「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集

克全

第17話

レベッカの身体が二重に見えます。
元々のレベッカの身体に重なるように、魔族の身体が見えます!
いったい何がどうなったのでしょうか?

「くっくっくっくっ。
ワッハハハハ!
愚か者共が!
もうレベッカは我らの仲間よ。
レベッカの身体の中には、魔族の種が宿っているのだ。
もはや救う方法などないのだ!」

なんと下劣な!
何と恥さらしな行動をとるのですか!
それでも王ですか。
いえ、王や貴族でなかろうと、人として許されない行動です。
絶対に許しません!
ですがその前に、なんとしてでもレベッカを救わないといけません!

「パオラ!
私と同調するんだ!
合体聖魔法を使うぞ」

「はい!」

「聖なる光よ!
魔王に虐げられる人を助けよ!」

私はエドアルド様に続いて聖なる魔法を発動させます。
呪文を唱えたり、願ったりするのは、全く同時でなくてもいいのです。
誰かを助けたいという純粋な願いが重なれば、その時から二人三人と、聖なる魔力を重ねて威力を発揮するのです。

ですがその条件は非常に厳しいです。
そのそも聖なる魔法を使えなければいけないのです。
俗に言われる聖者や聖女でなければ、聖の魔法は使えません。
大陸全体で数十年に一人現れればいいほど珍しいのが聖者や聖女です。

最初この話をエドアルド様から伺った時は、絶対に不可能だと思いました。
エドアルド様なら聖者の資格を持っておられると思います。
ですが私ごときに、聖女の資格があるとは思えなかったからです。
ですがエドアルド様は厳しく優しく諭してくれました。
今は聖女の資格がなくても、聖女のなろうと努力するのが人の道だと。
少なくともマネル王家の人間は、その努力を一生続けなければいけないと。

私はエドアルド様のお言葉に雷に打たれた思いでした。
確かにその通りです。
王族や貴族には、高貴なる者の義務があります。
ましてマネル王家に加えていただくのなら、エドアルド様の妻として横に並びたいのなら、一生努力しなければいけません。

「大丈夫だよ、パオラ。
そもそも聖者や聖女の資格のないモノに、マネル王家に伝わる宝具は身につけられないのだよ。
マネル王家の宝具が身につけられた時点で、聖なるものなのだよ。
後は少し努力すればいのだよ」

私はエドアルド様の言葉を信じて、神に祈り魔法の修行もしました。
魔法理論はもちろん、護身術程度の武も学び直しました。
体力がなければ、魔王と対峙することなどできませんから。
はしたないと言われてしまうかもしれませんが、エドアルド様の妻の座は誰にも譲りません!

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