「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集
第7話
「セイラ様の申される通りです。
私はただの生徒ではありません。
学院に認められ、教師になる事が約束されているのです」
「それだけですか?
違いますよね!
学院を陰から支援している王侯貴族の関係者ですよね?」
「残念ながら、それはセイラ様の考え過ぎです。
王侯貴族は、公務と私欲以外にお金を使ったりしないと聞いています。
私は学院の財政収支を見せていただいて確信しました。
学院は王侯貴族に見捨てられたのだと」
「アレク様の言葉を鵜呑みにするわけにはいきません。
いえ、できません。
王侯貴族の中には、魔力持ちが再び現れた時には、逸早くそれを知りたいと考える方もいるのではありませんか?」
「残念ながら、そのような奇特な方は一人もおられません。
帳簿の記録を見れば、魔力がなくなった当初には、そのよう方もおられました。
ですが魔力を失ってからの月日が長過ぎました。
今も魔力が復活すると信じている者は、学院でも極少数しかいません。
今私がこれをやっているのも、学院が信じているからではありません。
規則習慣として残っているからです」
「ですが、アレク様は信じていると?」
「信じたいと思っています」
信じたいというのなら分かります。
夢物語でも。
いえ、夢物語だからこそ、読んでいて楽しいのです。
夢見がちなところは、本好きの悪いところかもしれません。
それでもいいではありませんか。
誰にも迷惑はかけていないのですから。
「では、私から試させていただきます」
侍女のクレアから、魔力確認の魔術巻物に手を置きます。
毒見ではありませんが、何かあってはいけないので、同じ魔術巻物を四人で使う事になったのです。
授業料を払っている生徒は私だけですから、羊皮紙を買う義務も、魔法陣を書いた羊皮紙を提出する義務も、私にしかありません。
私も何時まで実家から支援があるか分かりません。
節約出来るところは節約しなければいけないのです。
ノエミ、ミレナと試しましたが、全く何の反応もありません。
まあ、それが当然なのです。
最初からそれほど期待していたわけではありません。
ですが、ほんの少し期待していました。
まあ、ほんの少しでも期待していたの私だけです。
侍女達は淡々としていますし、他の生徒どころか、授業をしている学院の教授も、私達を完全に無視しています。
いよいよ私の番です。
心臓がドキドキしています。
私は期待しているのです。
夢物語のように、私が魔術巻物の手を置くと、魔術巻物が光り輝くことを。
期待しているからこそ、このように心臓がドキドキするのです。
直ぐに手を出すことができません。
手に汗をかいてしまっています。
「セイラ様。
どうぞ!」
アレクがせかせます。
          
私はただの生徒ではありません。
学院に認められ、教師になる事が約束されているのです」
「それだけですか?
違いますよね!
学院を陰から支援している王侯貴族の関係者ですよね?」
「残念ながら、それはセイラ様の考え過ぎです。
王侯貴族は、公務と私欲以外にお金を使ったりしないと聞いています。
私は学院の財政収支を見せていただいて確信しました。
学院は王侯貴族に見捨てられたのだと」
「アレク様の言葉を鵜呑みにするわけにはいきません。
いえ、できません。
王侯貴族の中には、魔力持ちが再び現れた時には、逸早くそれを知りたいと考える方もいるのではありませんか?」
「残念ながら、そのような奇特な方は一人もおられません。
帳簿の記録を見れば、魔力がなくなった当初には、そのよう方もおられました。
ですが魔力を失ってからの月日が長過ぎました。
今も魔力が復活すると信じている者は、学院でも極少数しかいません。
今私がこれをやっているのも、学院が信じているからではありません。
規則習慣として残っているからです」
「ですが、アレク様は信じていると?」
「信じたいと思っています」
信じたいというのなら分かります。
夢物語でも。
いえ、夢物語だからこそ、読んでいて楽しいのです。
夢見がちなところは、本好きの悪いところかもしれません。
それでもいいではありませんか。
誰にも迷惑はかけていないのですから。
「では、私から試させていただきます」
侍女のクレアから、魔力確認の魔術巻物に手を置きます。
毒見ではありませんが、何かあってはいけないので、同じ魔術巻物を四人で使う事になったのです。
授業料を払っている生徒は私だけですから、羊皮紙を買う義務も、魔法陣を書いた羊皮紙を提出する義務も、私にしかありません。
私も何時まで実家から支援があるか分かりません。
節約出来るところは節約しなければいけないのです。
ノエミ、ミレナと試しましたが、全く何の反応もありません。
まあ、それが当然なのです。
最初からそれほど期待していたわけではありません。
ですが、ほんの少し期待していました。
まあ、ほんの少しでも期待していたの私だけです。
侍女達は淡々としていますし、他の生徒どころか、授業をしている学院の教授も、私達を完全に無視しています。
いよいよ私の番です。
心臓がドキドキしています。
私は期待しているのです。
夢物語のように、私が魔術巻物の手を置くと、魔術巻物が光り輝くことを。
期待しているからこそ、このように心臓がドキドキするのです。
直ぐに手を出すことができません。
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「セイラ様。
どうぞ!」
アレクがせかせます。
          
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