「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集

克全

第10話

「本当にアンドレアを生き返らせてくれるのだな?」

「約束してやろう。
生き返らせてやる。
奴は我を恐れ敬い、多くの生贄を捧げてくれたからな。
お前が奴と同じように生贄を捧げるというのなら、生き返らせてやる。
だが半端な数の生贄では、死んだ人間を生き返らせる事はできん。
まあ、だが、奴は既に二千の生贄を捧げていた。
あと八千に負けてやろうではないか。
本来なら一から一万の生贄を捧げねばならんのだ。
我は優しいであろう」

「八千……
八千人の若くて美しい娘を嬲り殺しにするのか……
他に方法はないか?
この国にあと八千人もの美女がいるとは思えん。
少しでも美しいと評判の若い娘は、既にアンドレアが殺している」

「それは困ったな。
若くて美しい娘を嬲り殺しにしないと、魔族が望むような怨念と魔力が集まらぬ。
それ以外の人間を殺しても、魔族が満足する怨念や魔力にはならん。
それではアンドレアを生き返らせるのは無理だな」

「待ってくれ!
他の人間を殺しても、多少は怨念や魔力が集まるのだな?
だったら役に立たん老人でもいいのか?」

「ふむ、まあ条件次第だな。
子供や孫が、愛する親や祖父母を泣く泣く殺すのなら、八万人くらい殺せばいい。
そうだな、涙を流しながら生きている親や祖父母を喰い殺すのなら、四万人でも必要な怨念と魔力が集まるだろう。
どれくらい残虐に殺して、恨みや憎しみを集めるかが大切だ」

「だとしたら、マネル王国の人間を殺しても怨念と魔力が集まるのではないか?
戦争で憎しみあって殺しあうのなら、我が国の民とマネル王国の民の両方から怨念と魔力が集まり、アンドレアを直ぐに生き返らせることができるのではないか?」

「おお、よく思いついたな。
我は戦争が大好きだ。
魔族は人間が憎しみ殺しあうのが大好きだ。
まあ、さっきも言ったが、殺し方によって怨念と魔力の質と量が変わる。
できるだけ残虐に、憎しみと恨みが深くなる殺し方がよいな」

「それは、一撃で殺すよりも、時間をかけて嬲り殺しにした方がいいという事か?」

「そうだな、実力が拮抗していて、傷つけ傷つけられることで恨みと憎しみが増し、少しずつ身体が壊れていき、最後は双方死に絶えるのがいいな。
それと、捕虜にした者を拷問にかけるのもよいぞ。
簡単に殺さず、少しずつ傷つけて責め苛み、殺してくれと懇願するところをさらに傷つける。
さっきも言ったように、生きている捕虜の身体を切り取って、食べるのもいいぞ。
そうだ、犬や狼に喰い殺させるのもいいな」

「分かった!
アンドレアを生き返らせてくれるのなら何でもやる!
直ぐに戦争の準備をさせる。
だからアンドレアを生き返らせてくれ。
約束だぞ!」


コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品