「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集5
第15話
「父上、兄上、今戻りました」
「苦労を掛けたな。
いや、これからも苦労を掛けることになる。
これもゴードン公爵家に生まれた者の宿命と諦めてくれ。
詳細な話は明日の晩餐でしよう。
今日はゆっくり休んでくれ」
「ありがとうございます」
謝ってもらったからといって、はいそうですかとは言えません。
ですが本気で悪いと思ってくれているのは確かです。
隣の兄上も申し訳なさそうにしています。
ちょっと悪い気がしますね。
色情狂を殺す決断をしているので、父上の思惑を大きく外すことになりますから、少しだけ心が痛みます。
「ノヴァお嬢様。
客間の方にご案内させていただきます」
「待ちなさい。
どうしても戻って来て欲しい言ったのは公爵閣下です。
それなのに客間とはどういう事ですか。
元の部屋を用意するのが当然ではありませんか」
オリビアがかんかんに怒っています。
私が客間に案内させられる理由を知っているからです。
私もだいたい想像がつきます。
「それが……」
「それがなんですか。
はっきり言いなさい」
「ミレイお嬢様が、ノヴァお嬢様が追放になったのなら、自分が長女だから部屋を変えるべきだと申されまして……
奥方様もそれを後押しされて……
公爵閣下もそれを認められて……」
「それで私の物は全て処分して何も残っていないという事ですね。
追放刑になった者の持っていた物は、不浄で家名の恥になるから焼き捨てろとでも言われたのでしょ?」
「……はい……」
「なんと言う情け知らずな!
それでも母親ですか!
このような仕打ちをしておいて、家のために犠牲になれとよく言えたものです」
オリビアが激怒してくれています。
オウエンの顔には殺意すら浮かんでいます。
まあ仕方りませんね。
家にいた頃から、母の依怙贔屓は酷かったですからね。
ですがそれは、本人の性質と父上の教育方針から生まれたモノです。
母ギネアは四大公爵家の一つ、ボイル公爵家の出身です。
あの家の子弟教育は著しく悪くて、母は愚かで身勝手に育ってしまいました。
父上は妻に迎えたくなかったようですが、政略結婚で仕方なく妻に向かえたようで、兄上と私の教育には、母に一切口を挟ませなかったようです。
ただ父上も少し甘くて、兄上と私がしっかりと教育できたので、妹で末子のミレイは母の玩具に与えたようです。
全くミレイの事を考えない、情け容赦のないやりかたです。
子供の頃は単に妹をかわいそうに思いましたが、今なら別の考えが浮かびます。
ミレイは不義の子で、父上の種ではないのかもしれません。
だからどれほど愚かに育っても、父上は平気なのかもしれません。
父上の思惑通りなのか、ミレイはとんでもない我儘娘に育ちました。
父上は後始末をどうつけるつもりなのでしょうか?
「苦労を掛けたな。
いや、これからも苦労を掛けることになる。
これもゴードン公爵家に生まれた者の宿命と諦めてくれ。
詳細な話は明日の晩餐でしよう。
今日はゆっくり休んでくれ」
「ありがとうございます」
謝ってもらったからといって、はいそうですかとは言えません。
ですが本気で悪いと思ってくれているのは確かです。
隣の兄上も申し訳なさそうにしています。
ちょっと悪い気がしますね。
色情狂を殺す決断をしているので、父上の思惑を大きく外すことになりますから、少しだけ心が痛みます。
「ノヴァお嬢様。
客間の方にご案内させていただきます」
「待ちなさい。
どうしても戻って来て欲しい言ったのは公爵閣下です。
それなのに客間とはどういう事ですか。
元の部屋を用意するのが当然ではありませんか」
オリビアがかんかんに怒っています。
私が客間に案内させられる理由を知っているからです。
私もだいたい想像がつきます。
「それが……」
「それがなんですか。
はっきり言いなさい」
「ミレイお嬢様が、ノヴァお嬢様が追放になったのなら、自分が長女だから部屋を変えるべきだと申されまして……
奥方様もそれを後押しされて……
公爵閣下もそれを認められて……」
「それで私の物は全て処分して何も残っていないという事ですね。
追放刑になった者の持っていた物は、不浄で家名の恥になるから焼き捨てろとでも言われたのでしょ?」
「……はい……」
「なんと言う情け知らずな!
それでも母親ですか!
このような仕打ちをしておいて、家のために犠牲になれとよく言えたものです」
オリビアが激怒してくれています。
オウエンの顔には殺意すら浮かんでいます。
まあ仕方りませんね。
家にいた頃から、母の依怙贔屓は酷かったですからね。
ですがそれは、本人の性質と父上の教育方針から生まれたモノです。
母ギネアは四大公爵家の一つ、ボイル公爵家の出身です。
あの家の子弟教育は著しく悪くて、母は愚かで身勝手に育ってしまいました。
父上は妻に迎えたくなかったようですが、政略結婚で仕方なく妻に向かえたようで、兄上と私の教育には、母に一切口を挟ませなかったようです。
ただ父上も少し甘くて、兄上と私がしっかりと教育できたので、妹で末子のミレイは母の玩具に与えたようです。
全くミレイの事を考えない、情け容赦のないやりかたです。
子供の頃は単に妹をかわいそうに思いましたが、今なら別の考えが浮かびます。
ミレイは不義の子で、父上の種ではないのかもしれません。
だからどれほど愚かに育っても、父上は平気なのかもしれません。
父上の思惑通りなのか、ミレイはとんでもない我儘娘に育ちました。
父上は後始末をどうつけるつもりなのでしょうか?
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