初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!
第131話朝市1
ナーポリ冒険者ギルド:受付
「悪いがこの街で魚介類を買える場所を教えてくれるか」
「魚介類ですか? 食事をする場所ではなく、素材を買われるのですか?」
「いや違う違う、食料としての魚介類が欲しいんだよ」
「え? 食料ですか?」
「そうそう、俺はアイテムボックスがあるからね。旅や狩りの途中でも食事には手を抜かないんだよ」
「へぇ~、ミノルさんはグルメなんですか?」
「グルメとは言えないけど、食いしん坊ではあるね」
「そうなんですか、でしたら港の朝市がいいんですが、今頃だともうほとんど売りきれているかもしれません。ただ逆に売れ残りを安く売っている場合もありますので、欲しい物はないかもしれませんが、安く買えるチャンスでもあります」
「そうか、だったら朝市とやらに行ってみるよ。だけどこの街に来たばかりで、どこに何があるのかサッパリ分からないから、地図からあったら売って欲しいんだが」
「すみません、街の地図は軍事機密にもなりますので、冒険者ギルドが公式に販売する訳にはいかないんです」
「そうか、それは仕方がないね」
「俺が案内させてもらいますよ」
「ヴィゴールさんでしたね、いいんですか?」
(暇な奴だな、さっき散々受付主任に文句言っていた癖に、まだギルドにいるとは)
(おいおいおい、それは可哀想だぞセイ)
「へへへへへ、大銀貨を1枚下さるなら、街の隅から隅まで案内させていただきますよ」
(卑屈な奴だな)
(本当に可哀想だぞ、普通K級を名乗る相手の模擬戦に、D級の冒険者が選ばれたら文句の1つも言いたくなるだろう)
(ふむ、そうかもしれんな)
(それにあんな負け方をしたんだ、実力差に敬意を払って下手に出るのもおかしことじゃないよ)
(ふむ、人間界ではそうなのかもしれんな)
「それでいいよ、1日大銀貨1枚で街の案内を頼む」
「そうでなくっちゃ、K級の冒険者はさすがに気風(きっぷ)が好いねぇ~! おまけに昼食を奢ってくれたら嬉しんだけどなぁ~」
(調子のいい奴だ)
(そうだな、だが嫌いじゃあないよ)
「いいぞ、オークが売れたから懐は温かいしな」
「すごいねぇ~! ソロの冒険者がいきなりオークを300体売りたいなんて、今まで見た事も聞いた事無いですよ」
「褒めてくれてありがとう、だが時間が惜しいんで、そろそろ案内を頼むよ」
「任せて下さい!」
ナーポリ港:朝市
「ミノルさん、ここがナーポリ名物の朝市でさぁ!」
「思っていた以上に広いんだね」
「そうなんですよ、ナーポリは港の整備に力を入れていますからね、大型の漁船が集まるんで、自然と水揚げされる魚の種類も量も増えていって、最近じゃ近隣の街の中でもピカ1なんですよ」
「だが店じまいを始めている露店も多いし、急いで買い物をする事にしよう」
「任せて下さい! キッチリと値切らせてもらいます」
「ああ頼んだよ」
(ミノルは値切りが苦手なのか?)
(ああ、河内の人間ではあるんだが、そもそも本当に必要なものしか買わないし、気が弱いから値切れないんだよ)
(ほう、今までは値切らずに定価で買っていたのか?)
(日用品や消耗品はね)
(値の張るものはどうしていたんだ?)
