「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集4

克全

第5話追放2日目4

「オリビアがいないぞ?
どこに行った?!」

「逃げたのだ!
自分の悪事が露見しないように、逃げたのだ!」

グッワッシャ!

オリビアを監視していた一同が、あまりの事態に眼をはなしている間に、監視対象であるオリビアを見失ってしまった。
グストン侯爵家の長男ジェイコブが、このような状態にもかかわらず、オリビアを非難する発言をして、父親のグストン侯爵チャーリー卿に、顎の骨が砕け歯が飛ぶほどの鉄拳制裁を受けた。

同じように騒ごうとしていた生徒会役員達が、一瞬で固まった。
この国の将軍位一位の驃騎将軍セオが、息子ヘンリーの台所領とそこにある神殿を調べに行っている。
この国の将軍位二位の車騎将軍トーマスが、王太子と聖女を塔に閉じこめるために、席を外している。

左将軍を拝命しているグストン侯爵チャーリーが、ここにいる最上位の将軍であり、未熟な学生でしかない生徒会役員など、簡単に捻り殺せる猛者なのだ。
そんなグストン侯爵が、息子を殺しかねない本気の一撃を放ったのだ。
四大公爵家の長男、ノアとレオであろうと、容赦してもらいえるはずがない。
二人はそれを痛いほど感じて凍り付いていた。

「マクリン公爵、オリビア嬢がどこに行ったか探してくれ。
このままではオリビア嬢の無罪を確定するには弱い。
ヘンリーと末端の神官長は処分できても、聖女メグと大神官ルーカスを追い込むには弱すぎる」

「分かりました。
遠見の鏡を調節し直しますので、しばしお待ちください。
ノア!
レオ卿。
この不正に加わっていないと言うのなら、謀叛の心がないというのなら、自分達の魔力を使って遠見の鏡を稼働させなさい。
やらないのなら、隠しておきたい悪事があると、左大臣として判断する。
わかったな!」

オリバー国王は、太陽神殿の不正を暴き、大神官と聖女を処断する覚悟で、そのためには王太子を一緒に処断する覚悟で、左大臣マクリン公爵に命令した。
左大臣もそれに応えて、魔力的に危険な息子ノアと、右大臣タートン公爵ジャック卿の長男レオに、魔力を使わす命令をくだした。
従わなければその場で殺す覚悟を決めていた。

「レオ!
従わないなら私がお前を殺し、タートン公爵家の名誉を護る。
覚悟して行動しろ」

一緒にオリビア嬢の行動を監視していた、右大臣も国王の命令に従い、息子を殺す覚悟で睨みつけていた。
聖女メグの言いなりになっているとしか思えない、息子達の行動に恥じ入っていた重臣達は、家の存亡をかけて、息子を自分の手で斬り捨てる覚悟だった。

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