「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集

克全

第18話

「キャァァァァァ!
ウギャァァアァァァア!
ゴグギギャアッァアゥア!」

エドアルド様と私の合体聖魔法が、レベッカを聖の保護の中に捕らえました。
レベッカ自身の悲鳴と共に、魔族であろう絶叫が聞こえます。
一つではありませんでした。
二つの声が聞こえます。
レベッカの腹に宿った魔族は二体だったのです。

危ないところでした。
一体斃したからと迂闊に近づいていたら、レベッカを操る魔族に攻撃を受け、傷ついてしまうところでした。
そんなことになったら、助かった後でレベッカが悔恨してしまいます。
レベッカにこれ以上一生残る傷をつけるわけにはいかないのです。

「油断してはいけない。
まだ隠れ潜んでいる魔族がいるかもしれない。
全ての想いを込めるんだ。
レベッカを助けたい想いが強ければ強いほど、魔族を斃すことができるんだ。
自分の想いを魔力に乗せるんだ!」

エドアルド様な申される通りです。
私のレベッカへの感謝の気持ちはこの程度ではないはずです。
今こうして生きていられるのも、エドアルド様に出会えたのも、エドアルド様の妻となれたのも、魔族と戦う力を得られたのも、すべてレベッカが自分の身を顧みず助けてくれたからです!

レベッカがこうして魔族の種を宿らせられてしまうという、耐え難い屈辱と苦痛を与えられるという事態に陥ったのも、私を助けて魔王とマッティーア王に目をつけられてしまったからです。
私を見捨てていれば、こんな苦しみを味会うことなどなかったのです。
今こそ受けた恩の万分の一でも返す時なのです!

「神よ!
私の命に代えてレベッカを助けたまえ!
聖なる光よ!
魔王に虐げられる人を助けよ!」

私は死を覚悟するほどの魔力を振り絞りました。
レベッカが命と女の尊厳を失ってでも救ってくれた命ですから、絶対に無駄に失うわけにはいきませんが、レベッカを助けるためなら賭けるべきです。
それに、限界を超える覚悟で死力を振り絞っても、宝具が制限をかけてくれるかもしれません。
誰よりも信頼できるエドアルド様と肩を並べ、背中を預けて戦っているのです。
その場で昏倒することになろうとも、無駄死にすることはありません。

「神よ!
安全な場所に逃がしてください!
我ら三人を救ってください!」

もう、限界なのですね。
エドアルド様が撤退の決断をされました。
私だけでなく、エドアルド様もレベッカのために限界まで力を振り絞り、戦ってくださったのですね。
神様!
どうか、どうか、どうかレベッカを御救いください。
私はこの場に残されても構いません。
エドアルド様とレベッカだけは、安全な場所に逃がしてください!


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