(友達の値切り上手に頼んでいたよ、特に若い頃は友達とつるんで遊んでいたからね)
(なるほどな)
「なあ親父、もう今日は店じまいするだろ? だったらここに残っている奴全部買うからよ、大銀貨1枚にまけろよ」
「おいおいおい、これの元値がいくらだと思っているんだよ、どんだけまけても大銀貨1枚と小銀貨3枚だね」
「いいのか親父、あちらの露店の親父がこっちを伺っているぞ、何ならあっちに行って買ってもいいんだぞ?」
「う! だがさすがに大銀貨1枚ぽっきりと言う訳にはいかん、小銀貨の2枚はつけてもらわんと、こっちも生活がかかってるんだ」
「おいおいおい、この後でこれらが売れると思っているのか? 全部売れ残ったらそれこそ丸損だぞ? それでもいいのか?」
「ちぃ! 仕方ないな、大銀貨1枚と小銀貨1枚なら売ろう」
「仕方ないな、大銀貨1枚と小銀貨5枚で買おうじゃないか、それでどうですか? ミノルさん」
「それで構わないよ」
「おいおいおい、俺は大銀貨1枚と小銀貨1枚と言ったんだ」
「まぁまぁまぁ」
(頃合いだな)
(そうだな、セイ)
俺が財布から、オークを売り払って手に入れた大銀貨1枚と大銅貨7枚を取り出した」
「お? ミノルさんが色をつけて大銅貨7枚をくださった、これで手を打っておけよ親父」
「仕方ないな、ミノルさんとやらの顔を立ててこれでいいよ」
「さすがだねぇ~、港町の露天商はこうでなくちゃいけねぇ!」
「御世辞を言っても、もうなにも出ないぞ」
「いやいや、お世辞なんかじゃないよ、親父は何時も気風がいいからね。さあ、ミノルさん、サクサクと次に行きましょう」
「おう、行こうか」
俺は露天商の親父から、残り物を全部手に入れてアイテムボックスにしまった。そしてヴィゴールの後をついて次の店に行ったが、ヴィゴールの値引きは巧みで、露天商の親父をおだてて褒めちぎり、いい気分にさせて安く商品を手に入れていた。
ヴィゴールには人を見る眼があるのか、それとも長年値切って生きてきたのか、値切り交渉に応じない店主の露店には近づきもしなかった。もしかしたら、過去に何か悪さをして近づけないのかもしれないが。
「アンドレアの親父さん、残り物全部売ってくれ」
「ヴィゴールか、俺は小銅貨1枚だって安くせんぞ!」
「構わないよ、全部定価で売ってくれよ」
(ほう、ここでは定価で買うのか?)
(あれほど熱心に値切っていたのに、最後の最後で定価で買うと言う事は、何かあるようだな)
「あん、全部買うだと? 俺のやり方を知ってそれを言うか?!」
「もちろんですよ、ミノルさんがこの街に来て初めての買い物ですから、アンドレアの親父さんの代わりに漢気を見せてくれますよ」
「ほう、その後ろの御仁が漢気を見せてくれるのか?」
「ミノルさん、このアンドレアの親父さんは値引きに一切応じない人なんですが、その代わり売れ残った魚を孤児たち配っているんですよ。だから奇特な連中は、親父さんから魚を買うんですよ」
「その奇特な人間の1人がヴィゴールだと言う事か?」
「いやぁ~そうじゃないんですよ、地下道で暮らしている時に、よく親父さんに魚を恵んでもらったんですよ」
「ほう、ヴィゴールは孤児だったのか?」
「そうなんですよ」
「だったらヴィゴール、俺の魚が全部売れてしまったら、孤児が今日飯を喰えなくなるのを分かっていて、それでも漢気を出して定価で買ってくれるんだな」
「ミノルさん、売れ残りを何でもかんでも買い漁ってますんで、イワシやアジの小さい奴も沢山混じってますんで、そんな料理の面倒な小魚を孤児に恵んでやってもらえませんかね?」
「ああいいぞ、だが選別するのは面倒だから、ヴィゴールが適当に選んでくれ」
「偉い! 冒険者はそうでなくっちゃいけねぇ!」
「アンドレアの親父さん、買って来た魚を一旦出すから売り台を貸してもらえるかな」
「ああ構わんよ、だがまずうちの魚を買い取ってもらおうか」
「おおいいよ、いくらだい」
「大銀貨1枚と小銀貨4枚に大銅貨7枚だ」
「これでいいか?」
「ああ、ありがとよ」
(ふむ、御調子者かと思っていたが、1本筋の通った漢だったのだな)
(ああそうだな、俺も正直見直したよ)
「ほいほいほい、これは小さいこれは少し痛んでる、親父さんも選別してくれよ」
「俺が勝手にやる訳にはいかんだろう」
「構いませんよ、小さくて料理し難い魚は孤児にやって下さい。天日干しして保存が利くなら、小さい魚全部を孤児にやっても構いませんよ。ああ、俺のアイテムボックスの容量は大きいんで、日持ちがしないなら保存しておいて、明日孤児にあげてもいいですよ」
「さすがだねぇ~、ミノルさんは気風がいいねぇ~」
「そうか、日干しする分も分けてくれるのなら、俺も気合入れて選別させてもらおう」
「ああそれと親父さん、明日も来させてもらいたいんだが、魚を指定して仕入れてももらう事は出来るか?」
