魔法武士・種子島時堯

克全

第250話大内家との交渉

1546年10月:山口・大内氏館:大内侍従義隆と種子島権大納言時尭

「権大納言殿、大内家に忠誠を誓う者を無碍にしないで欲しい」

「それは十分承知しておりますよ侍従殿、しかしこれは天下泰平を望まれる御上のたっての願いでございますぞ」

「う~ぬ! そう言われては強く言えぬな」

「何も代地を与えずに城地を召し上げると言っている訳ではありませんぞ、種子島家が攻め取り、大内家にお譲りする石見・出雲の地に代わりの城地を与えると言っているのです」

「だが石見と出雲は、安芸や備後・備中の代わりに大内家が受け取る約束をしていた土地だ。そこに代地を与えると言われても、はいそうですかとは言えぬ」

「侍従殿は石見・出雲以外の国に代地を与えろと言われるのですね?」

「左様、そうでなければ家中を纏めることは出来ん」

「受け取るべき領地に文句を言われるのであれば、侍従殿にも侍従に相応しい仕置きを御願いしなければなりませんが、それで宜しいのですね?」

「どう言う事だ?」

「陶殿をはじめとする家中の方々横領している、御料所・国衙領・官衙領・荘園・寺社領の返還でございますよ」

「それは権大納言殿も同じではないか?!」

「私はお預かりしている以上の銭を御上や朝廷に御渡ししていますが、侍従殿は官職を得るために一時的に寄付しているだけでございましょう」

「う!」

「侍従の地位も寄付で得た官職でございましょう、毎年莫大な年貢と共に、皇室行事・朝廷行事・伊勢神宮斎宮・賀茂神社の斎院復活に莫大な寄付を毎年納めている種子島家と同列に扱わないで頂きたい!」

「それは!」

「侍従殿! 御家来衆が横領している御料所・国衙領・官衙領・荘園・寺社領を返還して頂かるのですな?!」

「今直ぐは無理だ」

「なのに御上の願いである天下泰平の戦いに協力することもなく、石見・出雲以外の領地を寄越せて申されるのですね?」

「いや、その事は間違いであった、石見・出雲の中から代地を与えてくれればよい」

「万が一代地を嫌がった場合、種子島家が彼らを攻め滅ぼしても異議はございませんね?!」

「意義は・・・・・ない、御上の天下泰平の願いを邪魔するような真似は絶対にやらぬ」

「それで安心致しました、親族となった大内家と合戦せねばならないほど不幸なことはございませんからな」

「そう・・・・・だな、そのような不幸は避けたいものだな」

「さよう、御料所・国衙領・官衙領・荘園・寺社領を横領している者たちを召捕り、一族ことごとく奴隷として南蛮に売り払うなど、やりたくてやる事ではございませんからな」

「そうだな、そのような不幸なことは避けるべきであるな」

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