初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第185話パテ

ローファン王国:ビラン郊外の森の中

「さて、みんなに覚えてもらう料理だけど、最初にファングラットを煮てゼラチンをとりだすよ」

「ぜらちんですか?」

「まあ言葉はおいおい覚えてもらうから、作り方をそのまま覚えてくれればいいよ」

「「「「「はい!」」」」」

「駆け出しの冒険者は、売っても高く買ってもらいえない魔獣やモンスターを、自分たちの食料にするのが基本だ」

「「「「「はい!」」」」」

(ミノルには経験がないだろう?)

(うるさい! チャチャ入れるんじゃない!)

(ふむ)

「ファングラットの皮をはぎ、骨が多くて食べ難いところを煮るんだ」

「スープにするんですか?」

「そうだ、水が多ければスープになるし、少なければゼラチンの材料になる」

「「「「「はい!」」」」」

「骨からはがしやすい肉をこうして別にして、包丁で細かく叩くんだ」

「ミノル様、そのまま焼いて食べないんですか?」

「ファングラットの肉を焼いただけの料理に、高いお金を払いたいと思うか?」

「思いません」

「手間をかけて、家庭の主婦や冒険者が作れない料理にするから、肉を焼いただけの料理より高いお金がもらえるんだ。冒険者になれなかったり、冒険者になっても狩りだけで生活できない時代は、他の方法でお金を稼がないと生きて行けないんだよ」

「「「「「はい!」」」」」

(ミノルにそんな経験はないだろ?)

(ないよ、ないけどアグネスや白虎のために、料理は作り続けてるぞ)

(まあそれはそうだが)

(もう黙っていてくれ!)

(ふむ)

「さて、ファングラットの肉の部分やレバーの部分を、1cmくらいの大きさに切るんだ」

「「「「「はい!」」」」」

子供たちは可愛いものだ、俺の言う通りに料理のを作り始める。貧民街で食うや食わずの生活をしていたから、ファングラットでもご馳走だったのだろう。俺の言葉を全部信じられないようだが、少しでも社会的に認められるためには、美味しい料理を作れるように教えてあげなければならない。

「街でも名士と言われる人たちは、普通はファングラットの肉は食べない。だけどだ、君たちが美味しく料理すれば、それなりのお金を払って食べてくれるようになる」

「「「「「はい!」」」」」

俺の言う事を疑う事なく信じてくれる子が多いが、中には信じきれない子もいるようだ。そんな子でも、実際美味しい料理を作って食べさせてあげれば、心から信じてくれるようになる。ここは性根を入れて、真剣に美味しい料理を作らなければな!

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