「明日も来てくれるのか? だったら何でも言ってくれ、水揚げされている魚なら何でも仕入れて来て見せる」
「そうか、だったらタコ・エビ・カニの仲間は全部仕入れて欲しい」
「分かったが、どれ位仕入れればいいんだ?」
「あるだけで構わないのだが、そう言われても信用できないだろうな?」
「当たり前だろ、ナーポリの水揚げ量がどれだけあると思っているんだ!」
「取りあえずこの金で仕入れられるだけ仕入れてくれ」
「あん? な! 小金貨30枚分だと?! 露天商の仕入れ額がどれくらいだと思っているんだ?! 小金貨2枚もあればお釣りが来るんだよ!」
「だがカニやエビは高いんだろ」
「確かに少々値は張るが、それでも露天商1人が持ち運べる量には限りがあるんだよ」
「まぁまぁまぁ、そう怒りなさんなアンドレアの親父さん、まずはミノルさんの話を全部聞かせてもらいましょうや」
「さっき言ったタコ・エビ・カニの他にも、アンコウやタラ、タチウオやアナゴ、サヨリにサワラなんかも欲しいんですよ」
「ミノルさんよ、旬は分かっているのか?」
「いや、残念ながらこの街に来るのは初めてなんだ、今日は無差別に余っている魚を買い漁ってしまったけど、出来れば旬の魚介類を買い集めて欲しい」
「それは、旬外れで値段ばかり高い、珍しいだけの魚は仕入れ無くていいと言う事だな」
「ああ、旬の美味しい魚介類だけを仕入れてくれ」
「だったらヴィゴールが仕入れた魚を運んでくれるとしても、預かるのは小金貨10枚で十分だ」
「ちぇ、しかたないなぁ~、ミノルさん、明日も小銀貨1枚で案内させてもらえますか?」
「ああいいぞ、親父さんいは前金としてこれを渡しておくよ」
(なかなか漢気とやらがある親父のようだな)
(そうだね、俺と話をするときを視線を外さず、真剣に目を見て話してくれるし、信頼出来る相手のようだね)
(この街に来て、いい出会いがあったようだな)
(そうだね、俺もそう思うよ)
「悪いがこの街で魚介類を買える場所を教えてくれるか」
「魚介類ですか? 食事をする場所ではなく、素材を買われるのですか?」
「いや違う違う、食料としての魚介類が欲しいんだよ」
「え? 食料ですか?」
「そうそう、俺はアイテムボックスがあるからね。旅や狩りの途中でも食事には手を抜かないんだよ」
「へぇ~、ミノルさんはグルメなんですか?」
「グルメとは言えないけど、食いしん坊ではあるね」
「そうなんですか、でしたら港の朝市がいいんですが、今頃だともうほとんど売りきれているかもしれません。ただ逆に売れ残りを安く売っている場合もありますので、欲しい物はないかもしれませんが、安く買えるチャンスでもあります」
「そうか、だったら朝市とやらに行ってみるよ。だけどこの街に来たばかりで、どこに何があるのかサッパリ分からないから、地図からあったら売って欲しいんだが」
「すみません、街の地図は軍事機密にもなりますので、冒険者ギルドが公式に販売する訳にはいかないんです」
「そうか、それは仕方がないね」
「俺が案内させてもらいますよ」
「ヴィゴールさんでしたね、いいんですか?」
(暇な奴だな、さっき散々受付主任に文句言っていた癖に、まだギルドにいるとは)
(おいおいおい、それは可哀想だぞセイ)
「へへへへへ、大銀貨を1枚下さるなら、街の隅から隅まで案内させていただきますよ」
(卑屈な奴だな)
(本当に可哀想だぞ、普通K級を名乗る相手の模擬戦に、D級の冒険者が選ばれたら文句の1つも言いたくなるだろう)
(ふむ、そうかもしれんな)
(それにあんな負け方をしたんだ、実力差に敬意を払って下手に出るのもおかしことじゃないよ)
(ふむ、人間界ではそうなのかもしれんな)
「それでいいよ、1日大銀貨1枚で街の案内を頼む」
「そうでなくっちゃ、K級の冒険者はさすがに気風(きっぷ)が好いねぇ~! おまけに昼食を奢ってくれたら嬉しんだけどなぁ~」
(調子のいい奴だ)
(そうだな、だが嫌いじゃあないよ)
「いいぞ、オークが売れたから懐は温かいしな」
「すごいねぇ~! ソロの冒険者がいきなりオークを300体売りたいなんて、今まで見た事も聞いた事無いですよ」
「褒めてくれてありがとう、だが時間が惜しいんで、そろそろ案内を頼むよ」
「任せて下さい!」
ナーポリ港:朝市
「ミノルさん、ここがナーポリ名物の朝市でさぁ!」
「思っていた以上に広いんだね」
「そうなんですよ、ナーポリは港の整備に力を入れていますからね、大型の漁船が集まるんで、自然と水揚げされる魚の種類も量も増えていって、最近じゃ近隣の街の中でもピカ1なんですよ」
「だが店じまいを始めている露店も多いし、急いで買い物をする事にしよう」
「任せて下さい! キッチリと値切らせてもらいます」
「ああ頼んだよ」
(ミノルは値切りが苦手なのか?)
