初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第70話秘蔵品

俺はアグネスを白虎から取り上げるために、アイテムボックスの秘蔵品を使う事にした。

リュウに色々集(いろいろたか)られていた時に、偶然と言うか何というべきか、残しておいたドローン配送の宅配料理だ!

「アグネス、珍しい料理が有るよ、とっても美味しいから食べてみな!」

俺の心からの言葉がアグネスに届いたのだろう、白虎の差し出したシロコロとハート料理を食べていたアグネスが俺の方を見て、クンクン香りを確かめだした。

今まで嗅いだ事のない香りに興味を引かれたのか、それとも即座に美味しそうと思ってくれたのかは分からないが、ホテホテとこちらの方に近づいて来てくれて、俺の差し出した料理をペロリと舐めてくれて、驚愕するような表情を浮べてガツガツ食べてくれた。

俺が眼の前に並べた料理は以下のようものだった。

海老の特製マヨネーズ:980
ごちそうキャベツの回鍋肉:980
ハンバーグとタンドリーチキン:1280
じっくり煮込んだ牛ほほシチュー :1800
イタリア産豚肉のロースト    :2900

アグネスは意外と野菜も好きなようで、海老も肉も野菜と一緒に食べてくれる。

悔しそうに寂しそうな視線を送ってくるセイと白虎の姿が哀れではあるが、アグネスの関心が手に入るなら無視である。

「ミャミャミャミャミャ~」

お腹が一杯になってしまったのだろう、もう食べれないけどもっと食べたい、料理の前から移動したくないと訴えるように、切ない表情で俺を見つめながらアグネスが話しかけてくる。どうも御腹一杯になって眠くもなったのだろう、眼をシバシバしている。

「ベットで一緒に寝ようか? そこに料理を持っていくかい?」

「ミャァ!」

俺の言葉が理解できるのか、心情を察知する能力があるのか、うれしそうに返事をしてくれる。すばやくアグネスの後ろに、天蓋付き蚊帳バリアーベットをアイテムボックスから取り出してあげた。

そうするとアグネスは、食べ切れなかった料理の皿を上手に咥(くわ)え、イソイソとうれしそうにベットの中に運びだした。

だがよほど眠たかったのだろう、最後の皿をベットの中に運び込んだところで、電池が切れたオモチャのように、コテッと倒れ込むようにして眠ってしまった。その寝姿の余りの可愛さに、ずっと見つめていたい気分だったが、俺自身も空腹なので食事をする事にした。だがアグネスの食べてる姿に触発されてしまい、秘蔵の料理を食べ切ってしまう事にした。まあ秘蔵とは言っても、ドローン配送を使えば何時でも取り寄せられるのだが。

ぷりぷり海老のチリソース:1080
肉ニラ炒め:980
麻婆豆腐:900
スタミナレバニラ炒め:980
チョリソーのホイル焼き :390
ハモンイベリコ(45g) ~スペイン産生ハム~:858
ポークジンジャーサラダ   :1058
キノコ入りガーリック醤油ステーキ:2300

アグネスには辛すぎたり香りがきつすぎると判断して、出さないでおいた秘蔵料理、コイツを今日は食べ切ってしまおう!

「マテ、まて、待て! 余にも食べさすのじゃ!」

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