「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集3
第47話
「お待ちください、ルシアお嬢様。
このまま逃げられては、公爵閣下も追手をださなければいけなくなります。
それでは逃げ暮らす事になってしまいます。
そのような逃亡生活は、子供には大変なのではありませんか?
それよりは公爵閣下とじっくりと話し合われた方が、よい結果を得られるのではありませんか?」
ギュンターの店を裏から逃げ出そうとすると、ハルトが待ち構えていました。
最悪です!
実家最強の騎士がなぜここにいるのですか?!
家老の家柄で、騎士団長を務める、実家では名門中の名門です。
ジョセフの護衛を務めるような漢ではありません。
「なんでハルトがここにいるの?!」
「勘です。
私の勘が、ジョセフをつけた方がいいと感じました。
てっきりジョセフが悪事を企むのかと思っていましたが、ルシアお嬢様に出会うことができるなんて、神の導きでしょうか?」
腹立たしい!
なにが神です!
本当に神がいるのなら、ここまで苦労しません。
これほど災難の連続で、神がいるとは信じられません。
いるとしたら悪神でしょう。
ですが、よく考えなおしたら、話し合うのも悪くないですね。
私を陥れようとした聖女マルティナはもう死んでいます。
手先になっていた者達も全員死んでいます。
もう私を陥れ殺そうとする者はいません。
問題はその死の全てに私が係わっている事ですが、バレるでしょうか?
安全を優先するのなら、強行突破して逃げるべきです。
今の私達の力なら、若い頃冒険者として激しい武者修行したハルトでも、簡単に勝てるでしょう。
ですが、ハルトの言う事も魅力的です。
ネイの幸せを考えれば、公爵家の庇護を受けて王都の下町で暮らす方が、とても穏やかに暮らせるでしょう。
父との交渉は激しくなりますが、全く勝ち目がないわけでないでしょう。
父があまりに理不尽な事を言うのなら、逃げ出せばいい事です。
「ウィリアム、イライアス。
手伝ってくれる?」
「ふむ、構わないよ」
「ああ、俺も構わん」
「ハルト。
貴男なら私達の実力が分かるでしょう。
強行突破する気になれば、ハルトを叩きのめして逃げる事ができるのよ。
ここにいる全員を同じ部屋で賓客として迎える事。
条件が折り合わなかったら素直に帰す事。
それを約束してくれるのなら、父と話し合うわ」
「それは難しいですね。
ルシアお嬢様を同じ部屋にするわけにはまいりません。
屋敷の一角を解放しますから、隣か向かいの部屋に泊まっていただきましょう。
黙って帰すという約束もできません。
全力でお止めします。
叩きのめして帰ってください。
サンディランズ公爵家の家臣としてお約束できるのは、ここまでです」
「悪くない条件ですね。
これで手を打ちましょう」
このまま逃げられては、公爵閣下も追手をださなければいけなくなります。
それでは逃げ暮らす事になってしまいます。
そのような逃亡生活は、子供には大変なのではありませんか?
それよりは公爵閣下とじっくりと話し合われた方が、よい結果を得られるのではありませんか?」
ギュンターの店を裏から逃げ出そうとすると、ハルトが待ち構えていました。
最悪です!
実家最強の騎士がなぜここにいるのですか?!
家老の家柄で、騎士団長を務める、実家では名門中の名門です。
ジョセフの護衛を務めるような漢ではありません。
「なんでハルトがここにいるの?!」
「勘です。
私の勘が、ジョセフをつけた方がいいと感じました。
てっきりジョセフが悪事を企むのかと思っていましたが、ルシアお嬢様に出会うことができるなんて、神の導きでしょうか?」
腹立たしい!
なにが神です!
本当に神がいるのなら、ここまで苦労しません。
これほど災難の連続で、神がいるとは信じられません。
いるとしたら悪神でしょう。
ですが、よく考えなおしたら、話し合うのも悪くないですね。
私を陥れようとした聖女マルティナはもう死んでいます。
手先になっていた者達も全員死んでいます。
もう私を陥れ殺そうとする者はいません。
問題はその死の全てに私が係わっている事ですが、バレるでしょうか?
安全を優先するのなら、強行突破して逃げるべきです。
今の私達の力なら、若い頃冒険者として激しい武者修行したハルトでも、簡単に勝てるでしょう。
ですが、ハルトの言う事も魅力的です。
ネイの幸せを考えれば、公爵家の庇護を受けて王都の下町で暮らす方が、とても穏やかに暮らせるでしょう。
父との交渉は激しくなりますが、全く勝ち目がないわけでないでしょう。
父があまりに理不尽な事を言うのなら、逃げ出せばいい事です。
「ウィリアム、イライアス。
手伝ってくれる?」
「ふむ、構わないよ」
「ああ、俺も構わん」
「ハルト。
貴男なら私達の実力が分かるでしょう。
強行突破する気になれば、ハルトを叩きのめして逃げる事ができるのよ。
ここにいる全員を同じ部屋で賓客として迎える事。
条件が折り合わなかったら素直に帰す事。
それを約束してくれるのなら、父と話し合うわ」
「それは難しいですね。
ルシアお嬢様を同じ部屋にするわけにはまいりません。
屋敷の一角を解放しますから、隣か向かいの部屋に泊まっていただきましょう。
黙って帰すという約束もできません。
全力でお止めします。
叩きのめして帰ってください。
サンディランズ公爵家の家臣としてお約束できるのは、ここまでです」
「悪くない条件ですね。
これで手を打ちましょう」
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