初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第195話ゾッティ伯爵との交渉

ビラン上空

「さてゾッティ伯爵、この始末はどうつけるのかな?」

「待て! 平民が伯爵閣下に直接話しかけるなど、僭越(せんえつ)にもほどがあるぞ!」

「ならば今回の話はなしだ、またドラゴンと話すといいさ」

「待て、待ってくれ、あのドラゴンは貴様が寄越したのか?」




ビラン近郊秘密キャンプ

(随分と冷たい対応だな)

(今回は厳しくやることにしたよ)

(あの兄妹のためか?)

(ああ、今回ばかりは本気でやるよ)

(ミノルにとって、あの兄妹の話はそんなに重要なのか?)

(親兄弟のために、自分を売った姉がいるんだ。そんな子を幸せにできないなら、力を持った意味がなくなるよ)

(今までもたくさんの不幸な人間に会って来たのではないか? なぜ今回は特別なのだ?)

(そうだな、単なる思い入れかな、人間の情緒の問題だな)

(我には全く理解できん話だが、人間には大切なことなのだな)

(そうだな、1人1人の人間の生きてきた歴史によるけど、かわいそうだから手助けしてあげたいと言う人間は多いだろうな)

(ミノルもその1人なのだな)

(ああそうだ、できる限りの支援をしてやるよ。セイにも手伝ってもらうから、そのつもりでいてくれよ)

(しかたないな、ミノルがそこまで言うのなら手伝ってやるが、まずはリュウに動いてもらうんだろ)

(ああ、明日にはもう1度おどしをかけてもらうよ)

(2度もリュウに押しかけられるとは、ビランの住民も災難だな)

(確かに災難だが、自業自得でもあるさ)

(ミノルにしては、市民に薄情な気がするが?)

(アルマと言う兄弟の姉が、身売りすると言うのに近所の人間が助けなかった。いやそもそも、両親が病気になった時に、手を差し伸べる市民がいなかったのが腹立たしい)

(ふむ、確かの今までの街には、市民の中にも助けを差し伸べる人間がいたな)

(ビランでは貧民支援のお金を、有力市民が横領していた事実がある。テューレ殿やオードリーはいるけど、彼らも積極的に貧民を助けはしなかった)

(2人を非難している訳ではないのだな?)

(周りの常識に逆らって、自分だけが善行を行うのは難しい。それは十分理解しているから、非難などしないけど、残念には思っているよ)

(そんな残念なオードリーを彼女にしたのは、なにか理由があるのか?)

(容姿がタイプなんだよ)

(見た目で判断したのか? その程度の事で、自分の子供を産む相手を決めたのか? 理解できん暴挙だな!)

(そうだな、モテなかった人生の反動だな)

(ふむ、我が召喚するまでの人生の影響と言われれば、全てを否定する訳にはいかんが、今後はもっと理性的に選ぶべきだぞ)

(そうするよ、それより子供たちに料理を作りに行くぞ)

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