「婚約破棄」「ざまあ」短編集5巻
第1話
「君がヘルメース神の聖女エルサか?
ふむ、濡羽色の腰まであるストレートの髪は、まあ、魅力的だな。
漆黒の瞳は引き込まれそうな感じがしていい。
透き通るような白磁色の肌は、金になるかもしれん」
何を言っているのでしょう、この軽薄そうな男は。
私の実家の家格は男爵でしかありませんが、フェラード王国の守護神ヘルメース様に聖女に選ばれた事で、ヴィンセント王太子殿下の婚約者に選ばれているのです。
それを商売女のように値踏みするなんて、失礼極まりないです!
「どうだ、リーアム殿。
この女なら負けた金に見合うのではないか?」
ああ、またですか。
また賭け事で負けてきたのですか!
博打の神ヘルメース様を守護神に仰ぐフェラード王家の王太子ともあろう者が、毎度博打で負けて借金を抱えて国に帰ってくるなんて!
あまりに情けなさすぎます。
「ふむ。
確かに見た目は悪くないが、どのような神性をヘルメース神から授かっているかで、値打が変わってくる。
我がスケフィントン王家にも守護神はおられる。
同じ神性を持っていても役には立たん。
銀五千枚は大金だから、厳しく見極めさせてもらうぞ。
我が神と違う神性を持っているのか教えろ」
ああ、今度は相手が悪すぎます。
他の国の王族と博打をして負けるなんて、踏み倒すわけにはいかないです。
守護神の神性によっては、神同士の争いになってしまいます。
しかも負けた額が銀五千枚なんて、今迄の借金のように、私に肩代わりできる金額ではありません。
ですが黙って売られたりはしません!
「待ってください。
それは話がおかしいです。
私は婚約者ではありますが、結婚はしていません。
借金のかたにされる覚えはありません。
どうしても私を借金のかたにするというのなら、婚約は破棄させてもらいます」
「そうはいかないんだ。
我が王家が守護を約束した神は、契約の神ミスラ様。
友情と友愛の守護神でもあられる。
その神のもとに契約したことを破るというのなら、神々の戦いとなる。
それでもいいのかな?」
酷い話です。
本当に友情の仲なのかどうかは、狡知に富み詐術に長けた計略の神でもある、ヘルメース神の神性を授かっている私には分かるのです。
友情に見せかけて、博打好きで愚かなヴィンセント王太子殿下を騙したのです。
ここは能弁と策略の神性を使って、論破し暴き立てないければいけませんね。
「それはしかたがないことでしょう。
神々の争いは神々の事情です。
人間の争いは人間の事情です。
まずは神々に人間の事情をお知らせしなければいけません。
特に、その場におられなかったヘルメース神に対して、この度の賭けが正々堂々と行われたかどうか、お知らせして見極めてもらわなければいけません」
「ほう、それは私がイカサマをやったと言いたいのか?」
「イカサマかどうかは、人間として正すべき程度の事か、神として戦いを始めるほどの事か、明らかにしなければいけません。
それともリーアム殿下にはヘルメース神に知られたくない事情があるのですか!」
ふむ、濡羽色の腰まであるストレートの髪は、まあ、魅力的だな。
漆黒の瞳は引き込まれそうな感じがしていい。
透き通るような白磁色の肌は、金になるかもしれん」
何を言っているのでしょう、この軽薄そうな男は。
私の実家の家格は男爵でしかありませんが、フェラード王国の守護神ヘルメース様に聖女に選ばれた事で、ヴィンセント王太子殿下の婚約者に選ばれているのです。
それを商売女のように値踏みするなんて、失礼極まりないです!
「どうだ、リーアム殿。
この女なら負けた金に見合うのではないか?」
ああ、またですか。
また賭け事で負けてきたのですか!
博打の神ヘルメース様を守護神に仰ぐフェラード王家の王太子ともあろう者が、毎度博打で負けて借金を抱えて国に帰ってくるなんて!
あまりに情けなさすぎます。
「ふむ。
確かに見た目は悪くないが、どのような神性をヘルメース神から授かっているかで、値打が変わってくる。
我がスケフィントン王家にも守護神はおられる。
同じ神性を持っていても役には立たん。
銀五千枚は大金だから、厳しく見極めさせてもらうぞ。
我が神と違う神性を持っているのか教えろ」
ああ、今度は相手が悪すぎます。
他の国の王族と博打をして負けるなんて、踏み倒すわけにはいかないです。
守護神の神性によっては、神同士の争いになってしまいます。
しかも負けた額が銀五千枚なんて、今迄の借金のように、私に肩代わりできる金額ではありません。
ですが黙って売られたりはしません!
「待ってください。
それは話がおかしいです。
私は婚約者ではありますが、結婚はしていません。
借金のかたにされる覚えはありません。
どうしても私を借金のかたにするというのなら、婚約は破棄させてもらいます」
「そうはいかないんだ。
我が王家が守護を約束した神は、契約の神ミスラ様。
友情と友愛の守護神でもあられる。
その神のもとに契約したことを破るというのなら、神々の戦いとなる。
それでもいいのかな?」
酷い話です。
本当に友情の仲なのかどうかは、狡知に富み詐術に長けた計略の神でもある、ヘルメース神の神性を授かっている私には分かるのです。
友情に見せかけて、博打好きで愚かなヴィンセント王太子殿下を騙したのです。
ここは能弁と策略の神性を使って、論破し暴き立てないければいけませんね。
「それはしかたがないことでしょう。
神々の争いは神々の事情です。
人間の争いは人間の事情です。
まずは神々に人間の事情をお知らせしなければいけません。
特に、その場におられなかったヘルメース神に対して、この度の賭けが正々堂々と行われたかどうか、お知らせして見極めてもらわなければいけません」
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