初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第16話白虎の御願・オーク・ジャイアント・レッドベアーの階級

「白虎どうした?」

「リュウ様の食事が終われらたようでしたら、俺の獲物を納めてもらいたいのですが?」

「ふん! 余の用事は終わった、明日には雑魚を沢山狩って持ってくるから料理してもらおう。アイテムボックスに入れておけば腐ることもないから、毎日手間をかけることもなくなる」

「ミノル、ジャイアント・レッドベアーはアイテムボックスに入れておけ、1023頭もいるから1日や2日でどうこう出来る数ではないぞ」

「だがセイ、ジャイアント・レッドベアーを解体できる人間はいないのだがら、入れておいても仕方がないだろう?」

「ジャイアント・レッドベアーには魔石が必ず有るから役に立つのだ、それに人間界でも大きな冒険者ギルドなら解体できる人間がいるはずだ。人間の中には戦闘力の高い者もいて、ドラゴン種でも狩る猛者がいる」

「分かった、では入れておくよ」

「余の獲物を受け取ってくれたのだな、これで心置きなく料理を作ってもらえる」

「リュウ、御前は最初から遠慮などしていないではないか」

「そう言うなセイ、長い付き合いではないか」

「分かった分かった、リュウがいては白虎が落ちつかんようだから、早く自分の領界に帰れ」

「おう、ではまた明日な」



「ふぅ~、やっと帰ってくれたよ! 原初の竜が人間界をウロウロするなよな!」

「白虎、リュウは地獄耳だぞ、軽口は寿命を縮めるぞ」

「おっとクワバラクワバラ。ミノル、俺はちゃんと人間が解体できる獲物を狩って来たぞ」

うぉ!

「おい白虎! これを俺に喰えと言うのか!」

「うん? 何を怒っているんだ? 人間が大好きなオークだぞ、しかもロードークラスのオークなど滅多に食べれるものじゃないぞ!」

「ミノル、御前の世界では人型のモンスターは食べないのか?」

「白虎、セイ、よく覚えておけ! 俺は人型のモンスターは絶対に喰わんぞ!」

「なんだよ、好き嫌い言ってると大きくならんぞ」

「やかしいわ白虎! 俺の元いた世界では、人型を食べるのは禁忌(きんき)なんだよ!」

「ふむ、それは仕方がないな、どの世界や種族にも掟(おきて)はある、それに白虎が狩って来たオークならその村の住民なら解体出来る」

「だから解体してもらっても俺は食べないと言っているだろうが!」

「よく話を聞けミノル、獣を解体した手数料をオークで支払い、獣は全部貰えばいいだろう」

「そうか、そうだな、あの村は食糧難だからオークでも喜んでくれるのか?」

「チェ! でもとは何だよ、でもとは! 人間にはオークは御馳走なんだぞ! 貧乏な村ならオークどころかコボルトでも喜んで食べるぞ」

「本当かセイ?」

「人間も何でも食べるからな、肉食の美味しさなど我には理解出来んが、コボルトはドッグやウルフと似た味で、オークはボアやピッグと似た味だと言うな」

犬や狼まで食べるのか?!

いや駄目だ、食文化を批判するのは人種差別と同じだ、その土地で取れるものを食べて生き抜いてきた歴史を、自分勝手な視点で批判しちゃいけない。

「この世界の人が美味しく食べるのは理解した、だが俺は食べたくないから、その心算でいてくれ」

「チェ、仕方がないな、それで昼飯は何を食べさせてくれるんだ?」

「何を言ってるんだ?」

「何ってミノルが俺の主人になったってことだよ?」

「俺が白虎の主人だと? 何がどうなればそんなことになるんだ?!」

「ふむ、確かにミノルと白虎の間に主従契約がなされてるな、恐らく昨日と今朝の食事を与えたのが餌付けになったのだな。確定したのは、白虎が食事の礼にオークどもを狩って来た事だろう、あれで完全に主従関係が成立したのだ」

