奴隷魔法使い
第239話白山魔境
『白山魔境』
矢張り最終確認は自分で属性魔竜ボスと戦う事。何時もと同じように一般冒険者では狩れない、強大な草食魔竜・肉食魔竜を狩ってボスを誘い出す。
ここのボスも結構好戦的で、狩り始めて直ぐに迎撃に現れた。強さとしては朝日魔境ボスや飯豊魔境ボスと同等かと思われるが、どうも土属性ばかりのような気がする。最近の戦ったボスと同じように12本の爪を切り取り、1割程度の鱗と血液を奪い取り、散々嬲り者にして逃がしてから彩と交代した。もちろん彩も魔法袋一杯の大型草食魔竜・肉食魔竜を狩る。
今回も1カ所狩りが可能な魔境を発見し、魔法袋が一杯になるまで調査狩りをして王都に帰還した。
『王都・唐津家上屋敷』
(唐津次席大臣殿、国王陛下が登城せよとのことだ。)
(土御門筆頭魔導師殿、いったい何ごとですか?)
(久保田伯爵殿が朝から至急の登城をされてな、領地の交換を願い出られているのだが、唐津殿との調査から帰った陪臣から王城に、新しい狩りが可能な魔境が発見されたとの注進があった。ここは唐津次席大臣殿と飯豊次席大臣添役殿にも同席した頂かねば、話が進まぬと言う事に成ったのだ。)
(ならば飯豊次席大臣添役も同席しないといけませんね?)
(そうなのだが、一緒にいるのだろ?)
(はい、今は共に魔力回復の儀式の最中ですが、直ぐに衣服を改めて登城致します。)
(うむ、国王陛下や大臣・重臣達にはそのように伝えておく。)
俺と彩が間食と何時もの儀式をこなしていると、土御門筆頭魔導師殿から念話で連絡が来た。久保田伯爵家は結構有能な意思決定機能を有しているようだ、これなら安心して一緒に狩りが出来る。
『王都・王城』
「尊・彩、急な登城命令許せ、2人の報告を聞かねば決められぬ問題があってな。」
「いえ、陛下の御命令と有れば直ぐに駆け付けるのが臣下の務め、何用であろうと必要と有れば何時でも御命じ下さい。」
「私も尊と同じ思いでございます。陛下の御下命であればたとえ火の中水の中であろうと、怯むことなく駆け参じます。」
「よくぞ申してくれた、尊・彩、だが今回はそこまででは無い。土御門から聞いてはいるだろうが、久保田伯爵から太平魔境で狩りを始める為に、1日でも早く領地替えをしたいと請願があったのだ。そこでどこを唐津・飯豊領とし王家・王国の直轄領とするか話し合っておったのだが、新たに久保田伯爵領に魔境が発見されたと、久保田伯爵の家臣から王城に注進があってな、その場所の確認を2人としたいと思ったのだ。」
「承りました、地図はありますでしょうか?」
この後は大地図を囲みながら知行割となったが、問題は久保田伯爵家のなかで替えれる場所が限られている事だ。当然だが久保田伯爵家・俺達・王家・王国領の3ヵ所が魔境に接していなければ、そもそも狩りが出来ない。次に久保田伯爵家の領地が余りにバラバラでは攻守の能力が無くなる、そもそも王家・王国と戦った事も有る家柄だ、領地を切り刻まれて戦闘力を無くすのは悪夢だろう。
そしてどれくらいの広さを交換するかだが、ある程度の幅と奥行きが無ければ囮が出来ない。俺や彩がやるなら狭くても大丈夫だが、初級や中級の魔法使いが囮を務めるなら、耕作地なら最低でも5000石、奥山で森林地帯なら石高計算では無く広さになるから、500町の広さは必要だ。
「国王陛下に立っての御願いがあるのですが、宜しいでしょうか?」
「唐津子爵が余に願いなど珍しいな、遠慮せずに言ってみよ。」
「私と彩の子供に分家を御認め頂いていたのですが、出来れば男爵の地位を与えてやりたいと思っております。許して頂けるなら、白神魔境の南海岸線にある八森に1万石の領地と築城権、太平魔境の北西にある阿仁に1万石と築城権を御許し願いたいのです。」
(まあ殿様、そのような事を御考えだったのですか?)
