「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集4
第10話王太子ルーカス視点
「シンクレア伯爵家に行く。
準備しろ」
「殿下。
また怒られますよ。
今度こそシンクレア伯爵閣下の手料理が食べれなくなりますよ」
「会いたいのだ!
私はナウシカに会いたいのだ!」
「それはナウシカ卿の手料理が食べたいの間違いではありませんか?」
「違う!
ナウシカの作った料理を食べたいのは確かだが、会いたいのだ」
「だったら会いに行くだけにすればいいのですよ。
毎日毎日会いに来ただけだと言って押しかけて、直ぐに私も共同出資者だ味見をすると言って、満腹になるまで味見を繰り返すから、出入り禁止になるのですよ」
「だったらジャンは我慢できるというのか?
あの屋敷に立ち込める美味しそうな香り!
あの香りを嗅いで、味見しないで我慢できるというのか?」
「いえ、その気持ちは分かります。
気持ちは痛いほどわかりますが、あんなに味見をしてしまったら、完成した時に感動も新鮮味もなくなりますよ」
「そんな事はない!
美味しモノは何度食べても、どれだけ食べても美味しいのだ」
私だって、側近達があきれているのは分かっている。
以前にも増して食欲に囚われているのも分かっている。
だが仕方ないではないか。
あれほど美味しい料理を食べて、虜にならない方がおかしいのだ。
現に今王都では、豚肉が危機的に不足している。
ナウシカの豚料理に私が夢中になったことが評判になり、急遽父である国王陛下が豚料理を所望されたのだ。
宮廷の台所費用を抑えたい陛下の苦肉の策だ、
値段の安い豚肉料理を宮廷料理に取り入れられたらと考えられたのだ。
だがナウシカの作った豚料理があまりに美味しくて、皆が真似をして豚肉料理を食べだしてしまったので、不足した豚肉の値段が五倍にも高騰している。
もっとも、未だにナウシカの手料理に匹敵する豚肉料理はないのだがな。
「いや、それは殿下だけですよ。
普通の人間は毎日三度、しかも二週間続けて同じものを食べたがりませんよ。
しかも完成前の試作品ですよ」
「そんな事はない。
美味いものは美味い。
しかも大好きな女性の手料理なのだぞ。
その女性と楽しく会話しながら食べられるのだぞ。
二週間が六週間でも美味しく食べられる!」
側近達があきれ果てているのが分かる。
だが同時に安心してくれてもいる。
全く女性に興味を持てなかった私が、食事がらみとはいえ、女性を好きだと言ったのだから。
それは国王陛下も同じだ。
それでなければ、王太子である私が、毎日特定の貴族のもとに通うなど、許されることではない。
「ですが今日だけはやめときましょうよ。
昨日ナウシカ卿から頼まれた食材を持参しないで味見に行ったら、さすがに嫌われてしまいますよ」
準備しろ」
「殿下。
また怒られますよ。
今度こそシンクレア伯爵閣下の手料理が食べれなくなりますよ」
「会いたいのだ!
私はナウシカに会いたいのだ!」
「それはナウシカ卿の手料理が食べたいの間違いではありませんか?」
「違う!
ナウシカの作った料理を食べたいのは確かだが、会いたいのだ」
「だったら会いに行くだけにすればいいのですよ。
毎日毎日会いに来ただけだと言って押しかけて、直ぐに私も共同出資者だ味見をすると言って、満腹になるまで味見を繰り返すから、出入り禁止になるのですよ」
「だったらジャンは我慢できるというのか?
あの屋敷に立ち込める美味しそうな香り!
あの香りを嗅いで、味見しないで我慢できるというのか?」
「いえ、その気持ちは分かります。
気持ちは痛いほどわかりますが、あんなに味見をしてしまったら、完成した時に感動も新鮮味もなくなりますよ」
「そんな事はない!
美味しモノは何度食べても、どれだけ食べても美味しいのだ」
私だって、側近達があきれているのは分かっている。
以前にも増して食欲に囚われているのも分かっている。
だが仕方ないではないか。
あれほど美味しい料理を食べて、虜にならない方がおかしいのだ。
現に今王都では、豚肉が危機的に不足している。
ナウシカの豚料理に私が夢中になったことが評判になり、急遽父である国王陛下が豚料理を所望されたのだ。
宮廷の台所費用を抑えたい陛下の苦肉の策だ、
値段の安い豚肉料理を宮廷料理に取り入れられたらと考えられたのだ。
だがナウシカの作った豚料理があまりに美味しくて、皆が真似をして豚肉料理を食べだしてしまったので、不足した豚肉の値段が五倍にも高騰している。
もっとも、未だにナウシカの手料理に匹敵する豚肉料理はないのだがな。
「いや、それは殿下だけですよ。
普通の人間は毎日三度、しかも二週間続けて同じものを食べたがりませんよ。
しかも完成前の試作品ですよ」
「そんな事はない。
美味いものは美味い。
しかも大好きな女性の手料理なのだぞ。
その女性と楽しく会話しながら食べられるのだぞ。
二週間が六週間でも美味しく食べられる!」
側近達があきれ果てているのが分かる。
だが同時に安心してくれてもいる。
全く女性に興味を持てなかった私が、食事がらみとはいえ、女性を好きだと言ったのだから。
それは国王陛下も同じだ。
それでなければ、王太子である私が、毎日特定の貴族のもとに通うなど、許されることではない。
「ですが今日だけはやめときましょうよ。
昨日ナウシカ卿から頼まれた食材を持参しないで味見に行ったら、さすがに嫌われてしまいますよ」
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