魔法武士・種子島時堯

克全

第183話九条家後継問題再燃

1543年6月1日『京・種子島屋敷』種子島権大納言時堯・15歳

「法音院殿は何が言いたいのでおじゃる?」

「九条家は時堯殿と兼子殿の間に出来た子に継がせると言う事だが、二条家や花山院家・大岡家は心から納得しているのか?」

「九条家の後継問題に口出しするのでおじゃるか?!」

「時堯殿を樵翁殿に紹介してもらったから鷹司家は安泰となった、しかも此方の勝手な今の願いも快く了承してくれた。このような方を養嗣子に紹介してくれた事、その事は心から感謝している。だからこそ時堯殿に何かあっては困るのだ」

「では麿も率直に話すでおじゃる。今の話で、後専称院殿と約束していた時堯殿と兼子の間に出来た男子に鷹司家を継がすと言う話が反故になったでおじゃる!」

「約束を反故にしたことは申し訳ない」

「その上に九条家内の事に口出しするのは不遜でおじゃる!」

「本当に申し訳ない、その代わりと言っては何だが、種子島家の名で六つ目の摂関家を創設してはどうだろう。当主は時堯殿と兼子殿の間に出来た男子に継がせるのだ」

「さすがにそれは近衛家も二条家・一条家も賛成せんでおじゃるよ」

「では松殿家の名跡を復活させるのはどうだ? 時堯殿と兼子殿の間に出来た男子に一条家か二条家から娘を迎えると約束をすればよかろう」

「う~む、そんな事が本当に出来るでおじゃるか?」

「嫁を迎えられない家には、子弟に清華家か大臣家を新たに創設すると約束すればよい」

「まあ話だけはしてみるでおじゃるが」

「鷹司家も出来る限りの根回しはする、そこで九条家内の事を知りたいのだ」

「何が聞きたいのでおじゃる?」

「家格から言えば、後大染金剛院殿に嫁がれた経子殿との間に産まれた、晴良殿・良豊殿・良憲殿の方が相応しいだろう、その事で二条家からの妬みや恨みは大丈夫か?」

義祖父殿は、二条尹房太閤殿下に嫁がれた九条経子殿の子が、九条家を継ぐ方が相応しく、それが叶わなかったことで二条家が妬んいるかもしれないと危惧されているのだ。まあ確かに俺も人の妬み嫉みが大事に至る事は重々承知しているから、もっともな事だと思う」

「そのことでおじゃるか、九条家が困窮して、その日の食事にも事欠くような状態であったのは知っているでおじゃろう」

「まあな」

「その時にも二条家は全く支援してくれなかったでおじゃる、精々兼子たち子女を預かってくれたくらいでおじゃるが、それも兼子たちを武家に嫁がせて、武家から支援を引き出そうと言う魂胆があったでおじゃる」

やっぱりな、さすが公家は強かで腹黒いな。

「仕方のない事だが、それもあって今の種子島家全盛の京では表立っての反対はせぬか?」

「そうでおじゃる、良豊や良憲によい養嗣子先を紹介してやるか、出家先を紹介してやれば済むでおじゃる」

「出家して興福寺別当となり大乗院におられた、弟の尋円殿はどうなのだ?」

「興福寺は権大納言殿が上手く治めているでおじゃるよ、豊かに暮らせるようになって喜んでおじゃるよ。万が一子が出来ても権大納言殿が養育して、よいように計らってくれるでおじゃる」

「僧なのに子が出来てもか!?」

「そうでおじゃるよ、権大納言殿は全て心得てくれておじゃるよ」

「では花山院家に養嗣子に行った家輔殿はどうなのだ?」

「あいつには子がいないでおじゃる、むしろ大納言殿の子を養嗣子に欲しがっておじゃるよ」

「万が一子が出来たらどうするのだ?」

「公家よりもはるかに多くの所領を持つ武家に成れるでおじゃるよ、その方が子弟を出家させるしかない公家よりも安心でおじゃる」

「そういうことか、公家よりも多くの所領を支配する、北畠家や土佐一条家のような武家に成れるのなら文句は無いわけか・・・・・・」

「大岡家に養嗣子に行った善吉も同じでおじゃるよ、今は三河国で松平家に仕えておじゃるが、権大納言殿が三河国に攻め込むときは・・・・・」

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