魔法武士・種子島時堯

克全

第206話河内国始末

1544年2月25日『京・種子島屋敷』種子島権大納言時堯・16歳

「権大納言殿、やはり容易く攻め取る事が出来たでおじゃるな」

九条禅定太閤殿下が、今日もアルコール度数45度の強烈な焼酎を片手に話しかけてこられた。今日は台湾で新たに作らせ始めた、濃厚な甘味を持ち一般に出回っているピタヤの中では最も甘いピンクピタヤを食べながら焼酎を愉しんでおられる。

「禅定太閤殿下・鷹司関白殿下・鷹司准三宮殿下がお力添えして頂けたからでございます」

「力添えと言っても大したことはしていない、皆権大納言殿を恐れていたから、武士として体面を保ってやるだけでいいからな」

義父の関白鷹司忠冬殿下が、今日もブランデーを片手にしながら面白くなさそうに話される。関白殿下は、ホワイトピタヤやレッドピタヤよりも甘くさっぱりとしていて酸味のないイエローピタヤが好みのようだ。

「そうだな、忠冬が申すように、150石羽林家として畠山稙長を公家に迎えてやるだけで、河内一国に安寧を迎える事が出来るなら安いものだな」

「そうでおじゃるな、御上もその程度の事で河内に平穏が訪れ、民が安寧に暮らせるのなら羽林家を10や20増やしても構わぬと仰られておじゃる」

「権大納言殿が扶持を負担してくれるのだから、朝廷は何の痛痒も感じない、適当な官位を与えておればすむ」

義祖父の准三宮・鷹司兼輔殿下が辛辣な事を申されるが、確かにその通りで、負担は種子島家が受け持っているが、その150石の見返りとして河内1国が種子島家の領地になるのだ石垣家と合わせれば300石だが微々たるものだ。

「それにしても遊佐長教は強かであるな」

准三宮殿下がほとほと感心したように話された後、清酒をグビリとぐい呑み1杯分飲み干された。その後で海鼠腸を美味そうに摘ままれて、今度はチビリと清酒の味とのコラボを愉しむように飲まれた。

「そうですね、自分の娘に権大納言殿の家臣を養嗣子に迎えて上に、一族一門の殆どの男子を権大納言殿の家臣とし、更に家財を投資して宿屋や商家を建てるのですからね」

関白殿下が父親の言葉の後を引き取ったが、水走忠義と言う手本があったから、本当の意味で知恵者とは言えないが、平気で人真似をしてでも利益を確保しようと言う強かさは確かに持っている。それにそのお陰で下手な戦争をしなくて済んだし、遊佐家の陪臣や協力者を悉く直臣として召し抱えて、領地を著しく減少させたから裏切られても実害は少ないだろう。

まあ何にしても戦争をする事無く河内1国を平定出来たのだがら大成功だ!

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