初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第77話リュウでも多少は気を使うようだ。

「今回は多少気を使ってやったぞ!」

「どんだけ偉そうなんだよ」

「偉そうなのではない、余は偉いのだ!」

「はいはいはいはい、確かに朝まで待ってはくれましたね。でも出来れば約束通り1カ月後に来て欲しかったですね」

「約束などしておらん、ミノルの希望を聞いただけだ」

「分かりました、でも料理はしませんよ」

「分かっておる、セイが開拓村の分身体に知識と技術を送ってくれればいい」

「分かっておるわ、きっとこうなるだろうと思って昨晩の内に全部伝えておいた。だがコープレイはどうするのだ、白虎の狩ったのを持っていくのか?」

「あるじ~」

「情けない声を出すんじゃないよ、リュウどうする心算だ?」

「心配するな、昨晩から朝までの間にコープレイとそれに似た魔獣やモンスターを狩ってある」

「情け容赦がないな、だが昨晩来なかったのは気を使ったのではなく、狩りに熱中したからじゃないのか?」

「そうでもないぞ、昨晩に来て食べた後で、朝から狩って食べた分を返す方法もあったぞ!」

「偉そうに言う事じゃ無いよ、まぁ1つの世界の支配者であるリュウが多少は我慢した事は認めるよ」

「そうか、ではミノルが味見用を作ってくれ、そうすれば開拓村の料理と比べる事が出来る」

「おいおいおい、結局作らせるのかよ」

「知識だけで全く同じものを再現できるとは限らないからな」

「やっぱり我儘だな!」

「そうでもないぞ、その代わりにミノルにはいい事を教えてやろう」

「いい事? なんだそれは」

「ジャイアント・レッドベアーを解体できる街を教えてやる」

「それは食材と資金を確保できると言う事か?」

「そうだ、ジャイアント・レッドベアーを食材に解体して、不要な部分を売却できれば今後無理に狩りをする事もあるまい」

「確かにそれはそうだな、それでそこはどこなんだ?」

「ローファン王国のビランと言う街だ」

「セイ、白虎知っているか?」

「ふぅ~、リュウよそこは確か他の大陸の国ではなかったか?」

「そうだ、それがどうかしたのか?」

「他の大陸などあまりに遠いではないか、ミノルは3日後にはこの街に戻って来ると約束しておるのだ」

「何を言っている、セイならそれくらいひとっ跳びであろう?」

「リュウなら翼を使ってすぐだろうが、我は魔法で跳ばねばならぬ。前回は帝国の暴挙があったから人種の原初も何も言わなかったが、早々度々人種の世界で跳ぶのは憚られる。リュウもあまり傍若無人な振る舞いを繰り返すと、人種もいい加減怒って来るぞ」

「人種が挑んで来るのなら何時でも相手になってやるが、まぁあまり無茶をすれば他の原初も怒り出すかもしれんな、ほどほどにいておこう。ではおまけにビランまでの送り迎えをしてやろう」

この後も色々と話し合って、細々とした条件を決めたのだが、1つだけどうしても心配なことがあった。それはリュウがシャトーブリアンとサーロイン・芯タンだけを食べて、他の部位を捨ててしまわないかと言う事だった。

万が一そんな事になったら、牛種の獣や魔獣・モンスターが絶滅してしまうかもしれない。命を頂く以上、1頭全ての部位を無駄にする事は許されない。そこでステーキ以外にも、色んな部位を使って即席で美味しい作れる薄切り肉の炒め煮・ハンバーグステーキ・ビーフカツ・生姜焼きを作って食べさせた。

これで1部位しか食べないのに、大量の虐殺をするような事を防げればいいのだが。

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