「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集
第21話
「気にしないでください。
パオラ様は私を助けてくださいました。
もう恩は返してもらっています。
いえ、私のした事など元々大してことではありません。
御見送りさせてもらっただけです。
それなのに命懸けで助けてくださいました。
私の方こそこれから命を御恩を返していかねばなりません」
恥ずかしいです。
穴があったら入りたいです。
レベッカの顔も、エドアルド様の顔も、まともに見ることができません!
「まあ、まあ、まあ。
もう、それくらいでいいのではないですか、義姉上、レベッカ嬢。
ねえ、エドアルド兄上」
「よく来てくれた、マルセル。
一緒に戦ってくれるのか?」
「当然ですよ、兄上。
聖なる結界を通り抜けられる女性に出会えるのです。
この機会を逃がすわけにはいきませんよ」
新たに表れた方がエドアルド様の弟君、第二王子のマルセル殿下でした。
それにしても、私の事を義姉上だなんて、うれしいことを口にしてくださいます。
女性の扱いになれた方なのでしょうか?
女誑しではないかと心配になります。
信じてもいいのでしょうか?
「大丈夫だよ。
多少恋多きところはあるけれど、王族や貴族としては必要な事でもある。
それに我が王家で王族として王宮に残ろうと思えば、この神殿に入れることが大前提だからね。
正式な王族は、魔王魔族に備えることを考えると、すごく少ないのだよ。
直系王族に生まれてもこの神殿に入れないと、傍系として王宮から出される者もいれば、臣籍降下させられる者もいるのだよ。
そんな状態だから、レベッカは王族に迎えたいのだよ」
「はい、喜んでお受けいたします」
レベッカ!
私に気を使って、好きでもない、多情な男に嫁いでくれるのですか?
それならやめてください!
そう、そう思ったのに。
口に出すことができません。
レベッカがエドアルド様の心を射止めてしまうかもしれないと思うと、言わなければいけない言葉が、口から出ません!
こんな人間になってはいけません。
こんな心の人間が、聖なる存在になれるはずがないのです。
もっと広い心で、魔王魔族に備えるためにも、恩人であるレベッカに報いるためにも、一緒にエドアルド様に仕えましょうと口にするのです。
「そんなに自分を追い込まなくてもいんじゃないかな、義姉上。
今の心のままでも、聖の結界の中に入れたんだし。
そういう人の気持ちは、神様も精霊様も神獣様も認めておられるんじゃないかな。
僕の多情も、全然責められたこともないよ。
諭されるようなこともないんだ。
だからね、心配することはないよ。
真剣に自分の心と向き合うのは、結界にはじかれてからでいいと思うよ」
本当にそれでいいのでしょうか?
パオラ様は私を助けてくださいました。
もう恩は返してもらっています。
いえ、私のした事など元々大してことではありません。
御見送りさせてもらっただけです。
それなのに命懸けで助けてくださいました。
私の方こそこれから命を御恩を返していかねばなりません」
恥ずかしいです。
穴があったら入りたいです。
レベッカの顔も、エドアルド様の顔も、まともに見ることができません!
「まあ、まあ、まあ。
もう、それくらいでいいのではないですか、義姉上、レベッカ嬢。
ねえ、エドアルド兄上」
「よく来てくれた、マルセル。
一緒に戦ってくれるのか?」
「当然ですよ、兄上。
聖なる結界を通り抜けられる女性に出会えるのです。
この機会を逃がすわけにはいきませんよ」
新たに表れた方がエドアルド様の弟君、第二王子のマルセル殿下でした。
それにしても、私の事を義姉上だなんて、うれしいことを口にしてくださいます。
女性の扱いになれた方なのでしょうか?
女誑しではないかと心配になります。
信じてもいいのでしょうか?
「大丈夫だよ。
多少恋多きところはあるけれど、王族や貴族としては必要な事でもある。
それに我が王家で王族として王宮に残ろうと思えば、この神殿に入れることが大前提だからね。
正式な王族は、魔王魔族に備えることを考えると、すごく少ないのだよ。
直系王族に生まれてもこの神殿に入れないと、傍系として王宮から出される者もいれば、臣籍降下させられる者もいるのだよ。
そんな状態だから、レベッカは王族に迎えたいのだよ」
「はい、喜んでお受けいたします」
レベッカ!
私に気を使って、好きでもない、多情な男に嫁いでくれるのですか?
それならやめてください!
そう、そう思ったのに。
口に出すことができません。
レベッカがエドアルド様の心を射止めてしまうかもしれないと思うと、言わなければいけない言葉が、口から出ません!
こんな人間になってはいけません。
こんな心の人間が、聖なる存在になれるはずがないのです。
もっと広い心で、魔王魔族に備えるためにも、恩人であるレベッカに報いるためにも、一緒にエドアルド様に仕えましょうと口にするのです。
「そんなに自分を追い込まなくてもいんじゃないかな、義姉上。
今の心のままでも、聖の結界の中に入れたんだし。
そういう人の気持ちは、神様も精霊様も神獣様も認めておられるんじゃないかな。
僕の多情も、全然責められたこともないよ。
諭されるようなこともないんだ。
だからね、心配することはないよ。
真剣に自分の心と向き合うのは、結界にはじかれてからでいいと思うよ」
本当にそれでいいのでしょうか?
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