初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!
第163話エルフ皇国・桐の街・パヴロヴナ
エルフ皇国・桐の街:パヴロヴナ
「何者だ!」
「行商人ですよ、行商人」
「この村は桐を使った工芸品を作る村だ、お前のような担ぎ屋が運べるような品は無いぞ」
「それは大丈夫です、これでもアイテムボックス持ちですから。それに、この村で必要としている物はありませんか?」
「ふむ、アイテムボックスを持っておるとは、人間にしては魔力があるのだな」
「そうなんですよ、人間にしたら結構魔力はある方なんで、アイテムボックスの商品の中には、この村で必要としている商品もあると思うんですよ」
「ふむ、塩を持っておるか?」
「あります、あります。これでどうですか?」
俺はアイテムボックスから、ナーポリの漁師ギルドで大量生産した塩を取り出して見せた。
「それとこれなんかどうです? ダイオウイカ群を塩漬けした新商品です。こっちは珍しいホエールの肉を塩漬けにした新商品ですよ」
「馬鹿者! エルフの村に行商に来るのなら、我らエルフが菜食主義なのくらい調べてこい!」
「だったらこれはどうです? 海の中に生えている海藻を塩漬けにした新商品ですよ?」
「なに?! 海の中に生える海藻だと?」
「ちょっと待て、直々に確かめてやる」
このエルフの村は、俺が考えていたより警備が厳重で、門番すら城外に出ていない。魔力が豊富なエルフの特性を生かし、遠見と拡声の魔法を使い、城門の上から審査する方式のようだ。だが流石に海藻には興味を引かれたようで、直接触って確認すべきと判断したようだ。
「どうですか、これは塩漬けして日持ちするようにしておりまして、スープに少量加えるだけで、海独特の風味が加わります」
「ふむ、だが実際食べて見ないと判断出来ん」
「試食用に作った海藻スープがこちらです」
俺は、自分が食べるために試作していた、塩わかめスープをアイテムボックスから取り出した。鶏ガラや鰹節も加えたわかめスープもあるのだが、菜食主義のエルフに食べてもらうので、わかめだけで出汁をとったスープを試食してもらう。
「葱わかめスープ」
塩蔵ワカメ:適量
葱 :適量
ごま油 :適量
胡椒 :適量
(人間用)
鶏ガラ顆粒:小さじ2杯
醤油 :小さじ1杯
1:全ての材料を食べ易い好みの大きさに切る
2:全ての材料をスープ皿かカップに入れる
3:熱湯を注いで完成
この世界の醤油が完成していないから、醤油で味を調えることも出来ないし、各種スープの素も使えない。それに残念なのが、手持ちに干椎茸や乾瓢(かんぴょう)からとった出汁がないことだ。
今からエルフの前でドローン配送する訳にも行かないし、そもそもそれでは、この世界の材料だけを使って料理をする決断を破ってしまう事になる。さて、塩蔵わかめと葱の旨味と風味に、胡麻油と胡椒の風味を加えたスープだが、エルフの好みにあうのだろうか?
「うむ! 美味い! 少々塩味が強すぎる気もするが、それは塩漬けわかめとやらの量を加減すればよかろう。このスープの材料になる物を、商品に出来るくらい持っているのだな?」
「はいはい、これを見て下さい」
俺は大量の塩漬けわかめを、アイテムボックスから取り出して見せた。万が一ナーポリにしばらく戻れなくなっても大丈夫なように、その上リュウに料理を喰わせなければいけない状況と重なってもいいように、大量の海産物をアイテムボックスに蓄えているのだ。
「うむ、これだけあれば取り合いになる事も無いだろう。だが村の中で問題を起こしたら、その場で殺される可能性もあるぞ、それでも構わないか?」
「え~と、人間の国と違う法はあるのでしょか?」
「基本は同じだ、盗むな、壊すな、殺すなと言う、ごく当たり前の常識を守れば大丈夫だ。だが1つだけ、人間の国と大きな違いがある」
「何でしょうか?」
「さっきと同じ事だ、菜食主義の我らエルフを騙して、肉や魚を使った料理を食べさせる事だ。以前人間の商人が来て、塩漬け魚を入れたスープを我らに喰わせた事件があった」
「その商人は、どんな罰を受けたんですか?」
「私財没収の上で死刑だ」
「ほう、それほど菜食の掟は大切なんですね?」
「そうだ、中には禁忌を破って肉や野菜を食べるエルフもいるが、そう言うエルフは国や村を追放され、人間の国で暮らしている」
「なるほど、十分気をつけますので、どうか村に入れて下さい」
「うむ、それと村に入る税金として大銀貨1枚が必要だぞ」
「この大銀貨でも大丈夫ですか?」
俺はこの村から最も近い、イータリ国の大銀貨を出してみた。残念ながら、このエルフの村と領地を接してる、人間の国の貨幣は持っていなかった。
「ふむ、普段取引で使っている大銀貨ではないが、銀の含有量は問題がないようだな」
「1目見ただけで分かるのですか?」
「それくらいの事は、この村に住んでいるエルフなら子供でも出来る事だ」
「そうでございますか、それと商売をするに当たり、エルフの村で使える貨幣と私の持つ貨幣の両替は出来るのでしょうか?」
「ふむ、我らならどこの国のどんな貨幣を渡されても、その価値を間違う事など無いが、お前は困るのか?」
「いえ、それは大丈夫でございます」
「だったら無理に両替して、手数料を損する事もあるまい。そんな事をすれば、また元の国に戻った時、両替に手数料がかかるであろう」
