初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第40話依頼

「フランケンまで護衛をお願いしたいのです」

「ほう、なかなかの腕前とお見受けいたしましたが、護衛が必要ですか?」

「開拓村からここに来るまで何度も死にかけましたし、大した腕ではありません。そんなことよりも、出来るだけオークやコボルトの素材を高く売りたいのです。ここで売るよりも、にぎわっているフランケンで売る方が高く売れるだろうし、村が必要としている食料もフランケンで買った方が安く手に入ると思ったのです」

「なるほど、確かにフランケンの方が有利でしょうが、護衛の報酬が高くつくから一概に有利とは言えませんね」

「そうですか、ギルドマスターにだけ打ち明けるのですが、私は少々魔力を持っていますので、アイテムボックスに素材を入れているのです」

「なるほど、売買する量が多いから護衛費用は埋められると言う事ですね」

「はい」

「う~ん、正直な話をすると、今回のゴーランの件でミノル殿にはテトラに留まってもらいたいのです」

「では村に食料を送るのが遅れてしまうと言う事ですね」

「フランケンまで往復する日数と護衛を依頼する費用を考えて、ギルドとしても素材の買い取りに色を付け、食料の販売も安くしますので、テトラに留まって頂けませんか?」

「ではテトラに留まる間に狩りがしたいので、冒険者登録を御願い出来ますか?」

「う~ん、ドラゴビッチ家から刺客が送り込まれる可能性があるので、出来ればギルドの客室で大人しくしていて欲しいのですが」

「しかし村の為には少しでも稼がないといけないのです、狩りに行くのを認めて頂けませんか?」

(お~いミノル、ちょっと演技にのめり込み過ぎじゃないか? 別に狩りなどしなくても、金にも食料にも困っていないだろう。開拓村だって、今では何不自由なく暮らしているぞ)

いいじゃないかよ、ちょっと会話を楽しんでいるんだよ。

(ほどほどにしとかないとボロが出るぞ、それに護衛をつけるとか、安全の為にパーティーを組めとか言われたら白虎やアグネスに会いに行けなくなるぞ?)

確かにそうなるとやばいな。

「ではどうですかね、ミノル殿の魔法使いとしての実力は後で確認するとして、実力に応じた冒険者とパーティーを組んで狩りをされては? アイテムボックスが使えると言うのなら、それだけでも仲間に迎えたいと言うパーティーは多い。私が厳選したパーティーを紹介するので、人柄を心配する必要はありませんよ」

(それ、言わんこっちゃないだろうが)

まあだいじょうぶだよ、白虎とアグネスには夜にこっそりと会いにくよ。

(そんな都合良くいくかね?)

「分かりました、そうさせていただきます」

「では実力を拝見させていただきますから、練習場に行きましょう」

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