(まあたまには欲張ろうと思ってね。)
(それなら4人男の子が産まれても、爵位を与えてやれるのですね。)
(そうだよ、まあ孫の代になっても大丈夫だしね。)
「ふむ、それだと王家・王国の狩場も入れると、3万石は久保田伯爵家から領地替えが必要に成るが、伯爵はそれでも領地替えを願うのか?」
「御願い申し上げます、ただ領地替えの請願に加え、重ね重ねの願いは厚かましいとは思いますが、替地の3万石は1万石づつ築城権付の男爵位を賜りますれば幸いでございます。」
久保田伯爵家も中々強かだ、築城させて欲しいでは無く築城権とは考えたものだ、将来の御家騒動防止策に爵位を多く持って置くのは好い手だし、築城権なら実際の築城費用は今直ぐ用意しなくていい。狩場の収益が安定し、借金返済を終え蓄えが出来てから築城すればいい。
(久保田伯爵も好く考えられたのですね。)
(そうだね、これ位の強かさが無いと貴族家の当主は務まらないのかもしれないね。)
「国王陛下、どうせなら王家・王国の狩場も1万石にして、将来分家とすべき子孫が御生まれになった場合に備えられてはいかがですか? 久保田伯爵殿はどうです、3つの男爵位よりは4つの男爵位を持つ方が好いのではないか?」
間部筆頭大臣が突っ込んだ提案をしてきた。流石に国王陛下の二男三男に1万石程度を分家させられないが、領地の一部に魔境狩りが出来る所が有れば助かるし、孫や曾孫を封ずるのなら1万石が妥当だろう。問題は久保田伯爵が受けるかだが。
「お受けいたします。」
まあそうだろうな、3万石も4万石も領地替えを決断したなら大差ない。
「重ね重ねの厚かましい願いながら、明日からの狩りは可能でございましょうか?」
「唐津子爵、どうだ?」
「申し訳なき事ながら、囮を務められる人手が育っておりません。人材を育てながらになりますので、久保田伯爵家の御家来衆の訓練が済んでから、朝日魔境・飯豊魔境同様1日4時間程度が限界かと思われます。」
「ふむ、4時間なら久保田伯爵の家来が訓練終了したら可能なのだな?」
「はい、即戦力の指揮官指導者は朝日魔境・飯豊魔境に掛かりっきりでございます。多摩・甲府・八講・諏訪の狩場で事故を起こさないように人材を引き抜き、太平・白神魔境に人材を派遣するとなると、訓練時間が必要となります。死んだ御家来衆を生き返らせる事は出来ませんが、三井屋の件も御座います、借金の取り立ては待たせればいいのです。」
(そう言う事ですか殿様。)
(多分だけどね、俺達が米沢伯爵家の借金を帳消しにしたのも調べているのだろう、ここで俺達が狩場を設置すると噂が立っただけで、金貸しは貸金を帳消しにするだろうね、いや取り過ぎた分を返済した上で、詫び金も払うんじゃないかな。)
(金貸しはそこまでしますか?)
(するだろうね、関係者が全て死刑で九族奴隷として異国に売り払われるんだ、許して貰う為なら形振り構わないだろうさ。)
(でもそんなに直ぐに情報が流れるでしょうか?)
(一流の商人ならもう知っているだろうね、商人にとって情報は命だからね。二流や三流でも何れは知るだろうし、久保田伯爵家御家来衆も俺達が領内入ると知ったら、金貸しの言い成りにはならないさ。)
(そうですね! どこの御家来衆でも平民でも、絶対に奴隷として売り払わせたりしません!)
(彩の気持ちを無下にはしないよ、必ず闇奴隷売買は撲滅するし、異国に売り払われた和人奴隷は助け出してみせるよ。)
(はい、ありがとうございます。でも私も戦います!)
(うん、頼りにしているよ。)
「唐津次席大臣殿の力強き御言葉、感謝の言葉も有りません。」
「なるほど、そう言う事であったか。ならば鈴木目付指揮下の者共も探索に派遣致そう。」
この後も細々な話し合いをしたが、明日は長崎に海魔獣・海魔竜を競りに出さないといけない、色々と忙しくて長崎のストックがなくなっている。唐津の狩場では杜若智子と椿弘美が陸の魔獣・魔竜を狩ってくれているが、南蛮や清の商人は海魔獣・海魔竜を欲している。
下城した後で、彩と共に夕食を摂り儀式を終え佐渡魔境に狩りに向かった。
『佐渡魔境海上』
(殿様、日が暮れてからの佐渡魔境は不気味ですね。)
(ああ、流石に夜の海魔境の恐怖感は半端じゃないな。)
(今までの日中の狩りではボスが現れた事は無いですが、夜だと現れるでしょうか?)
