「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集5

克全

第67話

幸せです。
育児は大変ですが、とても幸せです。
三人目が五体満足に生まれてくれて、四人目が授かっています。
さすがに長男のアレクサンダーと次男のスライダイのお世話は、乳母に任せるようになりましたが、三人目の長女アリアナは私が一手にお世話しています。

心配していたアーレンの接触もありません。
油断はできませんが、たぶん大丈夫でしょう。
我が家の戦力は飛躍的に増大しています。
自由戦士ギルドが戦力に大半をノドンダンジョンに投入する事で、我が領地にある戦力は、たかだか子爵家にもかかわらず、小国を超えるほどの戦力になっています。

そして自由戦士ギルド本部のお膝元となったノドンダンジョンで活躍する事で、候補者どまりだった傭兵達が、続々と自由戦士のに承認されたのです。
承認される条件の中に、我が家の強い要望で、指揮官としての資質を見る事をくわえさせたのです。
それは、我が国の若手戦士を訓練指揮して、ノドンダンジョンの低層て狩りするというものです。

この条件が我が国の戦力と国力を底上げし、ノドン子爵家とミルド子爵に侯爵家を越える収入をもたらしています。
戦闘力を持った庶民出身の傭兵と冒険者を、我が家の徒士や騎士として召し抱えた事で、私や領地を護る護衛戦力も侯爵家並となりました。

そしてこの国の体制も、日を追って強化されています。
後の世では、ゴードン公爵家一強の弊害が出る可能性もありますが、今は他国の侵攻を防ぎ、国内の佞臣叛臣を抑える効果が出ています。
どの国も我が国を恐れていますし、国内貴族もゴードン公爵家を恐れています。

「ノドン子爵閣下、アーレン・コーラルと言う者から手紙が届いております。
今、毒と呪いの危険を検査させていますが、終わったらどうなされますか」

侍女長を務めるようになったミリアムが、顔を強張らせて聞いてきます。
もしかしたら私の顔をも強張っているかもしれません。
危険人物の事は、男女の別なく全ての家臣が知ってくれています。
その危険人物の中でも、アーレンは別格の扱いです。
裏社会で使われる毒や呪いは、我々が知らないモノがある可能性もあるのです。
魔術師や薬師に調べさせても、防ぎ切れない可能性があるのです。

「内容を他の紙に書き写して、実物は屋敷外の危険物保管庫に入れてください。
遅発性の毒や呪いの可能性があります。
いえ、言葉にしたら発動する呪いという事もありえます。
一度内容を実際に口にしてみて、何の悪影響もないのか確認してください。
それと、そうですね、内容が急ぎでないのなら、念のために三日待ちましょう。
遅発性の毒や呪いが仕組まれていても、三日たてば受け取った者や聞いた者に何らかの変化が現れるでしょう」





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