「婚約破棄」「ざまあ」短編集5巻

克全

第5話

「ふん!
そんな事は不可能よ!
オリバー王太子殿下と私の関係は、切っても切れないモノよ!
オリバー王太子殿下は私を正室にするといったわ。
誓約書も書いたわ
オリバー王太子殿下を処罰しないのなら、私も処罰できないわ」

「なんだと?!
俺を裏切ったのか?
ダーシィ!」

雌豚のダーシィが居直っています。
セオドアは何も知らなかったのでしょう。
裏切りに驚き、顔に怒りすら浮かべています。
愚かな男です。

「そんな事で助かると思っているのか?
愚か者め!
重婚は大罪だ!
それだけでも処刑が可能だ。
誓約書など焼き捨てればいい。
オリバーなど幽閉が解かれたら殺すだけの存在だ」

お爺様の怒りが頂点に達しています。

「ふん!
本当にできるかしら?
私は全てを記した手紙を、多くの隣国に送る手はずを整えているわ。
そんな手紙が届いたら、オリバー王太子殿下の再起は不可能よ。
塔で反省して、立派な王になれるようになっていても、立ち直れなくなるわ。
それでも宜しいのですか?
国王陛下?」

ああ、なんて卑怯下劣な雌豚でしょう。
オリバーを見捨てきれない国王を狙いうちします。
しかも強かなのは、お爺様の忠誠心を突いています。
長年仕えた国王に対する忠誠心で、断罪を躊躇すると読んでいるのです。
本当に狡賢い雌豚です。

「待ってくれ、モンタギュー公爵。
この件も余が死ぬまで待ってくれ」

「……しかし陛下。
このようなモノを生かしておけば、それこそオリバー殿のためになりませんぞ」

「分かっている。
分かっているのだ。
だかあれは病だ。
……色情狂なのだ。
女なしでは一日も過ごせない狂人だ。
どうせ余が死んだら殺すのであろう。
それまでこの女と共に塔に幽閉すればいいではないか。
貴族令嬢や貴族夫人を犠牲にはできん。
商売女を送るわけにもいかん。
頼む、モンタギュー公爵」

「陛下がそこまで言われるのなら、しかたありません。
ですがセオドアは別です。
こやつは処刑します。
宜しいですな?」

「セオドアには興味がない。
モンタギュー公爵の好きにするがいい」

「陛下!
国王陛下!
お慈悲を願います!
王太子殿下に妻を寝取られた私に、どうか、どうか、どうか、お慈悲を!」

「ふん!
妻を寝取られて恥をかいたのはお前だけではないわ!
次男の分際で家を継ごうなどとは不遜の極みじゃ。
死んで詫びるがいい!」

国王は、なんと身勝手なのでしょう。
お爺様の忠誠心を知ったうえで、それに甘え身勝手を通します。
昔からこのような関係だったのでしょうか?
それとも、歳を取って愚かになったのでしょうか?

まあ、どちらでもいいです。
問題は雌豚が生き残ったという事です。
塔に幽閉されるとはいえ、油断は禁物です。
必ずお爺様と伯父様を殺そうとします。
なんとしてでもお二人を護らなければいけません!

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