(何とも言えないが、出ると覚悟した上で狩りに臨んだ方が好いね。)
(そうですね。)
俺と彩は深夜の真っ黒な海上で海魔獣・海魔竜を狩り始めた。もちろん今回も慎重に慎重を期した、初めて2人で狩りをした時のように、俺が直接の狩りをして彩が支援に徹するスタイルだ。
昼狩る時より遥かに大型の海魔獣・海魔竜ばかりだ。特に鯨並み大きさの海月(くらげ)は初の獲物だ、恐らく強力な毒を持っているのだろう、魔法袋に入れるのも細心の注意が必要だ。
(殿様!)
とんでもなく巨大な白鯨型の魔獣が海底の奥深くから飛び上がって来た。その魔力の総量はボスに匹敵する強大なものだ。その巨体からは想像も使いない速さで俺を飲みこもうとしている、咄嗟に俊足・加速を重ね掛けして紙一重で避けた。
同時に手にした長巻に魔力を乗せて白鯨の皮を長々と削ぎ取ってやった! 跳躍の最長地点まで到達した白鯨は身をくねらせて海に飛び込んだ。こいつはデカ過ぎて倒しても買い取れる人間はいない、それに俺自身も研究に費やす時間が無い。
(彩逃げるぞ!)
(はい!)
俺と彩は一旦撤退する事にした。狩り取れた魔獣・海魔竜の量は少ないが、今まで狩った事の無い新種の海月も手に入ったし、狩った事の有る魚型や烏賊・蛸型も最大の大きさだ、これなら量が少なくても競りは成功するだろう。何なら明日の昼食後にもう1度狩りをすれば好い。
問題はあの白鯨型が佐渡のボスかどうかと言う事だ、今までボスが竜型だからと迂闊に倒してしまうと、佐渡魔境が崩壊してしまうかもしれない。今は海魔獣・海魔竜が1番好い商品だから、佐渡の金銀鉱山を手に入れるよりも、安定して海の魔境を管理することが収入の安定に繋がる。
矢張り最終確認は自分で属性魔竜ボスと戦う事。何時もと同じように一般冒険者では狩れない、強大な草食魔竜・肉食魔竜を狩ってボスを誘い出す。
ここのボスも結構好戦的で、狩り始めて直ぐに迎撃に現れた。強さとしては朝日魔境ボスや飯豊魔境ボスと同等かと思われるが、どうも土属性ばかりのような気がする。最近の戦ったボスと同じように12本の爪を切り取り、1割程度の鱗と血液を奪い取り、散々嬲り者にして逃がしてから彩と交代した。もちろん彩も魔法袋一杯の大型草食魔竜・肉食魔竜を狩る。
今回も1カ所狩りが可能な魔境を発見し、魔法袋が一杯になるまで調査狩りをして王都に帰還した。
『王都・唐津家上屋敷』
(唐津次席大臣殿、国王陛下が登城せよとのことだ。)
(土御門筆頭魔導師殿、いったい何ごとですか?)
(久保田伯爵殿が朝から至急の登城をされてな、領地の交換を願い出られているのだが、唐津殿との調査から帰った陪臣から王城に、新しい狩りが可能な魔境が発見されたとの注進があった。ここは唐津次席大臣殿と飯豊次席大臣添役殿にも同席した頂かねば、話が進まぬと言う事に成ったのだ。)
(ならば飯豊次席大臣添役も同席しないといけませんね?)
(そうなのだが、一緒にいるのだろ?)
