魔法武士・種子島時堯
第260話絶望
1547年2月
必死で治療法を探した、石見・出雲への侵攻を後回しにして、自由になる時間の全てを日本住血吸虫の治療法確立に注いだ。
形振り構わず、死病に取りつかれ病み衰えた患者さんとディープキスをし、その接触面から少しでも魔術の効果を患者さんの体内に及ぼそうとした。
キュアの魔法を口腔内で発生させ、患者さんの舌に魔法の効力を及ぼし、日本住血吸虫を死滅させる事には成功した。だが、肝臓に溜まった卵を駆除する事は出来なかった。
クリーンの魔法を使う事で、肝臓の卵を除去する事を試してはみたが、患者さんの舌は綺麗になるものの、肝臓にまで効果を及ぼすことは出来なかった。
ここで魔法と外科的手術を組み合わせた治療法を試してみた。クリーンルームは創り出せなかったが、麻酔薬を精製することが出来ていたので、患者さんに麻酔をかけ、患者さんの腹を切って俺の手を突っ込み、肝臓を直接掴んでキュアやクリーンを発動させてみたが、口腔内と違って何の効果もなかった!
血液型不適合の危険を覚悟の上で、俺の手を傷つけて、血塗れの状態なら魔法の効果を僅かでも体外に及ぼせないかと試してもみたが、俺の血液に魔力は宿るものの、患者さんには何の効果も与える事ができなかった。
後考えられる方法としては、肝臓などの内臓を生理食塩水で洗うか、目視確認して直接日本住血吸虫の卵を摘み取ることだ。だが繰り返すがクリーンルームが無いから、手術中に病原菌に感染する危険は有るし、点滴も輸血も技術的に難しいから、俺が常時魔法を発動させて、患者さんの血液に魔法の効果を及ぼし続ける必要があった。
そこで俺が魔法をかけながら手術も行えるように、ディープキスでは無く患者さんの指を咥える方法を試してみた。
結果として、指と指に流れる血液に魔法の効果を及ぼすことに成功し、長時間の手術が可能となり、患者さんの奸臓から日本住血吸虫の卵を、虫眼鏡で探しながら1つ1つ取り除くことが可能となった。
だが、細胞レベルで変質してしまった肝の臓を元に戻す事は出来なかった。指を俺の口に入れながら魔法を発動させる事で、身体の中に虫に入り込まれたばかりの初期患者さんなら確実に助けられるようになった。
肝硬変にまで重篤化していない患者さんなら、魔法と外科的手術の併用で助ける事が出来るようになった。だが、重篤患者さんを助ける事は不可能だった。
自分の力の限界を思い知った頃に、今度は筑後に重点派遣した看護部隊から、多くの日本住血吸虫症の罹患者がいると言う報告が上がって来た。現地の看護部隊では、俺が忘れていたこの病気を見分け発見することが出来なかったのだ。
当然だろう、指導する俺が忘れていたのだから。
申し訳ない。
もっと早く思いだしていれば、いや、そもそも忘れるなど有ってはならない事なのだ。
俺が公家や朝廷にチヤホヤされて浮かれていなければ、もっと早く気づいていたかもしれない。新たな領地に興味を持つよりも、支配下の領地を丁寧に巡回すべきだったのだ。
必死で治療法を探した、石見・出雲への侵攻を後回しにして、自由になる時間の全てを日本住血吸虫の治療法確立に注いだ。
形振り構わず、死病に取りつかれ病み衰えた患者さんとディープキスをし、その接触面から少しでも魔術の効果を患者さんの体内に及ぼそうとした。
キュアの魔法を口腔内で発生させ、患者さんの舌に魔法の効力を及ぼし、日本住血吸虫を死滅させる事には成功した。だが、肝臓に溜まった卵を駆除する事は出来なかった。
クリーンの魔法を使う事で、肝臓の卵を除去する事を試してはみたが、患者さんの舌は綺麗になるものの、肝臓にまで効果を及ぼすことは出来なかった。
ここで魔法と外科的手術を組み合わせた治療法を試してみた。クリーンルームは創り出せなかったが、麻酔薬を精製することが出来ていたので、患者さんに麻酔をかけ、患者さんの腹を切って俺の手を突っ込み、肝臓を直接掴んでキュアやクリーンを発動させてみたが、口腔内と違って何の効果もなかった!
血液型不適合の危険を覚悟の上で、俺の手を傷つけて、血塗れの状態なら魔法の効果を僅かでも体外に及ぼせないかと試してもみたが、俺の血液に魔力は宿るものの、患者さんには何の効果も与える事ができなかった。
後考えられる方法としては、肝臓などの内臓を生理食塩水で洗うか、目視確認して直接日本住血吸虫の卵を摘み取ることだ。だが繰り返すがクリーンルームが無いから、手術中に病原菌に感染する危険は有るし、点滴も輸血も技術的に難しいから、俺が常時魔法を発動させて、患者さんの血液に魔法の効果を及ぼし続ける必要があった。
そこで俺が魔法をかけながら手術も行えるように、ディープキスでは無く患者さんの指を咥える方法を試してみた。
結果として、指と指に流れる血液に魔法の効果を及ぼすことに成功し、長時間の手術が可能となり、患者さんの奸臓から日本住血吸虫の卵を、虫眼鏡で探しながら1つ1つ取り除くことが可能となった。
だが、細胞レベルで変質してしまった肝の臓を元に戻す事は出来なかった。指を俺の口に入れながら魔法を発動させる事で、身体の中に虫に入り込まれたばかりの初期患者さんなら確実に助けられるようになった。
肝硬変にまで重篤化していない患者さんなら、魔法と外科的手術の併用で助ける事が出来るようになった。だが、重篤患者さんを助ける事は不可能だった。
自分の力の限界を思い知った頃に、今度は筑後に重点派遣した看護部隊から、多くの日本住血吸虫症の罹患者がいると言う報告が上がって来た。現地の看護部隊では、俺が忘れていたこの病気を見分け発見することが出来なかったのだ。
当然だろう、指導する俺が忘れていたのだから。
申し訳ない。
もっと早く思いだしていれば、いや、そもそも忘れるなど有ってはならない事なのだ。
俺が公家や朝廷にチヤホヤされて浮かれていなければ、もっと早く気づいていたかもしれない。新たな領地に興味を持つよりも、支配下の領地を丁寧に巡回すべきだったのだ。
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