「ざまぁ」「婚約破棄」短編集4巻

克全

第4話

「さて、逃げようとしたらどうなるか教えておいてあげます。
どこに逃げようと、そう、世界の果てに逃げようと追いかけていきます。
地の果てまで追いかけて殺します。
ですが約束しておきます。
フセインたちの悪行を証言してくれる者は生かしてあげます。
礼金も渡しましょう。
だから絶対に逃げるのではありませんよ。
馬と馬車を護って、モントローズ公爵家まで来ていただきます。
貴男方は邪魔ですから死になさい」

「「「「「ギャァァァァ!」」」」」

私は余計な家臣たちを皆殺しにしました。
身体強化して、両手両足を刃に変えて、よけいな家臣たちを切り刻みました。
彼らは馬や馬車を操る役を微禄の者に押し付けて、自分たちは城に残ろうとした卑怯者なのです。

もちろん証言に必要な、家老と見届役と侍女は確保しています。
だから少しでも気に喰わない家臣は殺してしまえるのです。
もちろん全てが初夜の夜に起こったことです。
城に詰めていたのは、フセインたちの悪行を知っていた有力家臣と、城を護るための宿直だけです。

ハミルトン公爵家の正式な家臣は一万家です。
そのうち千兵が宿直として城にいました。
住み込みの女官がいますから、千五百人ほどでしょうか。
女官五百と宿直九百が生き残って馬車と馬に分かれています。
宿直のうち頭だっていた百人と、家老と中老の半数を殺しました。

「さあ、出発しなさい。
グズグズする者は問答無用で殺します!」

私は馬車に乗って進みました。
一人の味方もいないので、一瞬たりとも油断できません。
ですが、モントローズ城まで不眠不休で移動するのは不可能です。
少しは眠り身体を休めないといけません。
フセインやハミルトン公爵軍が追ってきたら、戦わなければいけません。

だから、私がモントローズ公爵家から嫁入り道具に持ってきた、馬車の中で休むことにしました。
この馬車なら魔道具による護りが施されています。
準男爵や騎士の攻撃くらいなら、数撃は完璧に防いでくれます。
この馬車の中で仮眠をとって身体を休め、フセインやハミルトン公爵軍の攻撃に備える事も、モントローズ公爵家に戻ってからエイリンとヌライを討伐する力を温存することもできるでしょう。

「開門!
かいもぉぉぉぉん!
我らはファティマ様帰還の先触れである!
直ぐに城門を開けよぉ!」

私が先触れに任命した元ハミルトン公爵家の家臣が叫んでいます。
モントローズ城に戻るまでに、ハミルトン公爵家の家臣のなかから見どころにありそうなものを探し出し、役に立てようとしたのです。
さあ!
エイリンとヌライはどう動くか?!



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