「ざまぁ」「婚約破棄」短編集4巻

克全

第2話

「ふっふっふっふっ。
無事に逃げられるとでも思っていたのか?
まだ味見もしていないのに、この国から逃がすわけがないだろ。
皆でたっぷり可愛がってやるよ。
その後は犯罪者ギルドに売ってやる。
大金を積んででも、貴族の令嬢を抱きたい奴は多いからな。
それもファンケン公爵家の令嬢なら、千金万金を積む馬鹿もいるだろうよ。
王太子じゃなければ俺が仕切ってやるんだがな」

「おのれアキーレヌ!
それでも王太子ですか!
恥を知りなさい!」

「ふん!
弱い者が悪いのよ。
弱い者は強い者に喰われるのがこの世の掟よ。
お前は俺より弱かった。
だから喰われる。
単純明快な話よ」

「そうね。
確かに弱い者が強い者に喰われるのがこの世の掟ね。
だったら王太子というチンケナ地位で、身を守れるとは思っていないでしょ。
もう一切の容赦をしないわよ」

「お姉様!」

「クラリス!
なぜお前がここにいる?!
なぜこの事を知っている?!
奈落の聖女の役目はどうした!」

「お前は馬鹿なの?
ああ、馬鹿以外の何もではないわね。
奈落の聖女が、この国でおきているの事を見抜けない訳がないでしょ。
可愛い妹をここまで虚仮にされて、封印を続けるほど、私はお人好しじゃないよ。
自分の冒した罪は自分で償いな!」

「なんたる無責任!
それでも聖女か!」

「そっくりそのまま、その言葉を返してやるよ。
いや、馬鹿は言葉じゃ理解できないだろうね。
自分の身体で、自分の冒した罪を味わいな!
眼をつぶりなさい、エレノア」

私はエレノアがしっかりと眼をつぶったのを確認して、魔法の嵐を放ちました。
一切の容赦はしません。
まずは王太子を操っているキアナからです。
フィールド公爵家令嬢キアナ。
私の見る限り、この極悪令嬢が全ての元凶です。

刃の風魔法で鼻と耳と唇を削ぎ、顔中に醜い傷が残るように切り刻みます。
それだけではすませません。
十の指を切り飛ばします。
眼は傷つけません。
醜く変貌した顔を見続けて、苦しめばいいのです。

王太子達男どもは、それだけでは許しません。
周囲に罪と罰が分かるように、キアナと同じように、鼻と耳と唇を削ぎ、顔中に醜い傷が残るように切り刻みます。
同時になにも分からなくなって、不安に苦しむように、眼を潰します。
多くの女性を苦しめてきた男性器を、激しい痛みを与えるために圧し潰します。

そして大規模魔法で、王太子とキアナ、それに加担した貴族院議員の大貴族達の悪行を、王都の民に伝えました。
王都と言っても三万人程度の人口です。
奈落を封印してきた魔力に比べれば、三万人に白昼夢を見せるくらい簡単です。
自分達が腐れ貴族によって死地に陥ったこと知れば、王都の民がどう動くのか、とても楽しみです。

「エレノア、そのまま眼をつむっていなさい。
私が馬車までエスコートしてあげます。
一緒に他の国に行きましょう」


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