初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第24話ボア・カシラの東松山風焼き鳥

「主、美味かったぞ! 腹が一杯になったから温泉に入りたい」

「うん? ああそうだな、もうジャグジーが水になってるし、水自体も汚れているな」

「え~い白虎、それくらい自分でやらんか!」

「ひぃ~! ごめんなさい」

「まぁまぁまぁ、それいくらいならいいさセイ、だが水自体は白虎が出せるんだろう?」

「ああ、自分で出せるが温泉の香りがしないのだ」

「じゃあ温泉の素を入れてやるから、ジャグジーの水を一旦捨てて自分で入れ直してくれ、それに温めるのも自分でやってくれ」

「それなんだが主よ、温泉の香りは好きなんだが、熱いのは苦手なんだ、だから温泉は水にしてくれ」

「え~い、我儘(わがまま)ばかり言いおって、こんな奴の言う事など聞かずともよいぞ」

「まぁまぁまぁ、いいじゃなかセイ、その代わりリュウの食べる料理をタップリ作ってもらうんだ、自分で用意する風呂くらい好きにさせてやるさ」

「うむ? そうかそうだな! おい白虎! 温泉とやらを用意してやるから、その分後で魔道オーブンを創り出し料理を作るのだぞ」

「え~! さっき沢山(たくさん)作りましたやん!」

「黙れ! リュウが満足する量を毎日毎食作るのが白虎の役目だ、それが嫌ならミノルの家臣を止めて出て行け!」

「ヒィィ~! 分かりました創ります作りますよ、その代わり温泉と酒を御願いしますよ、主!」

「リュウが食べる料理を作り、それに必要な魔道オーブンを創り出してくれるのなら、いくらでも温泉も酒も与えてやるが、それでいいか?」

「おう! それでいいぞ主」

さてどうしようか?

俺は昔から熱い風呂が大好きで、熱さを我慢して入った後で、慣れたら更に追い焚きしていたのだ。同じジャグジーを使うなら、白虎とは温度の好みが極端に違ってしまう。御金があるからジャグジーをもう1つ買ってもいいのだが、水風呂用ならプールでもいいのではないだろうか?

そこで色々と調べてみたのだが、オーバルフレームプール・18フィートx10フィートx42インチで114300で有るのだが、白虎が入っても壊れないだろうか?

大きさから言えば5・49m×3・05m×1・06mだから大丈夫だが、白虎の爪が当たったら簡単に破れて空気が抜けてしまいそうだ。どうせ壊れやすいのなら、ウォータースライダーなどが2つついた遊具タイプも買っておこうか?

本体サイズが6・55m×5・39m×3・00mとオーバルフレームプールより大きいが、ウォータースライダーなどの遊具部分も大きいから、実際に水に浸かれる広さはこちらの方が狭そうだ。まあ御金も有るし、試しに2つとも買ってしまおう。

オーバルフレームプール  :249980
ウォータースライダープール:114300

「白虎、これに空気を入れて膨らませてから水を入れてくれ」

「おう、分かった」

初めてビニールプールに空気を入れるのが面白いのだろう、文句も言わずにエアポンプ代わりに膨らませてくれるのだが、どう見ても凶悪な爪や牙が当たると簡単に破れそうだ。

「あちゃ~、やっぱり白虎が入るには柔(やわ)すぎるかな?」

「うむ? ならば強化の魔法を掛ければよかろう」

「そんな便利な魔法が有るのかセイ?」

「戦いで味方の防御力を強化するための魔法がある、プールとやらが丈夫になるイメージで、我と一緒にストレングスニングと唱えてみよ」

「「ストレングスニング!」」

「これで白虎どころかリュウが乗ってもビクともせんわ」

「それはそれで凄すぎる気がするな」

「主、もう入っていいのか?」

「ああ入っていいぞ」

「ヤッホー!」

白虎は自分で2つのプールに水を入れて飛び込んだので、俺も急いで温泉素を大量に放り込んでやった。少々大雑把(しょうしょうおおざっぱ)だが、白虎を相手にするのならこれくらいで丁度いいのだろう。

それともう1つ酒を買ってやらなければいけないのだが、いちいち調べるのが面倒になったので、前回買った物と同じ酒を買う事にした。それなら調べる手間も購入する手間も大幅に減らせる。

山口県産・磨き二割三分・純米大吟醸・1800ml:10800
新潟県産・銘酒3本飲み比べセット・720ml×3:4213
新潟県産・純米大吟醸・1500ml:3780
佐渡新潟産・銘酒2佐渡地酒6・300ml×6種:3980
新潟県産・吟醸生酒・1800ml:6995
新潟県産・特選大吟醸・720ml:5400
新潟県産・普通酒3・本醸造酒1・純米酒1・1800ml×5:10800

