「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集5

克全

第11話ラロドリゲス侯爵夫人ライリー視点

「奥方様。
ようやくカチュアの居場所が分かりました」

「場所などどこにいても構いません!
分かったのならさっさと殺してしまいなさい!
あの女狐のせいで大恥をかかされました!
私的なサロン以外は招待状も来なくなってしまったのですよ!
このような僻地の別荘に押し込められた恨み、絶対に晴らしてみせます!
方法な問いません。
いえ、できるだけ残虐な方法で殺すのです。
そう、子供共々殺してしまいなさい。
そうね、あれだけ貞操にうるさいく言ったのです。
下賤な者どもに嬲り殺しにさせなさい。
そうしなさい」

「しかしながら奥方様。
子供は英雄様の実子でございますよ。
殺してしまって恨まれたら面倒でございます」

「ふん!
あんな失禁英雄など怖くなどありませんわ。
それに、男は子供の事など本当は愛していないモノです。
血と家を継いでくれるから愛している振りをしているだけ。
私がちょっと囁いてしまえば、直ぐに見殺しにしますわ」

「なんと囁かれるのですか?」

「不義の子だと囁いてやればいのです。
どこの誰とも分からない、下賤な浮気相手の子だと囁いてやるのです。
自分が裏切っていた分、カチュアにも裏切られれていると思い込みますよ。
それに失禁英雄は、伯爵に相応しい妻を迎えたがっていました。
貴族たちのなかには、伯爵家を乗っ取りたいと思っている者もいます。
自分の種を宿した令嬢を、伯爵家に送り込みたい貴族はたくさんいるのですよ」

ふっふっふっふ。
愚かな男です。
自分が男娼同然に扱われている事が分かっていません。
英雄様も今では男娼扱い。
もっと悪い噂が広がれば、邪竜退治の他の英雄の評判も地に落ちるでしょう。

「奥方様。
実は他にも報告しておかなければいけない事がございます」

「なんですか?
もう聞きたいことは聞き終えました。
後は申し付けたとおりにやっておけばいいのです」

「しかしながら、少々問題がございます」

「しかたありませんね。
いったいなんだと言うのです!」

「カチュアを助けたのが、邪竜退治のメンバーなのです。
ならず者程度ではとても相手になりません。
それに下手な方法を使ったら、奥方様に報復が行われます」

「なんですって?!
それを最初に言いなさい!
愚か者が!」

「申し訳ございません」

苛立たしい事です!
邪竜退治の英雄ですって?
私たち名門貴族を蔑ろにする成り上がり者め!
本当に忌々しい者たちです!

「どうにかしなさい。
費用も渡した範囲でやるのです。
これ以上の負担はできません。
いえ、待ちなさい。
準備だけして待っていなさい。
他の夫人たちに情報を流しなさい。
ただし邪竜退治の英雄たちのことは伏せておくのです。
殺し合わせれば面白いことになるかもしれません」

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