「ざまぁ」「婚約破棄」短編集3巻

克全

第8話主人公オリビア視点

理不尽に追放された私ですが、不幸ではありません。
恐らく神獣だと思うジルのお陰で、餓える事もありません。
最初は寂しかったですが、今では数十人の使用人がいてくれますので、一緒に畑仕事をしたり話したりするので、全く寂しくなくなりました。

ただ、ジルは私に男性が近づくのが嫌なのか、集めてきた使用人達は全員女性で、しかも若くてきれいです。
もしかしたら、ジルはここにハーレムを創りたいのかもしれません。
でも、それは何か嫌です。
私はジルの所有物でも奴隷でもありません。

「ジル。
ジルは私の事を妾や愛人だと思っているの?」

「わん、わん、わん、わん」

ジルが慌てているのが手に取るように分かります。
私の事を下に見ている感じは全くありません。
女性ばかり集めていたのは、私の安全を考えてくれての事か、話し相手には女性の方がいいと思ってくれたからでしょう。
まあ、ハーレムとかは別にして、女性が好きなのかもしれませんね。

「ジル。
別に男性を集めて欲しいわけではないのよ。
でもね、若くて美し女性ばかりを集めるのは、女好きを疑ってしまうわ。
あの国で困っているのは、若くて美しい女性ばかりじゃないよね。
幼い子やお年寄りも連れてきてくれる?」

「わん、わん、わん、わん」

またジルが慌てています。
自分が女好きだと思われるのが嫌なのでしょう。
驚いている感じなので、意識してやっていなかった事がよくわかります。
本当に天然なのですね。
でも、まだ犬のフリをしています。

私がここまで口にしたのですから、犬でないことがバレていると分かるはずなのに、それが分からないのでしょうか?
それとも、まだ誤魔化せると思っているのでしょうか?
まあいいです。
ジルが正体を明らかにしたくないのなら、騙され続けてあげます。

それにしても、ジルのお陰で荒地は普通の村になりました。
多くの井戸のお陰で、普通に畑作が出来るようになりました。
使い魔が常に外周部を警戒してくれますので、魔獣が全然近寄ってきません。
日干しレンガのお陰で、普通にレンガ造りの家が建っています。
村の周囲にも日干しレンガの城壁が作られています。

「ジル、もっとたくさん人を集めてくれるのなら、城壁を広げないといけないんじゃないかな?
それともこのまま何重も城壁を作るのかな?
私がこの村の長になるの?」

「わん、わん、わん、わん」

また何も考えていなかったようですね。
無計画に村を拡大されても困ります。
これからはちゃんと話し合わないといけません。
それでも犬のフリをするのでしょうね。

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