「ざまぁ」「婚約破棄」短編集4巻

克全

第5話妹レイナ視点

「何ですって!
イェルク王太子殿下が殺されたというですか?!
急ぎ討伐隊を組織しなさい!
王太子殿下を殺されて黙っているわけにはいきません。
リンド王国の面目をかけて、血の果てまで逃げようと、ユリアとケヴィンを追いかけて殺すのです!」

ユリア、本当に馬鹿な女です。
イェルクの誘いに乗れば、王妃になれたモノを。
それにしてもイェルク、よくも私を裏切ってくれましたね。
結婚した私を捨てて、ユリアを妻に迎えようとするから殺されるのです。
まさに天罰覿面ですね。
いえ、神との契約を護ろうとして殺されたのですから、天罰ではありませんね。

それにしても、ユリアが本物の聖女だとは思いもしませんでした。
私が聖女でない事は、いつかはバレると思っていましたが、その時は本物の聖女を探し出して、手先にすれば済むと計算していたのに!
私が陥れたユリアが聖女なら、絶対に私の支配下には入らないでしょう。
ユリアが融通の利かない馬鹿なのは、妹だった私が誰よりも知っています。

問題なユリアの事より私の事です。
今から不義の子を宿しても、イェルク王太子の子と主張するのは難しいでしょう。
国王戴冠の芽がでたヘンリー第二王子が反論して、徹底的に調べさせるでしょう。
そんな事になれば、過去の事まで明らかになってしまいます。
愚かな裏切者でも、イェルク王太子さえ生きていれば、薬で廃人にして操ってでもこのピンチを斬り抜けられたのですが、死んでしまってはその手も使えません。

仕方ありませんね。
少々乱暴で危険な手ですが、ヘンリー王子の妻と愛人を殺してしまいましょう。
私より先に妊娠されては困ります。
妻と愛人さえ先に処分してしまえば、後はゆっくりヘンリー王子を誘惑することができますからね。
男を誘惑するくらい簡単な事はありません。
ですが、ただ待つのも時間の無駄ですね。
両方同時に行いましょう。

「誰かいますか!
直ぐにヘンリー殿下の所に行きなさい。
王太子殿下の事でどうしても相談したいことがあると伝えてきなさい」

さて、こっちは私の魅力をもってすればどうにでもなります。
最悪国王を誘惑して、国の実権を握ってしまえばいいことです。
男など欲望のまま生きる愚かな動物でしかありません。
自分の子供の嫁、それも未亡人を犯せる機会があれば、紳士の仮面も国王の体面もかなぐり捨てて裸になるのが男というものです。

問題はユリアです。
聖女がいなければこの国は滅んでしまいます。
滅んでしまう国を支配しても何の意味もありません。
殺してしまえば、新し聖女がこの国の中に生まれるはずです。
なにがなんでも殺してしまわなければいけません。

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