「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集4

克全

第4話

「疫病が蔓延するするまでの人口は六十万人でした。
各王子が治癒の聖女を探しにでた頃には四十万人でした。
今の人口は二十万人です。
この二年で人口が三分の一になってしまったのです。
このままではこの国が滅んでしまします。
どうかお助け下さい」

私は怒りでイライラして、ジャクソン第四王子を殺す妄想していたのですが、ロッシュ公爵ルーベン大将軍が私の質問に的確に答えてくれました。
この国にも、まともな指導者います。
これが分かっただけで十分です。
私が助けた人々が、王家の愚かさで滅びる事はないのです。

「癒しの聖女マチルダ殿。
貴女の献身は守護神ヌン神とナウネト神もお認めになられた。
次期王妃の地位を与えるように神託が下った」

あのバカ神が!
何を考えているの?!
私が怖いからって、こんなとんでもない神託をくだすなんて!
私はこんな僻地に興味なんてないのに。
ヌン神とナウネト神から国を奪う気なんて全くないのに。

でも、今更あの二柱を脅かして神託を撤回させる訳にはいきません。
そんな事をすれば、私が疑われてしまいます。
ここは我慢して、この条件を受けるしかありません。
この国の疫病患者を全て治療したら、とっとと出ていけばいい事です。
後の事はバカ神にやらせればいい事です。

「だが、無理矢理こちらが結婚相手を決める訳にはいかない。
そんな事をすれば、地位や褒美目当てに癒しの奇跡を起こしてくださったことになり、聖女の好意を貶める事になる。
だから聖女には自分で伴侶を選んでいただく。
第一王子や第四王子などと此方が要求したりしない。
好きな王族から伴侶を決めてください。
聖女が選んだ者を次期国王とする」

何という事ですか?!
あのバカ神二柱が、このような案を考えたというのですか?
信じられな暴挙です。
こんな条件をつけたら、私を争って国が乱れるのは必定ではありませんか。
あのバカ神はそんな事も分からないのですか?

もしかしたら、国王が考えた事なのでしょうか?
私に選ばせる事で、自分が王を選ぶ責任から逃げようとしたのでしょうか?
いえ、フィンリー国王は、それほど愚かだとは思えません
だったらなぜでしょう?
もしかしたら、私をこの国に引き留めたいのでしょうか?

それならば分かります。
守護神の神力が弱い国です。
私がこの国を去ってから、また疫病が流行するのが心配なのでしょう。
どのような手段を使ってでも、私をこの国に引き留めたくて、でも大した褒美も与えらえれず、名誉を傷つけるわけにもいかなくて、苦肉の策なのかも知れません。
でも心配は無用です。
ちゃんとこの程度の疫病は抑えられる薬を授けましょう、
だから全てが終わったら出ていかせてもらいます。

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