「婚約破棄」「ざまあ」短編集5巻

克全

第13話

「父上!
ここまでされて、まだ生かしておけと申されますか!」

「……分かった。
さすがにこれでは生かしてはおけんな。
私は王宮に行って、陛下にダーシィを殺す許可をもらってくる。
アイラは煮るなり焼くなりお前の好きにしろ」

「ありがとうございます、父上!」

お爺様がチラリと私の方を見られます。
なにが言いたのでしょうか?
ああ、そうですね。
確かにその心配はありますね。
今回の件はあまりに酷過ぎます。
それを行ったのはダーシィです。
そしてダーシィは私の実の母親なのです。

ずっと虐待されてきました。
いつ殺されてもおかしくない状態でした。
別の世界では、実際に殺されてしまっています。
ですが、母親であることに違いはありません。
昨日までは心配し愛してくださっていた義父上と義母上が、私を憎む可能性もあるという事を、お爺様は心配してくださっているのでしょう。

そうなってもしかたがないですね。
私から見ればとても理不尽なことですが、義父上と義母上から見れば、私も不妊の毒を盛る理由の一つに見える事でしょう。
特にアイラを処刑した後に残るダーシィの血筋は、私だけになります。
義父上と義母上に実子が生まれたら、私は邪魔者でしかありません。

ですがそれが普通の人間の感情です。
恨まずにはいられないでしょう。
私は同情され庇われ愛される対象から、憎まれ殺意を向けられる対象になります。
これは受け入れるしかありませんね。
私を庇い助けようとしてくださっていた、義父上と義母上が憎まれるのなら、受け入れるしかありません。

「義父上、急いで処刑してしまいましょう。
ここまで罠を張り巡らせていたダーシィとアイラです。
騎士団のなかに味方を作っているかもしれません。
急がないと、そいつらがアイラを連れて逃げるかもしれません」

「そうだな、急ごう。
皆ついてこい!」

「「「「「は!」」」」」

私達は急いで第一騎士団本部に駆けつけました。
何とか敵に先んじることができました。
いえ、ダーシィやアイラに通じていた者も、ここまで状況が悪くなって、離反した可能性もあります。

アイラの処刑は激烈でした。
とても言葉にできないほどの殺し方でした。
身体を松明の火で焼きます。
鼻と耳と唇を焼いてから削ぎ落し、それをアイラ自身に食べさせるのです。
最初に爪を剥ぎ、次に手足の指を焼き、斬り落としてからアイラに食べさせます。
二目と見られなくなった顔を、鏡を使ってアイラに見せつけます。
腹を松明の火で焼いて、その上に飢えた鼠を入れた箱を逆に置き喰い破らせます。
生きたまま鼠に内臓を喰われるのです。
半死半生になったところを、治癒魔法を使って完璧に治し、同じ拷問を繰り返して、永劫の地獄を味合わせるのです。



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