「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集2

克全

第11話

「これから使ってもらう魔法は、洞窟を広げる魔法です。
この洞窟は五十メートルほどですが、もっと長くします。
住み易くします。
さあ、次々とやっていきますよ」

「「「「「はい!」」」」」

私は次々と魔法を試してもらいました。
うれしいことに、全員が魔術書を使えば魔法を発現できました。
これは大きなことです。
これで魔力の補充さえすれば、魔術の力を十二分に仕えます。

で、確認に使った魔術ですが、最初に洞窟延長の魔術を使いました。
洞窟を奥に五十メートル延長した後で、更に五十メートル伸ばしました。
これでこの洞窟の奥行きは百五十メートルになりました。
居住性は格段によくなったと思います。

ですがこれで終わりではありません。
次に最も重要な魔術の一つを発動させました。
水源を探る魔術です。
地下水脈を探させたのです。

運がよかったです。
本当によかったと思います。
奥に向いて左五十メートルの所の地下に、水脈がありました!
急いで奥から左に五十メートル横穴を広げ、そこから下に五十メートル広げましたが、早い話が井戸を掘ったのです。

「うわああああ!」
「凄い!」
「水だ、水だよお母さん」
「これで魔獣の心配をしないで水を汲めるよ!」

まずはひと段落ですが、ここで終わりではありません。
最悪この洞窟内で生活できるようにしなければいけません。
水はあっても他の食糧が必要です。
光の差し込まない洞窟内での食糧生産です。

「これで安心してはいけませんよ。
洞窟の中で食糧を生産します。
その場所を確保するために、洞窟を広げてもらいますよ」

「「「「「はい!」」」」」

光を取り込むには、どこかに天窓を開けなければいけません。
ですがそれはとても危険な行為です
固定した姿形をもち、格子や網で防げる魔獣ばかりではないのです。
不定形の液状魔獣がいるのです。

デビルスライムと呼ばれる、凶悪なスライムがいるのです。
そんな魔獣に入りこまれたら、人間などひとたまりもありません。
魔力を持たず、魔術を自由に使えない魔族に、そのような危険をおかさせるわけにはいきません。

だから暗闇でも生息成長できる食糧生物を探さなければいけません。
探していなければ、創り出す事も考えなければいけません。
とりあえずやったのは、ではありませんね。
やってもらったのはです。

井戸の手前に畑を作りました。
洞窟の奥に向かって右側、井戸のある反対側五十メートルにも畑を作りました。
その天井に、光魔法で光源を創り出しました。
この光を使って、植物栽培、農園を始めることにしたのです。

「さて、農園を作ってもらいますよ」

「「「「「はい!」」」」」

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