「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集4

克全

第1話

「カチュア!
半分しか血がつながっていないとはいえ、妹に対してひど過ぎるぞ!
実の妹を殺そうとするなど、いくら婚約者でも許し難い!
いや、婚約者だからこそ許せん!
余の顔に泥を塗った。
いや、王家の面目を潰した!
この場で成敗してくれる!」

キャァァァァァア!

痛い!
心臓が痛い!
心臓が、心臓が止まりそうです!
カチュアが!
私の可愛いカチュアが殺されてしまう!

絶対にやらせない!
性悪女にいいように操られる、思慮の足らない、出来損ないの王太子などに、私の大切な孫娘、カチュアを殺させてなるモノか!

ですが、それよりも許せないのは、姉を陥れたエイヴァ!
半分とはいえ、血のつながった妹の癖に、王太子妃になりたいからといって、姉を陥れ殺そうとするなど、絶対に許せない!

そもそもあのバカ息子が悪い。
私がこの手で育てていれば、あのような愚か者には育てなかったのだ。
腐れ姑が甘やかすから、女好きの遊び好きに育ってしまった。
今更ながら姑を恨む。

ただ、私にも悪いところがあったのは認めましょう。
バカ息子を真っ当な貴族に育てられなかった反動で、カチュアを厳格に育てすぎてしまいました。
そのせいで少々礼儀作法に厳しい娘に育ってしまいました。
幼い頃はあんなに思いやりがあって優し性格だったのに……
エイヴァそこを上手について陥れたのです。
全ては私の責任です。

神様もそんなカチュアを哀れに思ってくださったのでしょう。
私にこのままでは破滅だと教えてくださいました。
破滅の道を避けるための知識も授けてくださいました。
未来とは、人の努力で変えられるとも教えてくださいました。
きっとカチュアは神様に祝福されているのです。
何としてでも私が護らなければなりません!

「カチュア。
今日から新たな過程に入ります。
昨日までは王太子妃、将来の王妃になるための勉強でした。
今日からは領主としての勉強を始めます」

「え?
どういう事でございますか?
まさか?
私、何か間違ったことをして、王太子殿下との婚約が破談になったんでしょうか?
なにが悪かったのか教えてください、おばあ様!」

「大丈夫ですよ、カチュア。
カチュアに悪いところなど一切ありませんよ。
悪いところがあるのは王太子です。
あのような愚か者に、大切なカチュアを嫁にやるわけにはいきません!」

「あの、おばあ様
そのような事を口にされたら、おばあ様が処罰されてしまいます」

「そうですね。
あんなバカでも王太子ですからね。
ですが王族への敬意のために、カチュア不幸にはできません。
カチュアの新たな嫁ぎ先を探すと同時に、婿をとって公爵家を継ぐことも考えるのです」


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