「婚約破棄」「ざまあ」短編集5巻

克全

第15話

私の悪口陰口を言う者を、エヴァが殺してくれています。
うれしい事ではありますが、やり方が偏っています。
そろそろ止めるかやり方を変えないといけません。
やんわりと注意しましたから、直ぐに修正してくれるでしょう。
少しでも疑われそうな者も、ファンケン公爵領の未開地に開拓民として送られるか、領都の娼館に移動するでしょう。
私たちと彼女たちでは貞操観念が違いますから、私の一方的な価値感を押し付けるわけにはいきません。
その辺のさじ加減は、エヴァが上手くやってくれることでしょう。

それよりも早急にやらなければいけないことがあります。
私の新たな結婚相手探しです。
今度は私が女公爵となって、婿を迎えることになります。
家格の関係で、上は王家から下は侯爵家までになります。
辺境伯家は微妙なところです。
侯爵家同様に歴史を重ねている家もあれば、大将軍や方面軍司令官と同等の意味で、一代限りの爵位として使っている国もあります。
侯爵までにしておく方が無難ですね。

「叔母上、私の婿の選定はどうなっていますか?」

「今まで集めた情報を精査しましたが、正直マイロードに相応しい男性は一人もおられません。
叔母として言わせていただけるのなら、他国から選ばれは方がいいと思われます。
書類にしておきましたので、お確かめください」

なるほど、家臣筆頭としても、叔母としても、通常の条件では、認められるような人間はいないという事ですね。
さて、これからの話は、家臣として考えてもらわないといけませんね。
叔母として考えてしまうと、必要以上の人材や資金を使いかねません。

「エヴァに確認しておきます。
他国の婿候補を調べるのは可能ですか?」

「……完全に全ての候補を網羅することは、人的にも資金的のも不可能です。
比較的簡単に情報を集められる相手に限って、人数も絞らないといけません」

それでも見つからなかったら、無能か不適格な男を婿に迎えなければいけなくなるという事ですか。
それは困りますね。
王家に無理を通す方法もありますが、それは最後の手段ですね。

「エヴァ、大陸連合魔法学院から賢者を二人招きたいのですが、家臣の人間関係と費用的は大丈夫ですか?」

「重要な役目につけられるのですね、マイロード」

「ええ、各国の婿候補の人柄が知りたいのです。
学院で学んだ王公出身は訳ありでしょうから、婿に来てくれる可能性が高いです。
人柄も学生当時の本性を知ることができます。
それと、領内開発の知恵を借りたいのです。
どう思いますか?」

「領内開発が得意な方一人になさいませ。
婿候補の人柄に関しては、事前に情報が欲しいと伝えておけば、詳しく調べて持ってきてくれるでしょう、マイロード」

「ではそのように手配してください」

          

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