「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集3

克全

第44話

「ええ、そうね。
私もお腹がすいたわ。
ウィリアム、イライアス。
いいかしら?」

「そうだね、料理を作るのも面倒だしね、食べて行こう」

「よっしゃあ!
ガッチリ喰うぞ。
となると、猪肉の旨いところがいいな」

「まあ、まて、イライアス。
場所はネイの好みにあわせよう。
ネイ、行きたい店はあるのかい?」

「ネイね、個室がいいの。
知らない人がいるところは怖いの」

「分かった!
じゃあ、オットーの店に行こう。
あそこなら変な奴はやってこない」

「まて、まて、慌てるなイライアス。
オットーの店は高級すぎる。
時に士族や貴族が来る事もある。
この服装じゃ余計な揉め事が起こるかもしれん。
今日はギュンターの店にしておこう」

皆で楽しく話しています。
特にネイがこの国に来てから明るくなりました。
最初は人込みをとても怖がっていました。
今も知らない人間は怖がりますが、ようやく人込みには慣れてきました。
でも今分かりましたが、室内で知らない人間と一緒にいるのは駄目なようです。

それとネイが急激に賢くなりました。
ずっと一緒にいて、色々教えてあげることができたのと、ネイの知的好奇心によっって、大きくし成長してくれました。
ウィリアム達も勉強を教えてくれました。
予想通り全員相当の教養がありました。

ウィリアムとイライアスは間違いなく貴族です。
それも、家を出なければいけない二人に、六人もの従者をつけられるくらいの、とても有力な貴族です。
従者もただの使用人ではありません。
文武に秀でた騎士級の従者です。

まあ、六人は部屋住みなのでしょう。
当主や跡取りを、国を出なければいけない子弟に付ける事はないでしょう。
いずれ家を出なければいけない部屋住のために、陪臣騎士家の部屋住みを徹底的に鍛え、他国で冒険者や傭兵として生きていけるようにしたのです。
少なくとも六家は、陪臣騎士家を抱える有力貴族なのです。
最低でも伯爵、もしかしたら王家に連なる公爵家かもしれません。

「早く入ろうよ、ママ。
とても美味しそうな匂いがするよ。
この匂いは腸詰かな?
それともベーコンかな?
あ!
ベーコンスクランブルエッグが食べたいな。
ここは食べさしてくれるかな?」

考え事をしている間に、ギュンターの店の前まで来ていました。
ちょっと気が緩んでしまっています。
気をつけないといけません。
でもそんな事よりも、ネイがとてもよろこんでいます。
美味しそうな匂いに心が高揚しているのでしょうね。

確かにこの匂いはとても食欲を刺激します。
ネイが言うように、ベーコンスクランブルエッグが食べたいですね。
でもあれはオットーの店の料理だったはずです。
全く同じものは無理でしょうが、注文したら同じようなモノを作ってくれるでしょうか?

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