魔法武士・種子島時堯

克全

第224話視点変更

さて、今回色々と大内晴持が生き延びることが出来るように手を打ったのだが、それでも嫌な予感が解消される事はなく、何か抜本的な対策を講じなければ最悪の事態を引き起こしかねない。

そこで視点を変えてみることにして、大内晴持を暗殺したとしても、大内家の当主の座が晴持の血筋から動かないようにするアプローチに変えてみた。

早い話が種子島家の遠縁の娘を親父の養女にし、更にその後で一条房通卿の養女にまでして大内晴持の正室として嫁がせてあるのだ。彼女と大内晴持の間には、3歳の男児と1歳の女児が産まれており、後ろ盾さえしっかりしていれば、大内晴持が死んだとしても大内家後継者の座を確保することが可能だ。

その為には誰か大物の猶子にしておくべきだろうが、いったい誰にすべきかで迷うところだ。近衛家は論外だし二条家も色々差し障りがある。鷹司家はまだ跡継ぎに恵まれていないので、猶子にして鷹司摂関家の家督争いに発展する可能性が怖い。

まあ一条摂関家・土佐一条家・大内家の結束が強まり過ぎるのは困る面もあるのだが、大内家が後継問題で混乱するよりはまだましだろう。別に無理矢理日本を統一して絶対君主になりたい訳ではない、戦乱で苦しむ民を助けたいだけだから、中国四国地方が一条閥で統治されようが、民が安寧に暮らせればいいのだ。

そこで早速この案を持って左大臣・一条房通卿に会いに行ったら、諸手をあげて賛成してくれた。直ぐに出雲に攻め込んでいる大内義隆・晴持に会いに行き、晴持の嫡男・亀童丸を一条家の猶子にしたいと言う一条房通卿の言葉を伝えた。だが義隆も晴持も頭の切れる男だから、裏にある晴持暗殺への予防策も一条家を頂点とした派閥構成強化にも直ぐに気がついた。

義隆に浮かんだ苦々しい顔つきから推測するに、俺も含めた公家社会の汚さに嫌悪感を持ったようだが、同時に義隆が公家社会の雅さに惹かれている面も隠しようがない事実だ。だからこそ大宮伊治の娘を継室に迎えたのだし、最初の正室も万里小路秀房の娘を迎えたのだ。

俺の圧倒的な戦闘力を恐れて、後継者・大内晴持の正室を種子島家から迎えたが、本来ならそれなりの公家から迎えたかったはずだ。だからこそ嫡孫である亀童丸の正室は、一条家の伝手を使って摂関家か清華家から迎えたいと切望しているはずだ。

それを叶える為には、亀童丸が一条家の猶子となっていた方が都合がいいだろう。問題があるとすれば、妊娠している大宮伊治の娘が男子を産んだ場合に、大内義隆が実子に大内家を継がせたいと思った時、亀童丸が一条家の猶子だと父親である大内晴持を暗殺しにくくなる事だ。

はたいて大内義隆はどう返事をするのか!

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