(はい、今は共に魔力回復の儀式の最中ですが、直ぐに衣服を改めて登城致します。)
(うむ、国王陛下や大臣・重臣達にはそのように伝えておく。)
俺と彩が間食と何時もの儀式をこなしていると、土御門筆頭魔導師殿から念話で連絡が来た。久保田伯爵家は結構有能な意思決定機能を有しているようだ、これなら安心して一緒に狩りが出来る。
『王都・王城』
「尊・彩、急な登城命令許せ、2人の報告を聞かねば決められぬ問題があってな。」
「いえ、陛下の御命令と有れば直ぐに駆け付けるのが臣下の務め、何用であろうと必要と有れば何時でも御命じ下さい。」
「私も尊と同じ思いでございます。陛下の御下命であればたとえ火の中水の中であろうと、怯むことなく駆け参じます。」
「よくぞ申してくれた、尊・彩、だが今回はそこまででは無い。土御門から聞いてはいるだろうが、久保田伯爵から太平魔境で狩りを始める為に、1日でも早く領地替えをしたいと請願があったのだ。そこでどこを唐津・飯豊領とし王家・王国の直轄領とするか話し合っておったのだが、新たに久保田伯爵領に魔境が発見されたと、久保田伯爵の家臣から王城に注進があってな、その場所の確認を2人としたいと思ったのだ。」
「承りました、地図はありますでしょうか?」
この後は大地図を囲みながら知行割となったが、問題は久保田伯爵家のなかで替えれる場所が限られている事だ。当然だが久保田伯爵家・俺達・王家・王国領の3ヵ所が魔境に接していなければ、そもそも狩りが出来ない。次に久保田伯爵家の領地が余りにバラバラでは攻守の能力が無くなる、そもそも王家・王国と戦った事も有る家柄だ、領地を切り刻まれて戦闘力を無くすのは悪夢だろう。
そしてどれくらいの広さを交換するかだが、ある程度の幅と奥行きが無ければ囮が出来ない。俺や彩がやるなら狭くても大丈夫だが、初級や中級の魔法使いが囮を務めるなら、耕作地なら最低でも5000石、奥山で森林地帯なら石高計算では無く広さになるから、500町の広さは必要だ。
「国王陛下に立っての御願いがあるのですが、宜しいでしょうか?」
「唐津子爵が余に願いなど珍しいな、遠慮せずに言ってみよ。」
「私と彩の子供に分家を御認め頂いていたのですが、出来れば男爵の地位を与えてやりたいと思っております。許して頂けるなら、白神魔境の南海岸線にある八森に1万石の領地と築城権、太平魔境の北西にある阿仁に1万石と築城権を御許し願いたいのです。」
(まあ殿様、そのような事を御考えだったのですか?)
(まあたまには欲張ろうと思ってね。)
(それなら4人男の子が産まれても、爵位を与えてやれるのですね。)
(そうだよ、まあ孫の代になっても大丈夫だしね。)
「ふむ、それだと王家・王国の狩場も入れると、3万石は久保田伯爵家から領地替えが必要に成るが、伯爵はそれでも領地替えを願うのか?」
「御願い申し上げます、ただ領地替えの請願に加え、重ね重ねの願いは厚かましいとは思いますが、替地の3万石は1万石づつ築城権付の男爵位を賜りますれば幸いでございます。」
久保田伯爵家も中々強かだ、築城させて欲しいでは無く築城権とは考えたものだ、将来の御家騒動防止策に爵位を多く持って置くのは好い手だし、築城権なら実際の築城費用は今直ぐ用意しなくていい。狩場の収益が安定し、借金返済を終え蓄えが出来てから築城すればいい。
(久保田伯爵も好く考えられたのですね。)
(そうだね、これ位の強かさが無いと貴族家の当主は務まらないのかもしれないね。)
「国王陛下、どうせなら王家・王国の狩場も1万石にして、将来分家とすべき子孫が御生まれになった場合に備えられてはいかがですか? 久保田伯爵殿はどうです、3つの男爵位よりは4つの男爵位を持つ方が好いのではないか?」
間部筆頭大臣が突っ込んだ提案をしてきた。流石に国王陛下の二男三男に1万石程度を分家させられないが、領地の一部に魔境狩りが出来る所が有れば助かるし、孫や曾孫を封ずるのなら1万石が妥当だろう。問題は久保田伯爵が受けるかだが。
「お受けいたします。」
まあそうだろうな、3万石も4万石も領地替えを決断したなら大差ない。
「重ね重ねの厚かましい願いながら、明日からの狩りは可能でございましょうか?」
「唐津子爵、どうだ?」
「申し訳なき事ながら、囮を務められる人手が育っておりません。人材を育てながらになりますので、久保田伯爵家の御家来衆の訓練が済んでから、朝日魔境・飯豊魔境同様1日4時間程度が限界かと思われます。」
「ふむ、4時間なら久保田伯爵の家来が訓練終了したら可能なのだな?」
「はい、即戦力の指揮官指導者は朝日魔境・飯豊魔境に掛かりっきりでございます。多摩・甲府・八講・諏訪の狩場で事故を起こさないように人材を引き抜き、太平・白神魔境に人材を派遣するとなると、訓練時間が必要となります。死んだ御家来衆を生き返らせる事は出来ませんが、三井屋の件も御座います、借金の取り立ては待たせればいいのです。」
(そう言う事ですか殿様。)
(多分だけどね、俺達が米沢伯爵家の借金を帳消しにしたのも調べているのだろう、ここで俺達が狩場を設置すると噂が立っただけで、金貸しは貸金を帳消しにするだろうね、いや取り過ぎた分を返済した上で、詫び金も払うんじゃないかな。)
(金貸しはそこまでしますか?)
