

「何か問題があるかな?」

「元々の貧民街の子供たちと、解放奴隷の子供たちで、揉め事が起こったりしないでしょうか?」

「オードリーの元同僚たちにお世話を頼んだけど、それでは不足なのかい?」

「私の同僚では、戦闘力がないので、威厳がなさすぎます。やはり多くの子供たちを心服させるには、戦闘力がなければなりません」

そうか、この世界は弱肉強食だから、戦闘力の有無が全てなのかも知れないな。でも訓練を頼んだ大人の解放奴隷が多すぎるから、これ以上ドワーフ族に押し付けるのも無理があるだろうしな。

「オードリーも分かっているだろうけど、人手が足りないんだよ」

「それは理解しておりますが、ミノル様なら、ビラン以外にも知り合いがおられるのではありませんか?」

それなりの戦闘力を持った冒険者で、俺に心服してくれていて、人柄も信頼できる者となると、ほとんどいないんだよな。

(おいおいおい、ノーラたちがいるではないか)

(だけどなセイ、ノーラには見習村を見てもらわないといけないだろ)

(ミノルよ、確かに見習村では、一時的に子供たちが思い上がっていた。だが我の分身が厳しく指導したし、イルオンも頑張ってリーダーシップをとっておる。何よりラーラ家族が加わったから、ノーラたちの必要性は低くなっておる)

(まあそれはそうだろうけど、ノーラたちが俺の頼みを聞くかな?)

(ふぅ~、分かっておらんな、だがまあそれがミノルなのであろうよ)

(なんだよ、意味深な言い方しやがって)

「あの、ミノル様、怒られたのでしょうか?」

「いやいやいや、そんなんじゃないんだよ、誰に頼もうか考えていたんだよ」

「そうでしたか、不遜な事を申し上げてしまったかと、心配しておりました」

「いや、いい事を言ってくれたよ、明日にでも頼みに言ってくるよ」

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