「ご配慮くださりありがとうございます、では手持ちの貨幣を使わせていただきます」
「何者だ!」
「行商人ですよ、行商人」
「この村は桐を使った工芸品を作る村だ、お前のような担ぎ屋が運べるような品は無いぞ」
「それは大丈夫です、これでもアイテムボックス持ちですから。それに、この村で必要としている物はありませんか?」
「ふむ、アイテムボックスを持っておるとは、人間にしては魔力があるのだな」
「そうなんですよ、人間にしたら結構魔力はある方なんで、アイテムボックスの商品の中には、この村で必要としている商品もあると思うんですよ」
「ふむ、塩を持っておるか?」
「あります、あります。これでどうですか?」
俺はアイテムボックスから、ナーポリの漁師ギルドで大量生産した塩を取り出して見せた。
「それとこれなんかどうです? ダイオウイカ群を塩漬けした新商品です。こっちは珍しいホエールの肉を塩漬けにした新商品ですよ」
「馬鹿者! エルフの村に行商に来るのなら、我らエルフが菜食主義なのくらい調べてこい!」
「だったらこれはどうです? 海の中に生えている海藻を塩漬けにした新商品ですよ?」
「なに?! 海の中に生える海藻だと?」
「ちょっと待て、直々に確かめてやる」
このエルフの村は、俺が考えていたより警備が厳重で、門番すら城外に出ていない。魔力が豊富なエルフの特性を生かし、遠見と拡声の魔法を使い、城門の上から審査する方式のようだ。だが流石に海藻には興味を引かれたようで、直接触って確認すべきと判断したようだ。
「どうですか、これは塩漬けして日持ちするようにしておりまして、スープに少量加えるだけで、海独特の風味が加わります」
「ふむ、だが実際食べて見ないと判断出来ん」
「試食用に作った海藻スープがこちらです」
俺は、自分が食べるために試作していた、塩わかめスープをアイテムボックスから取り出した。鶏ガラや鰹節も加えたわかめスープもあるのだが、菜食主義のエルフに食べてもらうので、わかめだけで出汁をとったスープを試食してもらう。
「葱わかめスープ」
塩蔵ワカメ:適量
葱 :適量
ごま油 :適量
胡椒 :適量
(人間用)
鶏ガラ顆粒:小さじ2杯
醤油 :小さじ1杯
1:全ての材料を食べ易い好みの大きさに切る
2:全ての材料をスープ皿かカップに入れる
3:熱湯を注いで完成
この世界の醤油が完成していないから、醤油で味を調えることも出来ないし、各種スープの素も使えない。それに残念なのが、手持ちに干椎茸や乾瓢(かんぴょう)からとった出汁がないことだ。
今からエルフの前でドローン配送する訳にも行かないし、そもそもそれでは、この世界の材料だけを使って料理をする決断を破ってしまう事になる。さて、塩蔵わかめと葱の旨味と風味に、胡麻油と胡椒の風味を加えたスープだが、エルフの好みにあうのだろうか?
「うむ! 美味い! 少々塩味が強すぎる気もするが、それは塩漬けわかめとやらの量を加減すればよかろう。このスープの材料になる物を、商品に出来るくらい持っているのだな?」
「はいはい、これを見て下さい」
俺は大量の塩漬けわかめを、アイテムボックスから取り出して見せた。万が一ナーポリにしばらく戻れなくなっても大丈夫なように、その上リュウに料理を喰わせなければいけない状況と重なってもいいように、大量の海産物をアイテムボックスに蓄えているのだ。
「うむ、これだけあれば取り合いになる事も無いだろう。だが村の中で問題を起こしたら、その場で殺される可能性もあるぞ、それでも構わないか?」
「え~と、人間の国と違う法はあるのでしょか?」
「基本は同じだ、盗むな、壊すな、殺すなと言う、ごく当たり前の常識を守れば大丈夫だ。だが1つだけ、人間の国と大きな違いがある」
「何でしょうか?」
「さっきと同じ事だ、菜食主義の我らエルフを騙して、肉や魚を使った料理を食べさせる事だ。以前人間の商人が来て、塩漬け魚を入れたスープを我らに喰わせた事件があった」
「その商人は、どんな罰を受けたんですか?」
「私財没収の上で死刑だ」
「ほう、それほど菜食の掟は大切なんですね?」
「そうだ、中には禁忌を破って肉や野菜を食べるエルフもいるが、そう言うエルフは国や村を追放され、人間の国で暮らしている」
「なるほど、十分気をつけますので、どうか村に入れて下さい」
「うむ、それと村に入る税金として大銀貨1枚が必要だぞ」
「この大銀貨でも大丈夫ですか?」
俺はこの村から最も近い、イータリ国の大銀貨を出してみた。残念ながら、このエルフの村と領地を接してる、人間の国の貨幣は持っていなかった。
「ふむ、普段取引で使っている大銀貨ではないが、銀の含有量は問題がないようだな」
「1目見ただけで分かるのですか?」
「それくらいの事は、この村に住んでいるエルフなら子供でも出来る事だ」
「そうでございますか、それと商売をするに当たり、エルフの村で使える貨幣と私の持つ貨幣の両替は出来るのでしょうか?」
「ふむ、我らならどこの国のどんな貨幣を渡されても、その価値を間違う事など無いが、お前は困るのか?」
「いえ、それは大丈夫でございます」
「だったら無理に両替して、手数料を損する事もあるまい。そんな事をすれば、また元の国に戻った時、両替に手数料がかかるであろう」
「ご配慮くださりありがとうございます、では手持ちの貨幣を使わせていただきます」
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