「お~い、酒だぞ白虎」

「おう! あ~り~がとサン!」

「ふざけるな!」

「ヒィィ! ごめんなさい!」

あぁあぁ、白虎の奴またセイに怒られてる、あの性格は直りそうもないな。

「セイ、俺はさっき作ったガツの唐辛子炒めを食べるけど、セイはどうする?」

「そうだな、ミノルが少しでもゆっくり出来るように、魔道オーブンとバーベキューコンロで丸焼きや1本焼きを作っておいてやろう」

「後で新しい料理を覚えてもらう心算だから、今は休んでもらっていてもいいのだぞ?」

「ふむ、まあ今日はサービスで色々してやろうではないか、そもそもリュウがここに来たのも我の影響だからな」

「そうかじゃあ頼むよ」

俺はガツの唐辛子炒めだけを食べる心算だったのだが、白御飯はともかく野菜は食べておいて方がいいと思いいたり、リュウが食べ残した付け合わせ野菜を食べることにした。

小海老の天ぷら付け合わせサラダ
フライドポテト
人参グラッセ
バターコーン
ほうれん草バター

俺がゆっくりと味わいながら食事をしてると、セイが風魔法を駆使して料理に勤(いそ)しんでくれている。しかも器用な事に、ホーンラビットの味付けを応用してオークを料理う作ってくれている。これなら俺がいちいち指図する必要はないかもしれない。

白虎が創り出した魔道オーブンで10頭分のオークを丸焼きにしてるし、俺が買い増したバーベキューコンロを使って136本のオーク腕・脚1本焼きを作ってくれている。オークのレバーシチューを寸胴鍋5杯分作ってくれているのまでは普通だが、オークの頭や胴体を風魔法でブツ切りにして寸胴鍋に入れ、それぞれマスタード煮・スティファド風煮込み・イタリア猟師風煮込み・マタギ汁にしてくれているのには、正直驚いた!

「セイが作ってくれた予備料理」
オークの丸焼き:10頭
オークの腕・脚1本焼き:136本
オークのレバーシチュー:寸胴鍋5杯
オーク胴体のマスタード煮:寸胴鍋5杯
オーク胴体のスティファド風煮込み:寸胴鍋5杯
オーク胴体のイタリア猟師風煮込み:寸胴鍋5杯
オーク胴体のマタギ汁:寸胴鍋5杯分

だがそうなると、ホルモンだけじゃなく正肉も部位ごとに料理法を教えた方がいい。食材は腐らないけど腐るほど沢山あるから、せっかく作ってくれているのを止める必要などないが、毎食ボアの部位ごとの料理を作ろう。



「セイ、今からボアの頭の部位を使った料理をするぞ」

「ふむ? 頭の肉も細かく分けて料理するのか?」

「ああ、コメカミからホホにかけての肉なんだが、よく動かす部分だから筋肉が発達し脂身も少ないんだが旨味は強いんだ」

「ほう、美味しい肉のようだな」

「人間が食べる場合は、白い筋をそぎ取って2回くらい切り込みを入れて一口サイズに切った方がいいのだが、リュウや白虎が食べる分ならそれほど気を使い事はないと思う」

「そうだな、リュウと白虎なら大きなままの方が食べ応えがあるだろうし、筋を残して歯ごたえを残した物と、そぎ取って柔らかくした物のどちらが美味しいか確かめるべきだな」

「ああ、そうしてくれると助かるよ。筋を取ったカシラ肉に酒と塩を塗して、北京鍋にサラダ油・ニンニク・豆板醤を入れ弱火で香が出るまで炙8あぶ)り、強火にしてからカシラ肉をいれる」

「うむ、こうだな」

「最後にカシラ肉に火が通ったら火を止めて醤油麹(しょうゆこうじ)を入れ、塩胡椒(しおこしょう)で味を調えたら完成だ」

「うむ、これで完成なのだな、村にいる分身体を通じて村人にも作らせておこう」

チョット試食だ。

美味い!

俺の感覚では肩ロースよりも柔らかい肉質だし、ロースよりも旨味があると思っている。量は取れないが、豚顔(チラガー)として食べるより、生の時点で耳や鼻と部位分けしておきたい。リュウや白虎用に部位の特性を無視して、丸焼きしたりブツ切りにして寸胴鍋で一律に煮込むのはもったいない!

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