(するだろうね、関係者が全て死刑で九族奴隷として異国に売り払われるんだ、許して貰う為なら形振り構わないだろうさ。)
(でもそんなに直ぐに情報が流れるでしょうか?)
(一流の商人ならもう知っているだろうね、商人にとって情報は命だからね。二流や三流でも何れは知るだろうし、久保田伯爵家御家来衆も俺達が領内入ると知ったら、金貸しの言い成りにはならないさ。)
(そうですね! どこの御家来衆でも平民でも、絶対に奴隷として売り払わせたりしません!)
(彩の気持ちを無下にはしないよ、必ず闇奴隷売買は撲滅するし、異国に売り払われた和人奴隷は助け出してみせるよ。)
(はい、ありがとうございます。でも私も戦います!)
(うん、頼りにしているよ。)
「唐津次席大臣殿の力強き御言葉、感謝の言葉も有りません。」
「なるほど、そう言う事であったか。ならば鈴木目付指揮下の者共も探索に派遣致そう。」
この後も細々な話し合いをしたが、明日は長崎に海魔獣・海魔竜を競りに出さないといけない、色々と忙しくて長崎のストックがなくなっている。唐津の狩場では杜若智子と椿弘美が陸の魔獣・魔竜を狩ってくれているが、南蛮や清の商人は海魔獣・海魔竜を欲している。
下城した後で、彩と共に夕食を摂り儀式を終え佐渡魔境に狩りに向かった。
『佐渡魔境海上』
(殿様、日が暮れてからの佐渡魔境は不気味ですね。)
(ああ、流石に夜の海魔境の恐怖感は半端じゃないな。)
(今までの日中の狩りではボスが現れた事は無いですが、夜だと現れるでしょうか?)
(何とも言えないが、出ると覚悟した上で狩りに臨んだ方が好いね。)
(そうですね。)
俺と彩は深夜の真っ黒な海上で海魔獣・海魔竜を狩り始めた。もちろん今回も慎重に慎重を期した、初めて2人で狩りをした時のように、俺が直接の狩りをして彩が支援に徹するスタイルだ。
昼狩る時より遥かに大型の海魔獣・海魔竜ばかりだ。特に鯨並み大きさの海月(くらげ)は初の獲物だ、恐らく強力な毒を持っているのだろう、魔法袋に入れるのも細心の注意が必要だ。
(殿様!)
とんでもなく巨大な白鯨型の魔獣が海底の奥深くから飛び上がって来た。その魔力の総量はボスに匹敵する強大なものだ。その巨体からは想像も使いない速さで俺を飲みこもうとしている、咄嗟に俊足・加速を重ね掛けして紙一重で避けた。
同時に手にした長巻に魔力を乗せて白鯨の皮を長々と削ぎ取ってやった! 跳躍の最長地点まで到達した白鯨は身をくねらせて海に飛び込んだ。こいつはデカ過ぎて倒しても買い取れる人間はいない、それに俺自身も研究に費やす時間が無い。
(彩逃げるぞ!)
(はい!)
俺と彩は一旦撤退する事にした。狩り取れた魔獣・海魔竜の量は少ないが、今まで狩った事の無い新種の海月も手に入ったし、狩った事の有る魚型や烏賊・蛸型も最大の大きさだ、これなら量が少なくても競りは成功するだろう。何なら明日の昼食後にもう1度狩りをすれば好い。
問題はあの白鯨型が佐渡のボスかどうかと言う事だ、今までボスが竜型だからと迂闊に倒してしまうと、佐渡魔境が崩壊してしまうかもしれない。今は海魔獣・海魔竜が1番好い商品だから、佐渡の金銀鉱山を手に入れるよりも、安定して海の魔境を管理することが収入の安定に繋がる。
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