「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集3

克全

第21話

ヴァレリアが大盾を使って私を護ってくれました。
これでようやくアレハンドロの足が止まりました。
ですがそれだけです。
撃退することはできません。
ヴァレリアが大盾を使ってシールドバッシュを喰らわしてくれても、ダニエラが遊撃して側面からハルバートで強打しても、ソフィアが目潰しを使ってくれても、アレハンドロは一歩も引かず、私の方に来ようとします。

私は運がいいのかもしれません。
ウィリアム様たちが大ダンジョンから戻ってこられたのです。
直ぐに異変に気がつかれたのでしょう。
疲れているのも関わらず、戦闘態勢で突っ込んできてくださいました。
しかしウィリアム様は慎重です。
いきなり剣で斬りあうのではなく、私たちに状況を聞かれたのです。

「なにがどうなっている?
俺たちはこいつを殺していいのか?」

「護りの魔道具を使っているように思えます。
魔術攻撃も物理攻撃も通用しません。
今は何とかヴァレリアの大盾で防いでいます」

「今しばらく耐えろ」

私の説明に、ウィリアム様が答えてくだしました。
何か方策があるのだと、ヴァレリアにもわかったのでしょう。
疲れて押され気味だったのが、再び踏ん張ってくれました。
ダニエラも疲れをおしてハルバートを振るってくれています。

その間に、ウィリアム様たちがアレハンドロを迂回して、私たちの方に来てくださいました。
そして配下の二人がヴァレリアに代わって盾役を引き受けてくれました。
もう二人の配下が、投擲で石をぶつけています。
ウィリアム様とイライアス様が様子を見ています。
ダニエラたちがようやくひと息つくことができました。

しばらく配下四人の戦いぶりを見ていたウィリアム様とイライアス様が、庭に落ちている剣を拾いました。
どうやら自分の剣は温存するつもりのようです。
もしかしたら、大魔境で剣が損耗してしまったのかもしれません。

ウィリアム様とイライアス様が、激烈な連撃をアレハンドロに放ちます。
配下との連携は完璧です。
盾役二人と投擲約二人は、ウィリアム様とイライアス様の邪魔にならないように、入れ代わり立ち代わり支援しています。
私はその姿を知っていましたが、ダニエラたちは初見です。

ウィリアム様とイライアス様に連撃に息をのんで驚き、パーティーとしての連携技にため息をついて感心しています。
私にもようやくウィリアム様たちの突出した実力を理解することができました。
奇襲を受けて脆くも壊滅した王都警備隊と、私たちの攻撃で壊滅したアレハンドロたち襲撃者と、一流といわれる冒険者パーティーアマゾーンたちと比べる事で、ようやくウィリアム様たちの素晴らしさを実感することができました。




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