(ああ、河内の人間ではあるんだが、そもそも本当に必要なものしか買わないし、気が弱いから値切れないんだよ)
(ほう、今までは値切らずに定価で買っていたのか?)
(日用品や消耗品はね)
(値の張るものはどうしていたんだ?)
(友達の値切り上手に頼んでいたよ、特に若い頃は友達とつるんで遊んでいたからね)
(なるほどな)
「なあ親父、もう今日は店じまいするだろ? だったらここに残っている奴全部買うからよ、大銀貨1枚にまけろよ」
「おいおいおい、これの元値がいくらだと思っているんだよ、どんだけまけても大銀貨1枚と小銀貨3枚だね」
「いいのか親父、あちらの露店の親父がこっちを伺っているぞ、何ならあっちに行って買ってもいいんだぞ?」
「う! だがさすがに大銀貨1枚ぽっきりと言う訳にはいかん、小銀貨の2枚はつけてもらわんと、こっちも生活がかかってるんだ」
「おいおいおい、この後でこれらが売れると思っているのか? 全部売れ残ったらそれこそ丸損だぞ? それでもいいのか?」
「ちぃ! 仕方ないな、大銀貨1枚と小銀貨1枚なら売ろう」
「仕方ないな、大銀貨1枚と小銀貨5枚で買おうじゃないか、それでどうですか? ミノルさん」
「それで構わないよ」
「おいおいおい、俺は大銀貨1枚と小銀貨1枚と言ったんだ」
「まぁまぁまぁ」
(頃合いだな)
(そうだな、セイ)
俺が財布から、オークを売り払って手に入れた大銀貨1枚と大銅貨7枚を取り出した」
「お? ミノルさんが色をつけて大銅貨7枚をくださった、これで手を打っておけよ親父」
「仕方ないな、ミノルさんとやらの顔を立ててこれでいいよ」
「さすがだねぇ~、港町の露天商はこうでなくちゃいけねぇ!」
「御世辞を言っても、もうなにも出ないぞ」
「いやいや、お世辞なんかじゃないよ、親父は何時も気風がいいからね。さあ、ミノルさん、サクサクと次に行きましょう」
「おう、行こうか」
俺は露天商の親父から、残り物を全部手に入れてアイテムボックスにしまった。そしてヴィゴールの後をついて次の店に行ったが、ヴィゴールの値引きは巧みで、露天商の親父をおだてて褒めちぎり、いい気分にさせて安く商品を手に入れていた。
ヴィゴールには人を見る眼があるのか、それとも長年値切って生きてきたのか、値切り交渉に応じない店主の露店には近づきもしなかった。もしかしたら、過去に何か悪さをして近づけないのかもしれないが。
「アンドレアの親父さん、残り物全部売ってくれ」
「ヴィゴールか、俺は小銅貨1枚だって安くせんぞ!」
「構わないよ、全部定価で売ってくれよ」
(ほう、ここでは定価で買うのか?)
