「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集3

克全

第4話

私イザベラは、安心してハミルトン伯爵家と縁を切ることができました。
ハミルトン伯爵の陰の顔、暗殺ギルドから縁が切れました。
暗殺ギルドの幹部達も、月神の話を聞いて納得してくれました。
私がハミルトン伯爵に話してくれと頼んだのです。
そうしておかないと、ハミルトン伯爵に何かあった時に、次のギルドマスターになった者に追手を差し向けられるかもしれないからです。

私は、胸を張ってウォーターフォード王家から出て行くことができました。
以外にも、多くの物をハミルトン伯爵家と暗殺ギルドから持ち出すことが許され、私はなんの不安もなく旅立つ事ができました。
ハミルトン伯爵が月神コンス様の意向だと言ったので、暗殺ギルドの幹部達も特例として認めてくれました。

収容能力が微妙ですが、元々持っていた魔法袋まで持ち出せました。
暗殺ギルドの仕事のついでに、派遣先のお宝を盗み出すために、特別に貸し与えられていた物なので、返さなければいけないと思っていましたから、とてもラッキーでした。

愛用の鎖鎌と短剣は、これから暗殺の仕事を請け負うのに必要です。
聖女として暗殺者として与えられていた細々とした武器や防具も、これからの生活に役立つでしょう。
特に聖女と正装として与えられていた宝飾品は、暗殺の技を封印して普通の女としえ生きていくのなら、どうしても必要な生活費になります。

ハミルトン伯爵にいつも怒られていましたが、私はあまり賢くないのです。
他の国で暗殺者の仕事をしたら、暗殺ギルドにいいように使われるだけです。
そしていつか裏切られ、死ぬことになります。
私がバカだということは、何度もハミルトン伯爵に叱られたので、この身に染みこんでいます。
だから、できることなら、普通の女として暮らしていきたいのです。

「また仕事をさぼりやがったね!
この怠け者が!
お前のような役立たずに喰わせる食べ物は、この家には麦一粒もないんだよ。
さっさと出て行きな!」

「ごめんなさい。
ゆるしてください。
わたしはたべなくてもだいじょうぶです。
でもおねえちゃんになにかたべさせてあげてください。
おねえちゃんはずっとなにもたべていないの。
おねえちゃんのかわりに、わたしがおとこのひととねるから、おねがいします」

一瞬で、頭に血が上ってしまいました!
幼い頃から何度もハミルトン伯爵に叩かれて矯正された性格です。
怒り易くて、一旦怒り出すと前後の見境がなくなるのです。
でも、ハミルトン伯爵に厳しく仕込まれたので、今では激怒しながらも冷静に行動できるようになりました。
怒りの元凶を冷静に殺す事はできますが、見逃す事はできません!

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く