「だがセイ、俺とデュオの関係なんだろ、二重契約なんて出来るのか?」

「デュオは対等な一心同体の関係だが、主従は主人と家臣の関係だから問題はない」

「そうだぞミノル、主人は家臣を喰わせる責任がある、早く俺にもリュウに渡したの同じものを寄越せ!」

「あれでいいのか? あれなら時間もかからんし楽なものだ、だが何か納得出来ん!」

「いいからいいから、早く喰わせてくれ」

「火の魔法が使えるなら、軽く熱して融かして喰えよ」

「俺は白虎だぞ、火魔法は苦手なんだよ、ミノルがやってくれ」

「俺はこの世界に来たばかりなんだ、分からない事が多いんだよ、セイどう言う意味だ?」

「白虎は金属性の生き物でな、金属性と聖属性の魔法が1番得意で、土属性と水属性の魔法を多少は使えるが、火属性は苦手なのだ。だから白虎は熱い食べ物が苦手なはずだ、わざわざ火魔法で融かす事はないと思うぞ」

「じゃあこのまま食べてみてくれ」

俺は白虎にドローン配送で送らせた、ニュージーランド産の業務用エグモントチーズ・20kgブロックを与えた。いくら白虎が大食いでも、この大きさなら満足するだろう。

「ミノル、オークが痛まないうちにアイテムボックスに入れておけ、オークに混じってグレーボアも5頭いるようだから、ミノルも食べられるだろう」

セイに言われて確認してみたが、オークが1000頭くらいいるが、グレーボアと言う大猪そっくりのモンスターも混じっている。

「白虎よ、ロード級のオークがいれば10万前後のオークがいたはずだか、他のオークはどうした?」

「うん? 10万もいなかったぞ、色んな種族と戦って数を減らしていたようだし、並みのオークやファイター級オークはほとんど残っていなかったぞ」

「ふむ、共喰いをしていたのかもしれないな、それでいくらくらいいたのだ?」

「う~ん、1万よりは少なかったと思うぞ、美味しそうな順に狩っていたら、他の奴らは逃げて行った」

「セイどう言う事だ?」

「推測だが、ジャイアント・レッドベアーとオークは、存亡をかけて戦っている最中だったのかもしれない。だがそこにリュウと白虎が現れて無差別に狩り出したから、戦をしている余裕がなくなり、それぞれ縄張りを捨てて逃げ出したのかもしれんな」

「なあセイ、このトバッチリがあの村に向かわないだろうな?」

「まず間違いなく行くだろうな、さっきミノルが心配していたように、人間の国々にも大災害を引き起こすかもしれん」

「アチャ~、見て見ぬ振りは出来ないよな、俺に何とかできるだろうか?」

「ヨタサンダーを使えば簡単に壊滅させれるぞ、だがそれでいいのか?」

「どう言う意味だ?」

「ヨタサンダーを使えば、オークだろうがジャイアント・レッドベアーだろうが灰になってしまう、だがそれでは食材に使えんぞ」

「俺1人で1万も10万も食べれるはずないだろうが、あんなデカイ食材1頭いれば十分だよ」

「ふむ、だがあの村にも分けてやるのだろう?」

「分けてあげるつもりだが、人間でアイテムボックスを持っている者は少ないんだろう? 多すぎても腐らせるだけだし、今でもオークもジャイアント・レッドベアーも1000頭以上いるんだ、もう十分すぎるよ」

「確かにあの村にはアイテムボックス持ちはおらん、だがあの村がアイテムボックスを使えるようにする事はできるぞ」

「なんだと?! どうやるんだ教えてくれ!」

「教えてやるが、その前に大災害をふせがなくていいのか?」

「そうだった、それが1番だ、急いで今どうなっているか確認したい!」

「分かった、少々魔力を使うが飛行魔法で追いかけてみよう」

「オーク階級」
ノーマル・オーク
ファイター・オーク(メイジ・プリースト・アーチャーなど)
リーダー・オーク
メイヤー・オーク
コマンダー・オーク
ロード・オーク
ジェネラル・オーク
キング・オーク
エンペラー・オーク

「ジャイアント・レッドベアー階級」
ノーマル・ジャイアント・レッドベアー
ファイター・ジャイアント・レッドベアー
リーダー・ジャイアント・レッドベアー
メイヤー・ジャイアント・レッドベアー
コマンダー・ジャイアント・レッドベアー
ロード・ジャイアント・レッドベアー
ジェネラル・ジャイアント・レッドベアー
キング・ジャイアント・レッドベアー
エンペラー・ジャイアント・レッドベアー

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