(あれほど熱心に値切っていたのに、最後の最後で定価で買うと言う事は、何かあるようだな)
「あん、全部買うだと? 俺のやり方を知ってそれを言うか?!」
「もちろんですよ、ミノルさんがこの街に来て初めての買い物ですから、アンドレアの親父さんの代わりに漢気を見せてくれますよ」
「ほう、その後ろの御仁が漢気を見せてくれるのか?」
「ミノルさん、このアンドレアの親父さんは値引きに一切応じない人なんですが、その代わり売れ残った魚を孤児たち配っているんですよ。だから奇特な連中は、親父さんから魚を買うんですよ」
「その奇特な人間の1人がヴィゴールだと言う事か?」
「いやぁ~そうじゃないんですよ、地下道で暮らしている時に、よく親父さんに魚を恵んでもらったんですよ」
「ほう、ヴィゴールは孤児だったのか?」
「そうなんですよ」
「だったらヴィゴール、俺の魚が全部売れてしまったら、孤児が今日飯を喰えなくなるのを分かっていて、それでも漢気を出して定価で買ってくれるんだな」
「ミノルさん、売れ残りを何でもかんでも買い漁ってますんで、イワシやアジの小さい奴も沢山混じってますんで、そんな料理の面倒な小魚を孤児に恵んでやってもらえませんかね?」
「ああいいぞ、だが選別するのは面倒だから、ヴィゴールが適当に選んでくれ」
「偉い! 冒険者はそうでなくっちゃいけねぇ!」
「アンドレアの親父さん、買って来た魚を一旦出すから売り台を貸してもらえるかな」
「ああ構わんよ、だがまずうちの魚を買い取ってもらおうか」
「おおいいよ、いくらだい」
「大銀貨1枚と小銀貨4枚に大銅貨7枚だ」
「これでいいか?」
「ああ、ありがとよ」
(ふむ、御調子者かと思っていたが、1本筋の通った漢だったのだな)
(ああそうだな、俺も正直見直したよ)
「ほいほいほい、これは小さいこれは少し痛んでる、親父さんも選別してくれよ」
「俺が勝手にやる訳にはいかんだろう」
「構いませんよ、小さくて料理し難い魚は孤児にやって下さい。天日干しして保存が利くなら、小さい魚全部を孤児にやっても構いませんよ。ああ、俺のアイテムボックスの容量は大きいんで、日持ちがしないなら保存しておいて、明日孤児にあげてもいいですよ」
「さすがだねぇ~、ミノルさんは気風がいいねぇ~」
「そうか、日干しする分も分けてくれるのなら、俺も気合入れて選別させてもらおう」
「ああそれと親父さん、明日も来させてもらいたいんだが、魚を指定して仕入れてももらう事は出来るか?」
「明日も来てくれるのか? だったら何でも言ってくれ、水揚げされている魚なら何でも仕入れて来て見せる」
「そうか、だったらタコ・エビ・カニの仲間は全部仕入れて欲しい」
「分かったが、どれ位仕入れればいいんだ?」
「あるだけで構わないのだが、そう言われても信用できないだろうな?」
「当たり前だろ、ナーポリの水揚げ量がどれだけあると思っているんだ!」
「取りあえずこの金で仕入れられるだけ仕入れてくれ」
「あん? な! 小金貨30枚分だと?! 露天商の仕入れ額がどれくらいだと思っているんだ?! 小金貨2枚もあればお釣りが来るんだよ!」
「だがカニやエビは高いんだろ」
「確かに少々値は張るが、それでも露天商1人が持ち運べる量には限りがあるんだよ」
「まぁまぁまぁ、そう怒りなさんなアンドレアの親父さん、まずはミノルさんの話を全部聞かせてもらいましょうや」
「さっき言ったタコ・エビ・カニの他にも、アンコウやタラ、タチウオやアナゴ、サヨリにサワラなんかも欲しいんですよ」
「ミノルさんよ、旬は分かっているのか?」
「いや、残念ながらこの街に来るのは初めてなんだ、今日は無差別に余っている魚を買い漁ってしまったけど、出来れば旬の魚介類を買い集めて欲しい」
「それは、旬外れで値段ばかり高い、珍しいだけの魚は仕入れ無くていいと言う事だな」
「ああ、旬の美味しい魚介類だけを仕入れてくれ」
「だったらヴィゴールが仕入れた魚を運んでくれるとしても、預かるのは小金貨10枚で十分だ」
「ちぇ、しかたないなぁ~、ミノルさん、明日も小銀貨1枚で案内させてもらえますか?」
「ああいいぞ、親父さんいは前金としてこれを渡しておくよ」
(なかなか漢気とやらがある親父のようだな)
(そうだね、俺と話をするときを視線を外さず、真剣に目を見て話してくれるし、信頼出来る相手のようだね)
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