「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集

克全

第5話エドアルド視点

神様に心から感謝を捧げます。
私にパオラと出会わせてくださったこと。
パオラを私の妻に決めてくださったこと。
全て神様が与えてくださった贈り物です。
感謝を捧げ、神様の教えに従い、神様の慈悲に従って国を治めます。

懺悔します。
神様を恨んだこともありました。
私が生まれた時に、神様は祝福を与えてくださいました。
父上も母上も、家臣たちも神官たちも心から喜んでくれたそうです。
ですが私は、長らく大きく欠けていました。
全く女性に欲情しないのです!

かといって、男性に欲情するわけでもありません。
老若男女関係なく、欲望が持てないのです。
神様が、神官のような禁欲的な王を望まれたのかとも考えました。
思い余って近臣に相談しました。
次に父上や母上にも相談しました。
ついには、既に愛妾を持っていた弟にさえ相談しました。

私が神様の祝福を受けていなければ事は簡単です。
後継者を残せない王は、次代に王位継承争いの原因となりますから、弟に王位を譲れば済むことです。
ですが、神様から祝福を受けた私を廃嫡にすれば、どのような天罰が下るか分かりません。

父上と母上と弟に重臣たちを加え、何度も真剣に話し合いました。
その間に欲情しないか色々と試しました。
内密にマネル王国一番の踊り子や高級娼婦が別邸に招かれ、彼女たちの知る性技の限りを尽くして欲情しなか試しましたが、全く駄目でした。

しかたなく話し合いで結論をだそうとしたその日に、神様から新たな啓示と祝福が届けられたのでです。
啓示には、オートヴィル王国との国境に行け、そこに私の運命の女性がいるとありました!
祝福は、人の本当の美醜が見分けられるというモノでした。

ですがこれは罰でもありました。
今まで心正しいと思っていた者たちの多くが、邪悪なところを持っていました。
それが宮廷貴族なら、ある程度は仕方ありません。
しかし宮廷貴族よりも、神官の方が邪悪なのです。
神様が、啓示と祝福を神官ではなく私に与えられた理由が、よく分かりました。

私は神様の啓示に従い、直ぐに国境に向かいました。
危険を考え、お忍びの形をとり、王家の所有であることを隠していた別邸に入りましたが、この別邸があることも神様はお見通しだったのでしょう。
私はそれから毎日国境の街道を巡回しました。
神様も詳しい日時までは教えてくださいませんでしたから。

神様を信じて別邸から国境の街道に通う事百日。
ついに運命の人と出会うことができたのです!
内面から光輝く女神のような女性でした!
見た瞬間、私は虜になってしまいました!
刺客に襲われ、危険な状態であると一目で分かったにもかかわらず、馬上であるにもかかわらず、激しく欲望を感じてしまいました。
神様が私に贈ってくださった運命の女性です!
生涯大切にします!
彼女を傷つけるモノは全力で叩き潰します!

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