「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集
第29話100日目の出来事
シャロンは人々が勉強する姿を見るのが好きだった。
親子兄弟が並んで勉強している。
どの顔も、知らなかった事を知る喜びに満ちていた。
今迄は王侯貴族が独占していた知識を、平民の自分達が学べる喜びがあった。
一生懸命に働き、楽しそうに勉強している。
だが、なかには勉強が嫌いな者もいる。
勉強は好きだが、覚えるのが苦手な者もいる。
そんな人間は、徐々に勉強が嫌いになっていった。
だが、流民の教師は教えるのが上手だった。
守護神の加護も王国の保護も受けられない流民は、自分の身は自分で護らなければならず、ひとりも遊ばせておく余裕などないのだ。
戦う者、色々な物を創る者、商いをする者、一人一人の才能に応じて、一番皆の役に立つ才能を開花させる教え方が確立されていた。
何百何千年の間に、死に絶える氏族も王族になる氏族もいて、種族も人も入れ替わったが、交流する流民の文化として、連綿と受け継がれていた。
(凄いね龍ちゃん。
勉強だけじゃないんだね。
色々な事があるんだね。
私も魔法が使えるようになりたいな)
(大丈夫だよ。
シャロンには魔法の才能があるよ。
なんなら僕が教えてあげようか?)
(本当?!
教えて、龍ちゃん!)
シャロンが人々の勉強する姿を幸せそうに見ている。
そんなシャロンを見るのが神龍は大好きだった。
だが最近は、少しシャロンの喜びに陰りが見えていた。
なにが陰りの理由なのか、大雑把な神龍には全然分からなかった。
心配で仕方なながったが、理由が分からず助けようがなかった。
もしその理由が、魔法を使いたい、魔法の勉強がしたいというモノなら、これですべてが解決され、またシャロンの輝くような笑顔を見ることができる。
そう思って神龍は心から安堵していた。
だが、違う理由が原因だったらどうしようという、不安もあった。
神龍には当たって欲しくない予想があった。
シャロンと一緒に人間を見ていて思ったことがった。
今迄は真剣に人間など見たことがなかったので、気がつかない事だった。
神龍族には理解できない種族的本能だった。
人間が同じ人間を求める事を、初めて心から理解した。
種族保存の本能で、雄と雌が求めあい、子供を作る事は神龍にもわかる。
だが、種族保存の本能ではないのに、同じ人間が一緒にいたがるのだ。
群れを作って暮らそうとするのだ。
そういう種族がいることは、神龍も頭では分かっているのだが、シャロンが他の人間と一緒に暮らしたいと言いだしたら、自分はそれを許せるのか心配だった。
シャロンに近づこうとする人間は全て平気で殺せるが、シャロンが近づきたいと思う人間が現れた時に、自分はシャロンにそれを許すことができるのか、不安だった。
親子兄弟が並んで勉強している。
どの顔も、知らなかった事を知る喜びに満ちていた。
今迄は王侯貴族が独占していた知識を、平民の自分達が学べる喜びがあった。
一生懸命に働き、楽しそうに勉強している。
だが、なかには勉強が嫌いな者もいる。
勉強は好きだが、覚えるのが苦手な者もいる。
そんな人間は、徐々に勉強が嫌いになっていった。
だが、流民の教師は教えるのが上手だった。
守護神の加護も王国の保護も受けられない流民は、自分の身は自分で護らなければならず、ひとりも遊ばせておく余裕などないのだ。
戦う者、色々な物を創る者、商いをする者、一人一人の才能に応じて、一番皆の役に立つ才能を開花させる教え方が確立されていた。
何百何千年の間に、死に絶える氏族も王族になる氏族もいて、種族も人も入れ替わったが、交流する流民の文化として、連綿と受け継がれていた。
(凄いね龍ちゃん。
勉強だけじゃないんだね。
色々な事があるんだね。
私も魔法が使えるようになりたいな)
(大丈夫だよ。
シャロンには魔法の才能があるよ。
なんなら僕が教えてあげようか?)
(本当?!
教えて、龍ちゃん!)
シャロンが人々の勉強する姿を幸せそうに見ている。
そんなシャロンを見るのが神龍は大好きだった。
だが最近は、少しシャロンの喜びに陰りが見えていた。
なにが陰りの理由なのか、大雑把な神龍には全然分からなかった。
心配で仕方なながったが、理由が分からず助けようがなかった。
もしその理由が、魔法を使いたい、魔法の勉強がしたいというモノなら、これですべてが解決され、またシャロンの輝くような笑顔を見ることができる。
そう思って神龍は心から安堵していた。
だが、違う理由が原因だったらどうしようという、不安もあった。
神龍には当たって欲しくない予想があった。
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神龍族には理解できない種族的本能だった。
人間が同じ人間を求める事を、初めて心から理解した。
種族保存の本能で、雄と雌が求めあい、子供を作る事は神龍にもわかる。
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群れを作って暮らそうとするのだ。
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シャロンに近づこうとする人間は全て平気で殺せるが、シャロンが近づきたいと思う人間が現れた時に、自分はシャロンにそれを許すことができるのか、不安だった。
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