「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集
第5話
「今日の授業はこの魔法陣を覚えてもらう事です。
これは体力回復の魔法です。
覚えたかどうかは、後で羊皮紙に書き写してもらって確認します」
私が学院で受ける初の授業は、魔法陣の理解と写本です。
世界に魔力が満ち、魔術が使えるなら、とても大切な授業です。
ですが、今では無意味な事です。
昔の技術を保存保管する意味はありますが、生徒全員が写本する必要などないのですが、これも資金難の学院が行う苦肉の策です。
まずは生徒に羊皮紙を買わす事で、わずかでも利益を手に入れます。
次に生徒が書き上げた羊皮紙を回収して、土産物として売るのです。
昔のように高額では売れませんが、お土産物として売れるのです。
わずかではありますが、往時の学院に憧れて、観光に来る者はいます。
魔法陣を描いた羊皮紙は、比較的安価に買えるお土産なのです。
ですがこれはずっと学んでいる生徒への授業です。
途中入学の私は、同じ教室の片隅で特別授業を受けています。
「セイラ様と侍女の方々には、この魔法陣を描いてもらいます。
この魔法陣は魔力の有無を確認するとても大切なモノです。
学院に出入りする全員に書いてもらいます」
ああ、思わず聞き惚れてしまう美声です。
間近で話ができるなんて、とても幸運です。
絶好の機会ですから、少しでも仲良くなりたいです。
同じような機会がもう一度あるとは限りませんから。
「侍女の三人は授業料を払っていません。
それでも受けていいのですか?」
「細かい事を言えば、僅か三枚の羊皮紙でも売りたいのが学院です。
それと、藁にもすがる思いで、魔力のある者を探しているのです。
もしそのような者がいれば、それが例え乞食でも、学院は辞を低くして迎え入れるのは間違いありません」
そういう理由だろうことは分かっていました。
分かっていましたが、アレクと話したかったので、質問したのです。
ですが馬鹿だと思われたくはありません。
「そうですか。
推測していた通りではありますが、少し問題もあります」
「どのような問題があるのですか?
セイラ様」
「万が一私に魔力があった場合、私の立場はどうなるのでしょうか?
それと侍女達に魔力があった場合、私は大切な侍女を奪われるのですか?」
小声で話していますが、周りには聞こえています。
馬鹿を見るような目で見られています。
それはそうでしょう。
今の時代に、魔力が存在すると考えている者はいません。
アレクも同じように考えているのなら、私を馬鹿にした目で見る事でしょう。
ですがそれでいいのです。
そんな目を見られたら、私はアレクの魅力から解放されます。
見た目だけの人間に、魅了されてはいけないのです。
自分と考え方が違う相手に恋しても、不幸になるだけです。
私の考えは、どんなことであろうと奇跡はあるというものです。
神々から祝福される者はいるのです。
その可能性を考えておいて、対策を準備しておくべきだと私は考えています。
アレクの考え方を確認しておきたいのです。
これは体力回復の魔法です。
覚えたかどうかは、後で羊皮紙に書き写してもらって確認します」
私が学院で受ける初の授業は、魔法陣の理解と写本です。
世界に魔力が満ち、魔術が使えるなら、とても大切な授業です。
ですが、今では無意味な事です。
昔の技術を保存保管する意味はありますが、生徒全員が写本する必要などないのですが、これも資金難の学院が行う苦肉の策です。
まずは生徒に羊皮紙を買わす事で、わずかでも利益を手に入れます。
次に生徒が書き上げた羊皮紙を回収して、土産物として売るのです。
昔のように高額では売れませんが、お土産物として売れるのです。
わずかではありますが、往時の学院に憧れて、観光に来る者はいます。
魔法陣を描いた羊皮紙は、比較的安価に買えるお土産なのです。
ですがこれはずっと学んでいる生徒への授業です。
途中入学の私は、同じ教室の片隅で特別授業を受けています。
「セイラ様と侍女の方々には、この魔法陣を描いてもらいます。
この魔法陣は魔力の有無を確認するとても大切なモノです。
学院に出入りする全員に書いてもらいます」
ああ、思わず聞き惚れてしまう美声です。
間近で話ができるなんて、とても幸運です。
絶好の機会ですから、少しでも仲良くなりたいです。
同じような機会がもう一度あるとは限りませんから。
「侍女の三人は授業料を払っていません。
それでも受けていいのですか?」
「細かい事を言えば、僅か三枚の羊皮紙でも売りたいのが学院です。
それと、藁にもすがる思いで、魔力のある者を探しているのです。
もしそのような者がいれば、それが例え乞食でも、学院は辞を低くして迎え入れるのは間違いありません」
そういう理由だろうことは分かっていました。
分かっていましたが、アレクと話したかったので、質問したのです。
ですが馬鹿だと思われたくはありません。
「そうですか。
推測していた通りではありますが、少し問題もあります」
「どのような問題があるのですか?
セイラ様」
「万が一私に魔力があった場合、私の立場はどうなるのでしょうか?
それと侍女達に魔力があった場合、私は大切な侍女を奪われるのですか?」
小声で話していますが、周りには聞こえています。
馬鹿を見るような目で見られています。
それはそうでしょう。
今の時代に、魔力が存在すると考えている者はいません。
アレクも同じように考えているのなら、私を馬鹿にした目で見る事でしょう。
ですがそれでいいのです。
そんな目を見られたら、私はアレクの魅力から解放されます。
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