「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集4

克全

第8話

「晒せ!
大陸を、いや、世界を滅ぼそうとした邪を晒せ!」

フェラリ皇太子殿下が残虐な決断をされました。
皆殺しにしたロナンデル王国の王族達。
ロナンデル王国の太陽神殿に仕えていた者達。
彼らに阿諛追従していた貴族士族達。
全員の遺体を晒し者にしたのです。

必要な事だったとは思います。
勧善懲悪の結末を正しく伝え、これからの終末に備えなければいけないのです。
ですが、それでも、見たい光景ではありません。
心が痛む光景です。

「月光姫殿。
私と共に皇都に来て欲しい」

「ですが、私が月神殿と王宮の神殿で祈らないと、終末を防ぐことができません。
この国の王族や太陽神殿が悪事に走ったのも、邪の影響かもしれません。
私はそれを防がないといけないのです」

「分かっているよ。
それには聖騎士が交代で当たってくれる。
これからの事を考えれば、新たな神殿を築く必要があるんだ。
大切な神殿がこの国にあるのでは、護りが心もとない。
皇宮内に太陽神殿と月神殿を築く。
この国と同じ役割を皇国に設ける。
だた神々が神殿を認めてくれるかどうかわからない。
認めてもらいえない時は、またこの国に戻ってくる」

フェラリ皇太子殿下が、色々とこれからの事を話してくれました。
確かにこの国にしか終末防止の神殿がないのは困ります。
皇国がこの国を併合するのでしょうが、ある意味もっとも大切な神殿が、飛び地となるここにあるのは大問題なのです。
邪から護らなければいけない皇族、皇都、神殿は、同じ場所にあるべきなのも、十分理解できます。

「それと、まあ、今更なんだけど。
私が陽光王子なのだよ。
だから、まあ、なんだ。
二人で終末に備えよう」

今度の告白は、卒倒しそうなくらい驚きました!
男性が太陽神の使徒に選ばれるなんて聞いたことがありません。
一緒に聞いていたジャクソン大神官も驚愕されています。
ですが聖騎士の方々も、皇国の両神殿の大神官も平静です。
彼らには既知の事なのですね。

本当なのでしょうか?
いえ、本当の事なのでしょう。
フェラリ皇太子殿下の今までの言動を考えれば、嘘ではないと信じられます。
ただ、秘密を持って黙っている可能性はありますが、それは仕方ないですね。
皇太子殿下が隠密行動をとっておられたから、私は助けていただけたのです。

「分かりました。
皇都に行かせていただきます。
できる限りお手伝いさせていただきます。
ですが確認させてください。
もし神々が皇宮の神殿をお認めにならなかった時はどうされるのですか?」

「その時は皇太子宮と聖騎士団本部をこちらに移すよ。
だからなんの心配もいらないよ」

ああ、よかった。
これでなんの心配もいりません。
私はフェラリ皇太子殿下を信じてついていくだけでいいのです。

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