「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集5
第6話キャスバル視点
「賢女ゾーイ、今日も無理をお願いします」
「分かっているわ、コーンウォリス公爵。
だけどもう潮時よ。
これ以上は、本人に知らせずに魔力の暴走を抑えることは不可能よ。
彼女が感情を高ぶらせるたびに、制御不能な莫大な魔力が暴れるのよ」
「ですが賢女ゾーイ。
彼女が生まれた時にカーゾン侯爵が調べた話では、下手に魔法の鍛錬をしてしまうと、天与の魔力が増えてしまい、幼いうちに死んでしまうという事でした。
その後もカーゾン侯爵は諦めずに多くの賢者に助言を求めたそうですが、天与の莫大な魔力は災いにしかならないと言われたそうです」
「確かにそうね。
単に魔法の鍛錬をさせるだけではどうにもならないわ。
だけどね、つきっきりで世話をするなら別よ。
巻き添えになって死ぬ覚悟があるのなら、一緒に魔法を鍛錬しながら、あふれ出しそうになる魔力の流れを上手く制御して、魔晶石や魔血晶に蓄えることも可能よ。
コーンウォリス公爵も私の理論を信じたからこそ、忙しい合間を縫って魔力の鍛錬をやり直してたのでしょ」
そうだ、賢者ゾーイの言う通りだ。
舞踏会で会ったアルフィンに心奪われた。
何を失っても彼女を手に入れたいと思った。
だが、私にはコーンウォリス公爵としての責任があった。
家臣領民を命と財産を護る責任がある。
王家の藩屏として、この国の民の命と財産を守る責任もある。
最初に国王陛下に心の丈を打ち明けて、味方になってもらった。
そのうえで、各王家との関係に傷を入れないように、時間をかけて名誉と誇りを傷つけないようにして、各王家からの求婚に断りを入れた。
ようやく準備が整い、カーゾン侯爵に求婚の許可をもらいに行って、驚愕の事実を聞かされたのだ。
アルフィンがいつ死ぬか分からない状態だと!
私は絶望で懊悩煩悶した!
神々を呪った。
だが、しばらくして目の前に立つカーゾン侯爵に気がついた。
彼の方が私より苦しんでいると!
アルフィンが生まれてからずっと、いつ死ぬのか分からない愛娘を見守り続けているのだと!
私は必至でアルフィンを助けるすべを探した。
カーゾン侯爵が長年かけて見つけられなかった事を、私が見つけられるとは思えなかったが、それでも探さずにはおられなかった。
だが、私は運がよかった!
この件に関してだけは、日頃の行いがよかったのだと胸を張りたい!
女だからというだけで、魔法研究者の中で不当に差別されていたゾーイを支援して、賢者の称号がとれるようにしたことがあったのだ。
私は藁をつかむ思いでゾーイに相談した。
彼女は奇想天外な方法を思いついてくれたのだ。
その方法は女だからこそ思いつくことだった!
「分かっているわ、コーンウォリス公爵。
だけどもう潮時よ。
これ以上は、本人に知らせずに魔力の暴走を抑えることは不可能よ。
彼女が感情を高ぶらせるたびに、制御不能な莫大な魔力が暴れるのよ」
「ですが賢女ゾーイ。
彼女が生まれた時にカーゾン侯爵が調べた話では、下手に魔法の鍛錬をしてしまうと、天与の魔力が増えてしまい、幼いうちに死んでしまうという事でした。
その後もカーゾン侯爵は諦めずに多くの賢者に助言を求めたそうですが、天与の莫大な魔力は災いにしかならないと言われたそうです」
「確かにそうね。
単に魔法の鍛錬をさせるだけではどうにもならないわ。
だけどね、つきっきりで世話をするなら別よ。
巻き添えになって死ぬ覚悟があるのなら、一緒に魔法を鍛錬しながら、あふれ出しそうになる魔力の流れを上手く制御して、魔晶石や魔血晶に蓄えることも可能よ。
コーンウォリス公爵も私の理論を信じたからこそ、忙しい合間を縫って魔力の鍛錬をやり直してたのでしょ」
そうだ、賢者ゾーイの言う通りだ。
舞踏会で会ったアルフィンに心奪われた。
何を失っても彼女を手に入れたいと思った。
だが、私にはコーンウォリス公爵としての責任があった。
家臣領民を命と財産を護る責任がある。
王家の藩屏として、この国の民の命と財産を守る責任もある。
最初に国王陛下に心の丈を打ち明けて、味方になってもらった。
そのうえで、各王家との関係に傷を入れないように、時間をかけて名誉と誇りを傷つけないようにして、各王家からの求婚に断りを入れた。
ようやく準備が整い、カーゾン侯爵に求婚の許可をもらいに行って、驚愕の事実を聞かされたのだ。
アルフィンがいつ死ぬか分からない状態だと!
私は絶望で懊悩煩悶した!
神々を呪った。
だが、しばらくして目の前に立つカーゾン侯爵に気がついた。
彼の方が私より苦しんでいると!
アルフィンが生まれてからずっと、いつ死ぬのか分からない愛娘を見守り続けているのだと!
私は必至でアルフィンを助けるすべを探した。
カーゾン侯爵が長年かけて見つけられなかった事を、私が見つけられるとは思えなかったが、それでも探さずにはおられなかった。
だが、私は運がよかった!
この件に関してだけは、日頃の行いがよかったのだと胸を張りたい!
女だからというだけで、魔法研究者の中で不当に差別されていたゾーイを支援して、賢者の称号がとれるようにしたことがあったのだ。
私は藁をつかむ思いでゾーイに相談した。
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