「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集3

克全

第1話

「いっらっしゃい。
ケヴィンさんは何をされますか」

「勝負してくれ、マリー。
一夜の恋を賭けてくれ」

「あら、あら、困りましたね。
私との恋は高いですわよ。
高級娼婦(クルチザンヌ)程度の金額ではお受けできないと、以前にも申し上げたはずですわよね?」

マリーが任されている賭場の空気が、一瞬で緊張したモノに変わった。
いや、博打場だから、元々熱狂と緊張とタバコと汗の臭いの立ち込めた、一種独特の雰囲気の場所ではある。
多くの男達が、地位や腕っぷしに関係なく、マリーを狙って集まっていた。
お忍で毎夜通う貴族も、大金を賭けてマリーと勝負している。
その日暮らしの貧し男も、わずかな日雇い金で勝ち続けて、マリーを抱く日を夢見ていた。

だが、誰一人マリーに勝つことができないでいた。
あまりのマリーの強さに、マリーは博打の神に祝福されているのだとう言う者さえいたし、本気でその話を信じる者も多かった。

マリーがギャンブラーとしてこの賭場に登場した当初は、数多くの大富豪や大商人、裕福な貴族や剣闘士がマリーに挑んだ。
だがその全員が、有り金すべてを失って没落していった。
それと共に、弱小だったマリーの所属する犯罪者ギルドは、この都市一番の犯罪者ギルドに成長していった。

だから今では、マリーに挑む人間は少なくなっていた。
全くいなくならないのは、遠くの都市の大富豪や大商人が、噂を聞きつけてやってくるからだ。

大富豪や大商人は、誰もが自分が幸運で神に祝福されていると思っていた。
特に一代で成り上がった者ほど、自分の才能と運を信じていた。
だからこそ、身の程知らずにマリーに勝負を挑むのだ。
だがその全員が敗れ、多くの借財を抱えてしまう。
この都市に持ってきた仕入れの資金も商品も失い、更に借金まで背負う。

だがケヴィンはそんな大富豪や大商人ではなかった。
神に仕える神殿の大神官だった。
事もあろうに神に仕える大神官が、ギャンブルとマリーに狂っていた。

だがさすがのマリーも、大神官ケヴィンを破産させるわけにはいかなかった。
この都市で神殿と敵対する事は、とても危険な事だった。
今では一介の犯罪者ギルドではなく、大陸中をまたにかける大商店となった犯罪者ギルドであってもだ。
だから適当にケヴィンの相手をしていたが、そこに闖入者が現れたのだ。

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