「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集4

克全

第14話

よく眠れました。
恥ずかしながら熟睡してしまいました。
柔らかい巨大葉には大量のヨダレがたまっていました。
あまりの恥ずかしさに、顔から火が出るような思いがしました。
遊び疲れてしまったのでしょう。
もう淑女と呼ばれる年齢なのに、恥ずかしいです。

だから夢も見ずに熟睡したと言いたい所ですが、面白い夢を見ました。
私の身体中に魔力と神力を流す夢です。
自分自身に魔法をかけて魔力と神力を蓄える夢です。
今まで誰からも教わった事のない、画期的な方法です。
なぜそのような方法を夢でみたのか理由が分かりません。
神様のお告げなのでしょうか?

中途半端に寝てしまったせいで、夜になっていました。
まだ怖いので、暗い夜に外に出る気にはなれません。
そこで神様のお告げを試してみることにしました。
あっけないくらい簡単に夢の通りにできました。
やはり神様のお告げなのだと確信しました。

おもしろいくらいたくさんの魔力と神力を蓄える事ができました。
その魔力と神力を身体中に流す事で、強くなった自覚があります。
その力をどう使うかが大切なのだと思いました。
今までは聖女なのに何もできない役立たずでしたが、これからは魔力と神力を使って人々を助ける事ができるのです。

神様のお告げに従うと、猛烈にお腹がすきますが、さりげなくハクちゃんが食事を出してくれるのです。
本当に優しい子です。

ハクちゃんが用意してくれた食事は、朝食と同じ物に加えてポリッジが用意されていました。
ポリッジはオーツ麦を乳とオリーブオイルで煮込み、塩と香草で味と香りを整え、付け合わせに茹でた野菜と果物が添えられています。
元々の食材が美味しいのでしょう。
私が今まで食べた事のあるポリッジとは雲泥の差です。
一口食べて天にも昇る喜びを感じられる至高の味です。

また食事の途中で意識がなくなってしまいました。
神様のお告げ通りにするのはとても疲れるようです。
朝まで眼がさめず、さめた時にはまた大量のヨダレを流していました。
恥ずかしくて穴があったら入りたい気分でした。

しかし止めるわけにはいきません。
やっと聖女らしいことができるかもしれないのです。
疲れているからとか、ヨダレが出るからといって、止める選択はありません。
夢のお告げを毎日やるだけです。

その中には魔境に小麦畑を作ることや、ブドウ畑を作ることもありました。
地盤から作り替え、二層三層四層構造の耕作地ができあがっていきます。
光と空気を下層畑にも届けられるように、多くの縦穴があります。
天井からは多くの果物の実が垂れ下がり、地には穀物が実っています。
そして多くの獣がゆったりと実りを食んでいます。
ここに人間がいれば、楽園だと勘違いしそうね情景です。

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